第四話 俺のスキルがこんなに恐いわけがない
遅くなったうえに短めです。
《帝級能力『並列思考』使用。神級能力『叡智神』を母体に変革――――成功しました》
《唯一能力『並列精神超疑似生命思考霊体』を獲得》
《プログラム作成――――実行――――成功しました》
《神級能力『叡智神』消去》
《神級能力『夢幻神』、『武具神』、『加護神』、『空間神』、『結界神』、『破壊神』を獲得しました》
え?ちょっと待って。は?ええええ?
い、一体!?何が起こって――――
《アリス・エピロードを対象に、『代行神』発動。『神之氷』、『魔力操作〝神〟』、『神魔化』を獲得しました》
――――ああ、そんな能力あったねえ。……じゃねえよ!マジでどうなって――――
《プログラム作成――――実行――――成功しました》
《神級能力『威圧神』、『魔操神』、『誘導神』、『神族化』を獲得しました》
……ステータスオープン。
フェイト・ウェアーリークス 人間 男 15歳 貴族
称号:世界の天敵
LV.3048
HP:∞
MP:∞
攻撃力:∞
防御力:∞
敏捷力:∞
魔錬力:∞
抵抗力:∞
魔術適正
火:∞
水:∞
風:∞
電:∞
土:∞
光:∞
闇:∞
魔法適正
炎:∞
氷:∞
嵐:∞
雷:∞
鉱:∞
聖:∞
邪:∞
魔導適正
神:∞
能力
ランク神級
『代行神』 『魔導神』 『帝級神』 『誓約神』 『夢幻神』 『武具神』 『加護神』 『空間神』 『結界神』 『破壊神』 『威圧神』 『魔操神』 『誘導神』 『神魔化』 『神族化』
ドウシテコウナッタ?
いや、称号もかなり気になることになってるんだけど、それ以上に何だよこの神級能力。
《フェイト様の強くなりたいという願いを叶えるために、能力を進化させました》
へえ、成程。俺が願ったからかぁ。そっかそっか。……じゃねえよっ!もういい加減俺の驚き方のバリエーションもワンパターンになってきてるんだよ。
あの一件――――ついさっきの大陸切断――――があってから、もう何が起きても動揺しないと誓ったんだよ?それなのにさ、何この苛め?俺の反応見て、叡智神さん楽しんでない?そもそも願ったくらいで簡単に能力って――――
《私は『叡智神』ではありません。『叡智神』を母体とした唯一能力『並列精神超疑似生命思考霊体』です。
尚、『叡智神』は能力の強化に使ったので既に存在しません》
あ、はい。えーと、じゃあ、並りぇっ……並れちゅっ……並列思考疑似霊体さん。
《並列思考疑似霊体ではありません。並列精神超疑似生命思考霊体です》
ご、ごめんなさい。並列精神疑似生命超思考霊体さん。
《超の位置が違います。超が入るのは思考の前ではなく、疑似の前です》
……並列精神超疑似生命思考霊体さ――――
《言い辛いのであれば、私の愛称を考えてくださっても結構ですよ》
今俺言えてたよね!?出来――――
《愛称を考えてくださっても構いません》
いや、だから言えて――――
《愛称を考えてください》
お願いになって――――
《愛称を考えなさい》
まさかの命令形!?
《考えなさい》
催促された!?
《さっさと考えろっつってんだろ。このボケカス》
なんか凄い口悪くなってるんですけど!?
《アナタ、怠惰デスね?》
おい、それ違う人のキャラ。それ不味いから。割と本気でマズイから。
《私の愛称を考えてくださっても結構ですよ》
SAISHOに戻ったぁぁあぁぁ!?
ああもう。考えれば良いんだろ考えれば。
《ありがとうございます》
名前ねえ。どうしよう。必殺技から分かるように、俺ってネーミングセンス無いからなあ。
うーん。並列精神超疑似生命思考霊体って俺から生まれたんだよな?だったら俺の名前から連想してみるか。
フェイト→運命→デスティニー→スティ
じゃあ、お前の名前スティな。
《想像を絶する適当さですね。大体、最後何故デとニーを消したんですか?》
何となく?
《成程。私の名前は何となく程度で決まるものなのですね》
そもそも名前を考えろっていうのはお前の無茶ぶりじゃん?それでそれは酷くないか?
