第54話 私はフィアリア
おかしい、プロット通りなのに唐突な気がする。あっれー?
あ、連休終わったんでまた間が開きます
~アクダク火山:洞窟~
「銃弾はあんまり効かないんだよねぇ……ほら、陶器めっちゃ堅くした感じじゃんあのゴーレム。俺の持ってる銃弾マグナム弾ですらそんな貫通性能高くないから……マンストッピングパワーのほう重視してたし。だからちょっと肉弾戦しか出来そうにないんだよねぇ……刃立たなかったんでしょう?」
「そうねぇ。一応済ませておいたパーティ情報から見るとダメージは受けてないみたいなのだけれど……威力が高すぎたら中のあれにも喰らうわよねぇ……どうしたものかしら」
ターレットを取り込み、動きの止まったゴーレムを前に考え込むセリオとローゼの二人。そこに腰をさすりながらハルが歩いてきて、並ぶように立った。
「いつつ……ぜってぇあのゴーレムセイバーよりバラバラにしてやる……状況は?」
「ターレット触手でとりこむっつうスーパーロボットの悪役みたいな真似して今止まってる。案はある?」
ローゼがハルに問うと、ハルは少し考え、考えを口に出した。
「桃太郎作戦はど「「却下」」なんでさ!?」
しかしその案はローゼとセリオの二人に一蹴されハルは全力で叫ぶ。
「あのね。真っ二つにしたらもれなくターレットも真っ二つだっての」
「そもそもあれは桃食べた老人夫婦が子」
「そんな裏事情的な話はいいって! ってか、それの、何が問題があんのさ? ゲームだぜ? これ」
「「……」」
ハルの台詞にローゼもセリオもため息をつきながら冷めた目でハルを見つめる。
「え、なにその『こいつやっぱりなんで困ってるかわかっちゃいねぇ』って目。俺間違ったこと言ってねぇけど。死んでも生き返るんだぜ? 別にいいじゃん」
「ハル、キミは仮想現実というものをわかっちゃいないようだな。もしもデスゲームになってこういう事態になったら? 現実でこういうことが起こったら? 死んでも生き返るのは今だけかもしれない。なら後悔しないように進みたいとは思わないか? ゴーレムも倒す! ターレットも倒す、違う、助ける! 後出来る限りゴーレムの破片を出来るだけ集める! それさえ出来ればいい!」
「目的多い多い」
ハルはため息をつきながらセリオと反対側のローゼの隣に立つ。
「でもま。あんたについてくって俺は決めた。あんたが決めたんなら俺は従うさ。俺に、従って」
「そういっときながら真っ二つにしたらお前の背中をナパームで撃ち抜く」
「す、するわけねぇでしょ」
「そっちには岩しかないぞ」
ローゼの向けた殺気でハルは明後日の方向を向く。その後頭部にはヴァーチャル世界にも拘らず滝のような汗が流れているように見えた。
「まあいい。言っとくけどなぁ! 今俺ちょっといらついてるからな! 主にこの小動物どもとあの参考にできるところが少なそうなゴーレムの所為で! 上げて落としすぎだろうが!」
ローゼは襲い掛かってくる小動物の群れを銃で撃ち、鞭で叩き、刀で切り払い、足で踏み潰しながら叫ぶ。
「これ以上イラつかせるなよ。その瞬間にそいつの脳天な風穴あくかもしれないからな! それがわかったら、行くぞ!」
そしてそのローゼの号令で三人は同時に駆け出す。
「あ、ちょっと待ってよ」
そしてつんのめった。
「あはは、いやぁ、タイミングがつかめなくてね。条件満たしたからこうしてではって見たんだけどさ」
「……」
ローゼは無言で帽子を被り直す。その表情は見えない。
「なんかピンチみたいだし。ここかな! て思ってさ」
「……」
