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誰がための存在証明(レゾンデートル)  作者: リョウト
Fourth Chapter ~Fire Fear Find~
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第56話 よくもまあ

 っかしーな、ザコ相手のほうが筆が進む。あれか、苦戦させるのが苦手なのか?

 ~アクダク火山~


「……あ~、そういうこと。ターレット、君恨まれてるんじゃないのぉ?」

「いやお前だろ俺じゃなくて。襲撃した主犯格お前だろうが」


 ローゼは洞窟から出た途端に襲ってきた集団を見て溜息をつく。

 右も左も銃装備。種類こそ違えど攻撃方法は杓子定規で呆れどころか哀れみすら覚えてしまう。


「GHG、逆恨みもいいところだねぇ」

「元御仲間、どうにかできないの?」

「無理だって……どう見ても冷静さ失ってバーサク状態の奴しかいねぇし」

「銃弾ねぇ……有機物は含まれてないよなぁ?」


 ローゼは呆れが多分に篭った溜息を吐き、銃口を向ける襲撃犯共に目を向ける。

 人数は十二人、そのうち手強そうなのは御誂え向きに四人だけ。残りは目をつぶってても全員勝てるだろうし、手強そうな4人だって0.1リザードマンあるかすら危うい。

 そこまでローゼは分析した。そして数瞬考える。


「よくもまあここまで木偶の坊ばかり揃えられた物で」


 ローゼは口に出してから少し間をおいてやらかしたことに気付いた。


≪ンダトコラー!≫

「あぁぁ、面倒臭いぃぃ」

「なんで銃向けられて囲まれてるのにそんなに緊張感ねぇんだよ!?」


 激昂し益々目から冷静さを失っていく襲撃犯たちを見てローゼは心底嫌そうに顔を顰め、ターレットは全力で突っ込む。

 そんなターレットを尻目にセリオとハルが飛び出す。


「興味無かったら全力で神経逆撫でに行く癖なくしなさいよね。さっさと片付けるわよ」

「あっはっは。いやぁ興味いい意味で引いてよかった。マジで」

「わざとやってるわけじゃないんだってー」


 引き金が引かれ、銃弾が一行を襲う。

 ローゼは石礫を蹴り飛ばして銃弾を跳弾で反射させる形で弾き飛ばし、セリオは剣の表面で撫でるように逸らし、ハルは銃弾の隙間を縫うように駆け抜け、ターレットは炸裂装甲(リアクティブアーマー)で傷一つつかない。


「狙いが見え見えで照準も構えもド素人。ハッ、やっぱり木偶の坊だろ」


 ローゼの言葉に先頭の襲撃犯の顔が紅潮する。そして悪態をつこうと前のめりながら口を開くが言葉が発せられることは無かった。


「奥義発動、【三段重ね蹴り】!」


 襲撃犯の腹にローゼの右足の爪先が突き刺さり、のけぞった胸骨を砕くかのようにローゼは左足で強く踏みつける。そしてそのまま高く飛び上がり、太陽を背にして踵落としを襲撃犯の頭めがけて振り下ろす。

 踵落としを喰らった襲撃犯は地面に強く叩きつけられ大きくバウンドして青い粒子へと変わって消滅する。

 踵落としを繰り出した体勢のまま空中に浮くローゼを狙い撃とうと四人ほどが反応してローゼに向かって銃を構える。しかし次の瞬間には銃を構えた腕が四人とも肘の先から切り落とされていた。


「……木偶の方がマシね。切り応えが無いわ。柔らかすぎるのよ」

「うわぁーっ!?」

「俺のうでがぁっ」

「腕の中って青いっけぇ!?」

「青い粒子になる前段階だから青いだけだ馬鹿野郎!」


 セリオは剣の腹を指で撫でた後肘から先を切り落とした奴らのほうへと向き直り、駆け出す。

 パニック状態に陥っている四人とすれ違いざまに心臓の辺りを一突きし、全員を青い粒子へと変える。

 次の瞬間、男たちが残身で止まっていたセリオを後ろの三方向から襲う。


「しまっ」


 セリオが少しだけ慌てた瞬間、セリオに襲い掛かった三人の男たちは頭を後ろから撃ちぬかれ青い粒子へと変わり消滅する。


「飛び掛るなよ、わざわざよ。何のために持ってんだ、その銃」


 その背後にはターレットが銃口から硝煙が上る銃を構えて立っていた。ターレットはそのまま無造作に自身の背後を撃ち抜き忍び寄っていた敵を消滅させる。

 それを見た残りの襲撃犯たちは各々の獲物を構え、ターレットを狙い銃弾を放つ。が、全て炸裂装甲に阻まれターレットには傷一つつかない。


「よく狙えよもっともっと。じゃなきゃあ―――」

「―――しっ!」


 ターレットに向かって銃を乱射していた襲撃犯たちの胴体が一気に割断され青い粒子に変わる。その背後にはハルバードを振り切った格好のハルが立っていた。


「―――後ろからバッサリだ」

「あのねぇ! 俺がやったんだよ!? なんでアンタが決めてんのさ!」


 目を閉じて決め顔をしているターレットを指差し、ハルは激昂する。なんというかいまいち決まらない。


「あらまぁ、俺が一番スコア低いじゃぁん」


 ローゼが着地中に最後の一人を撃ち抜きながら事も無げに言う。因みに撃破数(スコア)2。


「……アンタあれらbotか何かと勘違い……してないわね。生きてるって知ってながら自分に害をなす人間虫以下に扱うものね」

「あのさぁ、セリオキミ俺を鬼畜な印象つけようとするのやめてくんなぁい? 恩が無ければ躊躇なしってだけだよぉ」


 セリオはため息をつきながらツッコミ、ローゼはそのツッコミに心外だとも言わん態度でそれに反論する。一般人からすればそれも結構“情に欠けてる”とか精神疾患の疑いかけられそうだが。セリオの撃破数は4。


「そういうセリーもItで表現して……あれ? “あれら”だからTheir? ならいっか」

「セリーってもしかしてアタシの事じゃあないでしょうね」

「あっれ、気に入らなかった?」


 セリオの睨み付ける様な目つきにハルバードを地面に突き刺しそれにもたれかかっているハルはそのだらけきった体勢のまま首を傾げる。撃破数3。


「俺ターーになるぞ。その名付け方だと」

「いやタレだな」

「調味料だとぉっ!?」


 ターレットは服の状態を確かめながら指摘するとハルから返ってきた まさかの答えに目をむきながら驚愕する。二重表現? 良いんだよ。撃破数3。まさかのセリオが一位である。


「ローゼもロゼって呼んでるものね。二文字目が伸ばす音だったら縮める、って感じかしら」

「そういう事。たまにあだ名がどう足掻いても語感が悪くってつけないこともあるけどね」

「たとえば?」

「レイヴン、コロナ」

「あぁー」


 実際にやるとレイーとコローである。コローはなんと言うか気が抜けた感じしかしない。それを想像してセリオはなんともいえない表情になり、ローゼを見やる。


「無駄に語感いいものね。ロゼ。ワインみたいだけど」

「はっはっは。ドタマブチ抜いてやろうか」


 互いに全く目が笑っていない状態で笑いあうローゼとセリオに気味が悪いものを感じながらハルとターレットは先に山道を下り始める。

 それに気付いたローゼとセリオはそれを追い、フォーリン・カーズに戻った後パーティは解散しそれぞれログアウトして眠りにつくのであった。太陽? とっくのとうに落ちている。

 因みに今回のテーマは【ローゼがいるのにローゼ以外が活躍】でした。

 ……ハルに見せ場作る予定だったんだけどなー。

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