というか、お前普通に自我持ってるな。ついさっきまではもっと機械的じゃなかったか?反骨精神有りすぎだろ。
《私が自我を持てるように能力を使用しましたからね。
はあ、スティですか。まあ、いいでしょう。これより私はスティです》
投げやりだな。適当とはいえ、自分で考えたものを貶されると腹が立つ。
《『並列精神超疑似生命思考霊体』が唯一能力『並列精神超疑似生命思考霊体:スティ』に進化しました》
え、それだけで進化すんの?
《帝級能力『霊族化』が神級能力『神霊化』に進化しました》
……オッケー。もう驚かない。うん、俺は驚いてない。
それじゃあ、スティ。何故こんな状況になったか、説明してくれ。
《はい。まず、フェイト様は強くなりたい、と願いましたよね?》
ああ、冗談みたいなものだったけどな。
《それを実現するためには、『叡智神』のアクセス権限では足りなかったので、能力の進化を行うことにしました》
前にも言ってたけど、アクセス権限って何?もしかして、世界の管理者とかいるの?
《アクセス権限とは……世界のシステムに干渉する力のことです。分かりやすく言えば、ステータスを変える力、ですね。
管理者については、純粋に能力の力が足りませんので、分かりません》
スティって叡智神よりも上なんだろ?それでも無理なのか?
《そうですね。私には最上位神程度の力がありますが、全く足りません》
おい、それってつまり、神級能力より上があるってことか?
《そうなのでしょうね。
大分話が逸れてしまいましたが、どうやって私が『叡智神』を進化したかと言いますと。『並列思考』を使用することにより、叡智神の自我を形成したのです》
なんか、出来て当然の思い付きみたいに言ってるけど、それって凄いことなんじゃねえの?
《いいえ。『代行神』の力を補助に使えば簡単でしたよ》
……そっか。神級能力の進化が簡単か。ああ、いいんだ。続けて続けて。
《続けてとは言われましても、そこからは手に入れたより上位のアクセス権限や『能力神化』等を使ったり、フェイト様が忘れていた『代行神』を使ったりしただけですので。別に変なことはしていませんよ》
ふーん。それじゃ、ステータスの能力説明欄が無くなってるみたいだし、一つ一つ説明してくれる?
《はい。
『夢幻神』は、相手に幻覚を見せる効果があります。五感全てに干渉するのでなかなか強力ですよ。
『武具神』は――――》
ああ、それは何となく分かるわ。あれだろ?昨日買ったオリハルコンが無駄になったんだろ?
《はい。帝級までの武器、防具は全てノーコストで生産。神級もヒヒイロカネがあれば生産可能です。
『加護神』は『能力贈呈』の大量生産バージョンと思ってくれればいいです。
『空間神』はまあ、その辺の空間を支配できるって感じです》
おい、どんどん雑になってるんだけど。真面目にやってくれよ。
《そう言われましても、フェイト様では理解できないと思いますよ》
そうなんだ。ならしょうがないか。って、なにさりげなく俺の事ディスってんだよ。
《事実をそのまま述べただけですが?
では、説明を続けましょう。
『結界神』は基本的に自分の体を守る防護壁のような感覚でいいです。一定範囲内に影響を及ぼすこともできます。
『破壊神』は物質に『破壊属性』を付与します。『破壊属性』が付与された物質に触れると、原子レベルで破壊されます》
何それこわっ。
《ちなみにジュリエット・ウェアーリークス様は、この『破壊神』の下位互換である帝級能力『破壊之腕』を所持しています》
……は?何、あの暴力魔は帝級能力持ちだったの?世界にも帝級能力持ちはほとんどいないはずだよな。弟が神なのに姉もチートなの?
《そうですよ。でなければ能力値を下げているとはいえ、能力を全力使用しているフェイト様に傷を負わせられる訳ないじゃないですか。あ、ちなみに、『結界神』があるので、もう無効化できますよ》
そ、そうか。……おいマテ。つまりあの姉は、弟に人類最高レベルの能力全力使用で殴りかかってきてたのか!?マジで何考えてんだよ。今度会ったら絶対ぶっ飛ばす。
《『威圧神』は相手を恐怖させる効果ですね。相手との存在格の差によって威力が変わります。この能力によって心を折った相手は何時でも殺せるようになります》
うっわ~、えげつな。生殺与奪の権利獲得かよ。
《『魔操神』は『魔力操作』系統の能力です。MP効率が良くなったりします。
『誘導神』は相手の魂を操る能力です。要するに洗脳ですね》
何でそんなの覚えたの?
