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第20話 悪戯好きの大鴉

 なんかお気に入りに入れてくれている人が30人超えたと思ったら次見た時には28人になっていました。

 ……糠喜びだった

 ~ギルド【エレメンツ】 オネスト支部~


「んぁ……」

「あ、ログインし直したんですね。ご気分は?」


 ローゼが現実世界で一度ログアウトして催したので用を足した後ログインし直すと、訳の分からないことにどこかもわからない建物にいた。

 とりあえずローゼは起きてまず最初に目に入った女性に現在の場所を聞く。


「……つかぬことをお聞きしますけどぉ……ここどこぉ?」

「ここは日本サーバ四大ギルドのひとつ、【エレメンツ】のオネスト支部です! ギルドマスター達があなたがたをここに転移させたんですよ?」


 えへん、と胸を張る女性を白けた目で見ながらローゼは身を起こし、ベッドから降りる。


「みんなはぁ?」

「えっと、女性の方々は目を覚ましていなくてですね、幹部の一人の弟さんは目を覚まして助けに来てくれたお一人と話していまして、ミラーさんは、その、喧嘩してます」

「へぇ、ケイト、そんなVIPだったんだぁ」


 ハブられてたけど。とローゼは心の中で付け足す。そのまま扉を開けて部屋から出ようとすると慌てて女性に引き止められる。


「あととっ、いけません! まだちょっとおもてなしの準備が済んでませんので、少々お待ち頂けたらなーって」

「おもてなしぃ~? 一体何でぇ」


 ローゼが問うと女性はローゼの腰のバックルを指差す。


「そのメダルケース、七賢者の使徒のものですよね? それを持つ方は手厚く歓迎しろってギルドマスターから言われているんですよね」

「何そのファンタジー設定」


 女性の言葉に思わずローゼは素で突っ込む。そのツッコミに女性は仕方ないなぁコイツは的な目でローゼを見てローゼの神経を逆撫でる。だがローゼの表情にその不快感は浮かばない。


「そう言われてもこちらとしても言われたからとしか言えないんですよねぇ。多分今の幹部の人たち全員が使徒の証(メダルケース)持ってるからその系譜かなぁ、とは思ってるんですが」

「幹部候補生、とでもぉ?」

「多分、ですけどねー。あ、そうそう、自己紹介が遅れましたね。私はスァッカ。この支部の支部長です」

「あ、どぉもご丁寧にぃ~、ローゼでぇす」


 頭を下げられたので下げ返すローゼ。そうするとスァッカが意外そうな顔をしていたのでローゼは問うた。


「なんで、不思議そうな顔をぉ?」

「いや、あの人たちの知り合いみたいですしちょっと類友っぽくて……後、矢のつく自由業の人っぽくて礼儀知らずの常識外れな方かと思ってまして。予想外でしたごめんなさい」

「……。謝るなら、別にいいけどさぁ~。そういう見た目で決め付けるの、良くないと思う」

「あぁ、はい、ごめんなさい」

「いや別に謝れって言ってるわけじゃなくて」


 沈黙が流れ、居心地の悪い時がしばらく続く。割と見た目にコンプレックスを持っているローゼはなんで自分がこんな思いする必要があるんだよ……と心の中で思いながらおもむろに右手でメダルケースを叩いた。


「……?」

「ほっ」


 そのまま右手の甲で弾き、緩やかに回転をさせながらメダルを浮かせる。そのまま右手でホルスターから銃を抜き、左手で弾くように撃鉄を起こし、引き金を引くと、キィンと甲高い金属音が鳴り、落ち始めたメダルはまた宙を浮き、重力に引かれてまた落ちてきたのをローゼがキャッチすると、メダルの真ん中に穴が開いていた。


