第52話 離れてくれる? 人間火薬庫さん
なんでだろう、男同士の茶化しあいのほうが書き易い、おんなっけが無いからか?
てな訳で今回もセリオが空気です。でも喋らせ始めると止まらない、何故だ。
~アクダク火山:洞窟~
熱気が篭る洞窟の中、それを分かったのは目を開けていたハル以外の3人だけだった。
かなり高い熱により仄かに灯る赤い光。それは、マグマ溜まりが見える場所についたことを表していた。
「よぉっし! 着いたぁ!」
「途中ターレットがトチ狂ったり、ローゼとハルがトチ狂ったり……あら、トチ狂ってないの私だけじゃない」
「馬鹿アマ、異議有りだ。トチ狂ってないぞ、俺は」
「パニックもトチ狂いに含まれるに決まってるでしょうが」
「マジでか言い返せねぇ」
「ねぇなにが起こってるのっ!? 目ぇあけていいの!? どこに着いたの!?」
「あぁ、マグマ溜まり。目は開けていいよぉ」
ローゼに言われるままハルは瞼を開ける。
「……明るいな」
「超高熱だからねぇ。自然と光だって放つさぁ。これもまた、超自然的で乙、ってやつだねぇ」
ハルのなんのへんてつもない感想にローゼは大仰に手を広げながら応え、頭だけ振り返って来た道を睨みつける。
「……そんな風情を感じようともせずに縄張り本能だけで雰囲気をぶち壊す畜生共が」
ローゼは大きく舌打ちをしながらEx-S・ファランクスを引き抜き、Sモードにしてから、ある銃弾の入ったケースをグリップ部分にはめ込む。そして暗闇に向けて銃を構え、引き金を引き、乱暴に振り回し銃弾をばら撒く。
次の瞬間、広がる爆炎。装填された銃弾はまだ余っていたナパーム弾だ。決して広いとはいえない道全てが獏炎に染まり、闇に隠れていたものを照らす。
それは道を埋め尽くすほどの蝙蝠、鼠、スライム、スケルトンなどの群れ。
爆炎に飲まれて青き粒子に変わるモンスターも居たが、大多数は爆炎を抜けて一行に襲い掛かってくる。
「ちっ……屋内なのが救いか! 下がれ後ろに! 巻き込むぞ!」
その言葉に反応したセリオとハルがターレットより後ろに下がるとターレットは舞う様に腕を振る。
これはストレッチをしているわけでもなんでもなく、彼の代名詞の前準備でもある。
「魔法詠唱!『【ファイア・フラワー】!』」
ターレットが短く唱え終わると同時に指先から蒔かれた火花は空気中の何かを伝い小さな火となってモンスターの群れへと近づき、その火がモンスターの体に触れた途端に大きく膨らみ爆発となって群れを一気に吹き飛ばす。
ターレット、異名、【爆弾魔】。それは装備の至る所に仕込まれた肉眼では見えないほどの微細な粉末状の黒色火薬と、本人の趣味のトラップ、火属性魔法を使って相対する敵を爆殺する様から付けられた異名である。ローゼも運が悪ければ負けるところだった。ぶっちゃけバックドラフトで助かったようなものである。
それでも生き残り襲い掛かってきたモンスターも居たが、それらは全てセリオとハルが切断し、切り刻み、砕いて処理する。
それでも大量にモンスターが襲い掛かってくる。
全員が自分に襲い掛かって来るモンスターで手一杯な中、ローゼは叫ぶ。
「ちっ、マグマも大地だろう!」
ローゼはメダルケースを叩き金色のメダルを一枚取り出し、近くのモンスターを踏み台にして天井近くまで跳び上がりながら思いっきり振りかぶる。
「魔法詠唱!『地の底眠る、渦巻く泥よ! 泥は捏ねられ、岩は固められ、泥は肉に、岩は骨に! 地属性魔法【マグマクレイ・ゴーレム】!』いけぇ!」
投げられたメダルがマグマに沈み込むと巨大なマグマで出来た人形が染み出すように現れ、拳を振り下ろす。
「うおぉっ!?」
「あ、あっぶなぁ!?」
味方に。ハルとターレットがいた辺りに振り下ろされた拳を二人とも横っ飛びで避け、そこにいた敵が巻き込まれる形で消失する。破壊力は抜群だ。
「あ、魔法条件忘れてた。失敗だなぁ。ちっ」
「「いやこっち気にして!?」」
近くに飛んできた蝙蝠たちを屠りながらゴーレムの反省点を挙げるローゼに被害者二人は声をそろえて突っ込む。
突っ込みの後に飛んできた拳を避ける二人を横目に見ながらローゼはメダルをもう一枚取り出し、追加の命令をこめた魔力をメダルに封じ込め、ゴーレムに投げ込む。
メダルがゴーレムの体に吸い込まれると、ゴーレムは動きを変えて押しつぶすようにモンスターを倒し始めた。
「あっぶねぇ、もう少しで誘爆する所だった、熱で」
「離れてくれる? 人間火薬庫さん」
「待って、おかしいぞ何か言い方が」
「油断するなよ二人とも、いつ敵が来るかわからないからな」
コントのように言葉を交す二人をローゼは諌める。
「何言ってんだよ、あのゴーレムがいる間は無いだろ、出番」
「確か3分間しか保たないにしても、まだまだ時間あるでしょ? 追加の魔力もあるし」
「いや、キャパシティ超えちゃった」
「は?」
「?」
ローゼの言葉にターレットは眉を顰め、ハルは理解できない顔でゴーレムの方を向く。その時、ゴーレムは自壊した。
「えぇぇっ!? 自壊!? 自壊なんで!?」
「おい、こら、てめぇ、いくらMP注ぎ込んだ、、追加の命令」
ターレットの問いにローゼは頬を掻きながら答える。
「……おおよそ3分の1」
「無駄遣いしてんじゃねぇぇぇっ!?」
気まずそうに告げられた言葉に、ターレットは全力で突っ込みを入れる。そんな様子を呆れた顔で眺めていたセリオの表情がいきなり引き締まり、それに気付いた3人の体に緊張が走る。
「セリオ、まだレーダーに反応は無いぞ」
「そう、なら強敵相手には私の方があんたのレーダーよりも精度がいいわね。超高速で突っ込んできてる」
セリオがそう告げた途端にローゼのレーダーにも反応があった。
「Oh,my……Construction Formation(陣形を組め)! To engage,count five(接敵まで残り5秒)! Four,Three,Two,One……Engage!(4、3、2、1…来るぞ)!」
「分かってるわよ」
「ゴーレムに引き寄せられたんじゃないのかよ!?」
「いきなり英語で指示出すなっての! 反応できねぇ……あれぇ!?」
焦ったローゼが英語で指示を出し、それにすばやく反応するセリオとハル、そして完全に反応が遅れるターレット。その間に近づいてきていた敵の攻撃をローゼは何とか受け止める。
そして、その姿を見たローゼとハルの顔には笑みが浮かんだ。
「なんだい、幸運じゃないか!」
「ローゼのゴーレム、マジグッジョブ!」
受け止められた得物は陶器製の剣。荘厳な彫刻がそのまま動き出したかのような姿。それは、紛れも無く。
「「Welcome! Darling!(歓迎するぜ、研究材料)」」
ローゼとハルが興味をそそられる魔法的なゴーレムだった。英訳すれば、Magical Golem。
英語は日本語の台詞を適当に英訳したものです。たまにスペルすら間違ってます。……なんでHelloがHallowになったんだろうなぁ




