第二十四話 文系
「よ! 梃徒、一緒に帰ろうぜ」
「部活は?」
「今日は休みだよ。そうだ。帰りにファミレス寄ろうぜ」
「勉強教えてもらいたいわけだね。真澄君」
「そ、そんなわけねえじゃねえか。あは、あははははは」
「君は本当にわかりやすいね」
「う、うるせえ! 行くのか? 行かねえのかどっちだ?」
梃徒は立ちあ上がった。
「もちろん真澄君のおごりだよね? なら行くよ」
「よっしゃ!」
梃徒はふと教室にある一つの机を見た。
そこには、花瓶があり一厘の花が添えられている。
「ねえ。あれってなんで机の上に花置いてるの?」
「さあ、それよりもどうして誰も座ってない机があるんだろ」
その机は誰にも覚えられず。学校を去った人の机だ。
梃徒と真澄は教室の一番後ろでいいから、机と花を置かせてくれと頼んだ。
彼らの必死の頼みに、担任の矢場居はしぶしぶ承諾したわけだ。
日本を大混乱に陥れた出来事があってから、すでに一年近く経った。
高校三年生になった梃徒は受験生となり、進路選択を迫られた。
一時期、理系に進んで、人工知能の分野に進もうかとも思った。
だが、それはやめた。
梃徒が好きだった女の子。
ほとんど誰の記憶にも残っていない彼女は、確かに人間よりも人間だった。
彼女との思い出は彼の中で何よりも輝いている。
だからといって、それに縋り立ち止まることは違う。
そんなことでは彼女に怒られてしまう。少年愚かだね。と。
いい意味で彼女を忘れる。
そう歩もうと思った。
だから彼は文系として大学に進むことにした。
「ほら、梃徒急げ!」
「僕は帰宅部なんだ。君みたいに体力がないんだから急かさないでよ」
「そんなんでどうすんだよ。貧弱だと、桿那に嫌われんぞ」
「ぬ。それはがんばらないといけないね」
といっても、彼女を忘れることなんて不可能だ。
けれど、彼は歩んでいる。
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灘梃徒ーなんてこと。
灘桿那ーなんてこだ。
灘梃汰ーなんてこった。
灘才華ーなんさいか。
矢場居人駄ーやばいじんだ。
碇真澄ーいかりしんとう。
それぞれの名前は、一応こういう読みができる的な感じです。