「いきなり何してるんです?」

「沈黙に耐えられなくって。これはガンプレイの一種だね。唐突過ぎたけど、たまにやるんだよ、これ」

「ここ日本サーバーですよね。あなた海外サーバから来たわけではないですよね」

「日本よりも海外にいた時間の方が長いだけだよ」

「……Can you understand Japanese common sense?」

「何? 俺が常識外れだって言いたいの?」


 こくこくと頷くスァッカにローゼはため息をつきながらふと思い出したことを聞いた。


「そういえばセリオは奴を倒せたのぉ?」

「セリオ?」

「あぁ~……金髪ロリ」

「あぁ。閃光の使徒の方ですね」

「? 何言ってるかわかんないけど該当するのは一人だけなはずだから多分そう」


 ローゼの知るセリオにあるのか知らない言葉を出しながら納得するスァッカに疑問を浮かべながらローゼは肯定する。


「一応説明しておきますとですね、そういう檻の中に閉じ込めるタイプのモンスターは倒すか全滅するまで脱出不可能になってます。それで、リスポーンしてないということは」

「ちゃんと倒せた、ってことかぁ」

「その通りです」


 ふぅん、と相槌を一つ打つとローゼは穴のあいたメダルを指で挟むと、天井に向かって投げ、コツン、と当てた。


「で、なんでそんなところに潜んでんの、キミ」

「え? 一体何を」

「あはは、バレました?」


 そう笑う声がしたと思うと、天井の僅かな隙間から何かが這い出てきて人の形となり、スタッと綺麗に着地した。

 その姿は癖毛の茶髪、蒼い瞳に女性のような顔立ちに鈴虫のような高い声。しかし立ち振る舞い、袖先、裾からチラチラ覗く細いが締まった体などから男なのだろう。


「いやいや、申し訳ありません。盗み聞きするつもりはなかったんですが」

「レ、レイヴンさん!? どうしたんです一体!?」


 スァッカがいきなり現れた人物に驚きのを無視してローゼはホルスターから銃を抜く。

 そして銃を向けた瞬間、首筋に鋭い痛みが走る。


「つぅっ……!?」

「いけませんよ? あんまり実力を図るために武器向けてちゃ。いつか殺されちゃいますからね」


 首筋には赤い片手用の片刃剣が突きつけられていた。首筋の痛みが熱さを帯びる。ゲーム内なので血は出ないが。


「……ご忠告どーも。でもなぁ、今の俺の目的は、お前とコロナ・フェンサーの打倒なんだけどな」

「……フフフ、一目で正体見抜くとは……AM関連での露出は一切ないっていうのに……今まであったこのゲームのAMプレイヤーの知り合いの中で一番鋭いですね。流石です。賞賛に値します。ですが」

「ッ!?」


 突然ローゼの鳩尾に激痛が走り、ローゼは踞った。レイヴンを見ると不敵な笑みを浮かべながら片膝を上げていた。死角からの一撃だったのだろう、ローゼも全く反応できていなかった。


「あともう数十レベル足りませんね。うちのギルドの本拠地までこれたら戦ってあげましょう。全力で。初めてまだ2日しか経っていない……なら、来られたなら僕と互角か、いや、それ以上の実力を得れているでしょうし」


 そしてレイヴンは剣を収め、足を下ろす。そして不敵な笑みを満面の笑みに変え、芝居がかったジェスチャーを加えながらこう言った。


「さて、ローゼさん、ようこそ、エレメンツへ。僕はギルドマスター、レイヴン。悪戯好きの大鴉。さっきの攻撃もいたずらの範疇でして。お詫びは後ほど用意させていただきます。では、大地の使徒殿、おもてなしの用意ができました。ごゆるりと、お楽しみ下さいませ」


 それだけ言い終わるとレイヴンは暗闇に消える。それを見たローゼはため息をついて息を整えながら銃をホルスターに収めた。


「やっぱりまだまだ足りないかぁ。ま、仕方ないねぇ~。じゃ、スァッカさん? 案内してもらえるかなぁ?」

「は、はい!」


 あんまりついていけてないスァッカは慌ててドアを開ける。

 ローゼはそこまでしなくていいのに、と思いながらスァッカの後を付いていくのだった。

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