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オレンジのチビ

はい、今回は迅くん目線です。

迅くん楽しい。

俺、山形迅は欠伸を噛み殺しつつ、改札をくぐる。

.........今日からまた学校か。

律が律でなくなってから2週間。短かったようで、長かったようで.........。

っとと。

閉じかけた扉に駆け込み、サックスケースを担ぎ直す。それから再び欠伸を噛み殺し、スマホを取り出す。丁度通勤ラッシュだ。人が多く、多少うんざりするが、こればかりは仕方がない。無理矢理納得し、スマホのニュースを眺める。能力の暴走で人が死んだだの電車が止まっただの、ろくな話がない.........。

「おっ、迅ー!おっはよ~!」

「離れろ桜井。暑苦しい」

叫びつつ抱きついて来たのは桜井。うるさい。電車の中だぞ。

「いやー、朝から遅れそうになっちゃってねー、全力ダッシュしたよ~」

「うっさい。大体お前が全速ダッシュしたらチャリより速いだろうが」

事実、速い。俺がこの間チャリで市街地走ってたら後ろから追い付いて話しかけてきた。自分の足で。

次はぁ~、緑ヶ原ぁ~、緑ヶ原です。お出口はぁ~左側ぁ、三番乗り場にぃ、到着致します。開くドアにぃご注意下さい。

独特のニュアンスの車内放送を聞き、俺はドアの近くまで移動する。

「あぁ!ちょっ待ってぇー!」

「うるさい」

ついて来る桜井は放置し、停車すると共にホームへと降りる。

「相変わらず真っ黒だねぇ.........」

「何が悪い」

桜井の呟きもある意味もっともだ。なんたって俺は黒のワイシャツの上から黒のパーカー、その上から黒のブレザー。更に黒いマフラーをしているのだから。

ちなみにサックスケースも、サックス本体も黒い。まあ本体は厳密に言えばガンメタリックだが。

「とか言ってるけどお前もおかしいことはおかしいからな?」

「そう?フツーだよ」

いやいやいや白いセーラー服(上着なし)と白いマフラー、白い手袋、白い運動靴。真っ白じゃねーか。ちなみに彼女の楽器は銀。髪は白。

改札を出て、そのまま外へ。雑談しながら歩いて五分。学校に到着。

「それじゃ。また昼休み」

「うん、またあとでね!」

下駄箱で別れる。体育科は授業練東側、音楽・普通科は西側、工業科は工業練と、教室、クラスが別れている。

「あ、迅くん、おはよう」

教室に入ると話しかけてきたのは瀬戸川。青い方。

「よう。今日はヴァイオリンの授業あんの?」

「んーん。今日はないかな。えと.........個人レッスンの時間は.........現国.........」

時間割をパラパラとめくり、今日のページを開いて絶望する瀬戸川。

「まあそれまでが数Ⅰ、物理、世界史で楽だから良いだろ。現国の文学的文章とかマジ意味わかんねぇから」

「ねえどこが楽なの?ねえ、どこが?」

本当に、文学的文章の、登場人物の意図を読みなさいとか説明的文章の作者の意図を答えなさいとかわかんねぇから。わかったら人間苦労しないから。わかったらテレパシーだから。

等と脳内でひとしきり文句を言った俺は瀬戸川の声をガン無視。

自分の席に座ると、示し会わせたかのようにチャイムが鳴った。


「おーい、ホームルーム始めるぞ、席に着けー」

担任の間延びした声とともに、ガタガタと生徒が席に着く。

「よし、揃ってんな。突然だが、今日このクラス、1ー3に編入してきた生徒を紹介するぞ。おい、入って良いぞ」

担任の話を適当に聞き流していた俺は、がらがらっ、という音に、顔をあげた。そこには。腰まである鮮やかなオレンジ色の髪と。オレンジ色と空色のオッドアイを持つ、身長130cmほどのチビ。

すなわち。

瀬戸川由莉がいた。



そいつは、とてとて、という擬音が似合う歩き方で、教壇の中央まで歩く.........っておい、なんであいつが居るんだよ!?なんも聞いてねえぞ!?