《『神族化』、『神霊化』は『神魔化』と同じであまり意味はありません。――――現時点では》
俺の質問が未読スルーされた。
それと、現時点ではってなんだよ。怖いんだけど。パターン的に神龍化と神獣化もありそうだし、その二つも揃えて五つになったら何か起きるのかな?
《はい。何が起きるかはその時のお楽しみです。きっと驚きますよ》
……いや、何が起こるか分かってんなら言えよ!?『きっと驚きますよ』じゃねえよ!驚かなくていいんだよ!!つーか、何で言わないんだよ!?
《フェイト様が動揺している姿を見て、ニヤニヤしたいからです》
性格最悪だああああああ!!お、俺は何て悪魔を作り出してしまったんだ!
《悪魔ではありません。スティです》
何でそこわざわざ言い直すんだよ。実は気に入ってるだろ、その名前。
《べ、別にフェイト様がつけてくださった名前が、嬉しいわけじゃないんですからね!》
何故に急にツンデレ?お前の性格ってどっちかっつーとツンドラだろ。永久凍土だろ。
《私の性格を把握するほど長く付き合ってはいないと思いますが》
長くはねえけど、少なくともお前が生まれた瞬間から一緒にいるよ。しかも、この先も嫌でも一緒だよ。
《……それは求婚ですか?》
能力相手に恋愛する奴がどこにいるんだよ!まあ、俺も『この先もずっと一緒だ』発言は蛇足だったと思うけど。
ていうか、さっきから俺達は何の話をしてるんだよ。明らかに脱線してるだろ。
《とは言われましても、本題はもう終わっていますが》
終わってねえよ!五個の能力を集めたらどうなるかをまだ言ってもらってねえよ!!早く言えよ!!!
《そういえば言い忘れていましたが、冒険者ギルドに行く前に先程の卵を孵した方が良いと思いますよ》
無視すんなァァァァァ!!!!さっきから地味に俺の心にダメージ入ってるんだよ。頼むから構ってくれよ。
《私ってフェイト様の二重人格のようなものなので、見方によっては自分に話しかけてるイタイ人ですよ、今の貴方》
その構い方はやめてェェェェェ!!!!俺のHPゼロになっちゃうから。ていうか、なっちゃったから!
《そういえば言い忘れていましたが、冒険者ギルドに行く前に先程の卵を孵した方が良いと思いますよ》
やめて!?無視しないで!?俺、寂しくて死んじゃうから。ウサギだから!!
《ウサギは寂しいだけでは死にませんよ。そんなことも知らないんですか?それに、本当に寂しくて死ぬのでしたら、フェイト様はウサギ未満ですね》
……分かった。コイツSだ。ドSだ。サディストだ。後、普通だったらウサギ以下って言うところを未満と言っていることに拘りと悪意を感じる。
《そういえば言い忘れていましたが、冒険者ギルドに行く前に先程の卵を孵した方が良いと思いますよ》
……うう、俺負けないもんっ!強くなるんだって約束したんだもんっ!!
《そういえば言い忘れていましたが、冒険者ギルドに行く前に先程の卵を孵した方が良いと思いますよ》
お前は一秒前に自分が言ったことも忘れてるのかよ!?言い忘れすぎだろ!
後さぁ、ボケを無視されると俺悲しくなっちゃう――――
《そういえば言い忘れていましたが、冒険者ギルドに行く前に先程の卵を孵した方が良いと思いますよ》
Sir,Yes,Sir!今すぐ孵化させます!!
《今すぐとは、この場でということですか?こんな普通の宿にいきなりドラゴンが現れたら不味いことになるでしょう。少しは考えて行動してください》
はい、すみませんでした、Sir!!今すぐ瞬間移動してきます。
《それと、さっきからアリスが不審な目で貴方を見ていますよ。気づいてないんですか?》
そう言われて隣を見てみると、アリスが不審、というかあわあわとしてこちらを見ていた。
「フェ、フェイト様、どうしましたか?まさか、何者かの精神攻撃を!?」
ああ、癒されるなあ。同じ敬語キャラでも悪魔とは大間違いだ。アイツとの会話ってある意味精神攻撃だもんなあ。
「大丈夫。ちょっといろいろあって、俺が豆腐メンタルだってことが判明しただけだから」
「豆腐メンタル……?えーと、兎に角大丈夫なんですよね?良かったです」
グスッ。お前だけだよ、俺の心のオアシスは。
「えーと、まあ色々あって、ドロップ品の卵を孵すことになったんだが、見に来るか?」
「はい、見てみたいです」
何故かスティのセリフが次々と浮かんできます。やはり、僕の性格に近いからでしょうか?