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番外編1

 見上げると淡い桃色の桜が満開だった。

「萩」

 呼ばれて振り返ると、そこには会いたかった人がいた。

「紅葉」

 萩は嬉しくて微笑んだ。

「やっぱり、あなただったのね。

 信春様がお話される紅葉様は」

 紅葉は楽しそうに笑った。

「へぇ、どんな噂話だい?」

「女好きの遊び人。

 でも、きちんと仕事はこなす人」

 紅葉は苦笑した。

「貶されているんだか、褒められているんだか分からないね」

 褒めているのよ、と萩はくすくす笑った。


「紅葉様、それ以上萩に近寄らないで!

 萩は私の大切な侍女なのよ。

 気付いたら萩のお腹が大きくなっていました、なんて承知しないわよ!」

 桜子が信春の隣でにらんでいる。

「桜子、それは言いすぎだよ」

 信春が困った顔をしている。

 萩は楽しそうに笑っている。

「信用ないなぁ」

 紅葉がぼやいた。

 当たり前だろ、と夏野が言った。

「女と見れば見境なく口説く。

 それが紅葉、お前だ!」

 夏野の隣にいた蛍は苦笑した。

「夏野様、言いすぎですわ」

「やあ、蛍久しぶりだね。

 相変わらず、美しいね」

 ほら、油断出来ない!と夏野は蛍を背中にかばい、にらんだ。

「紅葉、遊びすぎよ」

 萩は楽しそうに笑って言った。

 悪かった、と紅葉は笑った。


「そういえば、真白はまだ来ていないな」

 と信春が言った。

「ああ、彼女を迎えに行ってから来るみたいだから、少し遅れるのだろう」

 夏野がそう言って桜を見上げた。

 風が吹いて桜が舞い上がった。

 美しい桜吹雪だった。

 綺麗ね、と桜子が呟いた。

「萩のこと、真剣なら許してあげるわ。

 一緒にこの桜を見たいと望んでいたのなら、許してあげる」

 一緒に見ると想いが通じるという桜の森。

 無粋な真似はしたくない。

「真剣ですよ」

 紅葉は萩を見てキッパリ言った。

「桜子様、私は遊び人でも構いませんわ。

 あの屋敷で出逢った人、それが紅葉。

 私が知っている紅葉なのですから」

 萩は紅葉を見て微笑んだ。

 その嬉しそうな笑顔を曇らせることが出来るだろうか?

 桜子はため息をついた。

 姉のように大切に思っている萩を取られるようだった。

 信春はそんな桜子の頭を優しくなでる。


「また、皆で桜を見に来よう。

 この森で楽しもう」

 な?と信春は桜子を覗き込んだ。

 いいね、と夏野が言った。

「でも蛍狩りは二人で行きましょうね」

 蛍が夏野にこっそり告げた。

 ああ、もちろんだよ、と夏野は頷いた。

 遠くで真白の声が聞こえた。

 隣には愛しい姫を連れて、手を振っている。

「これで皆そろったな。宴会を始めようか!」

 信春は楽しそうに言った。

 そうして桜の森には楽しそうな声がこだました。


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