驚愕とともに瀬戸川を振り向く。口をアホみたいに開けて、硬直する瀬戸川の姿があった。

教壇の中央に立った由莉は、白いチョークを持ち、縦書きに何か書こうとするが、身長が足りずに断念。横書きに移行。丁寧な文字で、

【瀬戸川由莉】

と書いて、くるっと回転。

おもむろに口を開き、

「今日から編入してきました、音楽科、ウッドベース専攻でこのクラスの瀬戸川蒼空の妹、瀬戸川由莉です。よろしくお願いします!」

そう、言った。瞬間。

「「「うおおおおおおおおお!!!!!」」」

クラス中から大歓声が上がる。

「可愛いー!」「ロリだ!」「蒼空ちゃんの妹?」「はあ....はあ.....踏まれたい」「罵って下さいお願いします!!!」「天使だ!天使が降臨されたぞ!」「合法ロリktkr」「身長140無いんじゃねぇの!?」「ちっちゃーい!」「まな板じゃんかよ」「だが。そこが良い。」

大丈夫か、このクラス。

ドン引きしつつ、騒ぎの元凶、由莉を見ると。

引きぎみに微笑んでいた。ひきつってるひきつってる。

「おい、落ち着け。編入生がきて嬉しいのはわかるが叫ぶな。あ、とりあえずお前瀬戸川姉の横な」

「あ、はい」

俺の席は一番後ろ窓側。瀬戸川姉の席は空席を挟み、右。その右には山田とか言う男子。瀬戸川姉の隣。つまりー

「俺の横かよ!?」

思わず叫んでしまった。

「あ、迅おにーちゃん!」

ピシッ。そんな音がした。気がした。

「山形くん、女の子にお兄ちゃんって呼ばせてるの.........?」「不潔.........」「山形、貴様、断罪する」

女子からのゴミを見る目と男子からの嫉妬の視線が痛い。

「おい待てホントその呼び方は止めてくれ。俺が死ぬ」

社会的に。

「ん?そうかな?うん、じゃあ止める」

助かった。

「これからは、迅お兄様だね!」

「かわってねぇぇぇんだよくそがぁぁぁぁ!!!!!!」

俺はその場で絶叫した。大体なんだよこのクラス男子が能力使う用意してるんだが!?

割とシャレにならん。

「.......そんなに...嫌?」

由莉が不安げな表情で見上げてくる。くっ......卑怯な.........

おかげで周りが

「か.........可愛い!?」「もう、悔いは無い.........」「おい!?逝くな!田中ぁ!高橋ぃ!」

ホントこのクラス大丈夫か!?

「いや、別に嫌いって訳じゃ.........」

「そっか、良かった~」

ふわっとした微笑で、安心したように言う由莉。くっそなんか日に日に女になって来てやがる。

「おいお前ら席に着け。今ホームルーム中だぞ」

という担任の声で由莉含む全員が着席。担任よ、ナイス。

キーンコーンカーンコーン

しばらくして、ホームルーム終了のチャイムが鳴る。

「次の授業遅れんなよ。以上」

と言い、教室を出ていった。

と、同時に。

「ねえねえ何処から来たの!?」「山形君とはどういう関係なの!?」「そもそも高校生なの!?」

と、クラスが一気に騒がしくって危ねえ!?

「山形ぁ.........てめぇどういう了見だぁ?」

ナ イ フ 飛 ん で き た

「ただの知り合いだよクソが!物騒だなおい!?」

正面から能力で加速して突っ込んでくる野郎を水蒸気の性質を鉄にして壁を作り迎撃後ろからのナイフは液体の壁で迎撃っておいナイフなんで更に四本も飛来してんだ誰の能力だクソがっ!!

「くっそ制裁できねぇ、囲め!!囲めば捕まる!なんたって多対一だ!俺達ならやれぎゃあああ!!!!」

なんて綺麗な死亡フラグ。

叫んだ奴の眼鏡の性質を水に変え鼻に流し込む。

「溺死したい奴から掛かってこい。相手してやるよ。言っとくが俺は今キレてっからな.........過時でも呼んどけよ.........死にたくなけりゃあな」

このあと三人くらいの服を鉄に変えて、飛んできた先生により戦闘は終わった。

いやー、今回はもうネタ回ですよ。もう。あ、どうも澪霧です。

今回は一つお知らせが。

この小説。

1000アクセス越えました!ありがたい!

これからもよろしくお願いします。

また次回!

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