ローゼは無言で声の主に近寄り、その額の中心に銃口を向けた。
「だからごめんなさい銃下ろして?」
「嫌だね」
そしてトリガーが引かれた。
「うわったぁぁぁっ!? マジで撃ったぁぁぁっ!?」
「撃つさ。キミ俺が言った事聞いてたんだよな? タイミング計ってたとか言ったよな。なのにあのタイミングで出てくるって事はさ。撃たれる覚悟有りってことだよね。ねぇ、俺間違った事言ってるかな?」
「ロジック間違えてなくても人間として間違えてるでしょ!?」
「俺的には間違えてない」
「どこのシリアルキラー!?」
ローゼの台詞に全力で叫ぶ声の主は燃えるような長い赤い髪に、気が強そうな吊り目。金色のイヤーカフスに首にかかったネックレス。そしてボディのラインが見えるほどぴっちりした革の赤いドレス。なんというか、一部分を含めてとてもフィクション的な美女がそこに立っていた。
まあ美人だろうが醜女だろうが今のローゼには一切関係ないのだが。
「……あのね、面倒くさいからきっぱり言うけど、気分が乗ってたの。追い風吹いてたの。それ邪魔してくれて、怒髪天よ?」
「知らないよ! それそっちの勝手でしょう!?」
赤い髪の美女はローゼの勝手な言い分に目を見開きながら叫ぶ。確かに勝手すぎる。
「て言うか私烈火の賢者だよ!? 撃ち殺してもいいのかなぁ!?」
「知ったことか。 はいいーちぃ」
「待ちなさいよこのドアホ」
迷いなく賢者と名乗る美女を撃ち抜こうとするローゼの背中にセリオの飛び蹴りが突き刺さった。
「うごぉぅ!?」
セリオのとび蹴りを受け、ローゼは派手に吹っ飛ぶ。
「大袈裟ね。どうせダメージとは逆方向に飛んでるだけでしょうに。あのねぇ。アンタ、自分たちの当初の目的忘れてるんじゃないの? 火属性魔法の習得よ、習得。何を血迷ってその目的物撃ち殺そうとしてんの。そりゃあアタシもイラっときたわよ? でもね。目的物なの。抑えなさいよ? ねぇ。馬鹿なの、死ぬの、いや、死んじゃいなさいよ。ねぇ」
「そこまで言うこたないだろぉ!?」
「あ、起きた」
セリオの容赦ない言葉の雨霰にローゼは涙目になりながら吹き飛ばされた格好から起き上がる。
「確かにそんな話だった気もしないでもないけどさぁ。だからって全体重乗せたジャンプキックするぅ?」
「じゃないとあんた止まんないでしょうが」
「むぅ~。まぁ、いいやぁ~。で、キミ、名前は?」
「え?」
ローゼにいきなり話を振られた美女は呆けた表情で聞き返す。
「名前だよ名前。キミや目的物ってずっと呼ばれたいわけじゃないでしょう」
「いや、目的物ってのは普通人間にする呼び方じゃないと思うけど……私はフィアリア。烈火の賢者よ」
「話終わったー?」
「途中だから。まだ名乗りの途中だから。えっと……あれ、なんか長ったらしいのあった気がするんだけど。あれー?」
途中で乱入してきたハルに驚き失念したのか、フィアリアは首を傾げる。、
「今まではなかったよねぇ?」
「緊急時だったからなかったわよ」
「こっちも悲鳴聞こえてきたからなかったけど。緊急時ってことでいいんじゃ?」
「ええい! もうそれで良いや! レイシェントの爺様にもシェダルクの婆様にも前例があったから無視しましたで行こう!」
フィアリアはそう叫びながらローゼ、セリオ、ハルの三人に赤い光を送る。
三人はステータスウィンドウを開き火属性が追加されたことを確認するとゴーレムに向き直る。
「じゃ、改めて! Ready go!」
「はいはい」
「あいよ!」
そして三人は駆け出し始めた。ターレットを助け、ゴーレムを倒すために。




