第10話 AMがもっとリアルにできるから
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作者は国語の成績がアレなので誤字報告や『ココ文法おかしいんだよバカが』などのご指摘、あとこの作品の感想がございましたらぜひお願いします。
~天志田家~
「……むぅ」
カーテンに遮られながらも確かにその存在を示す太陽の光に目を刺激されながら、葉楽は目を覚ます。
「……携帯」
携帯の画面に目をやると、【9:00】と時刻が表示されていた。
「……いつもよりも遅いから寝坊というべきか、夜更かしした割には早いから早起きというべきか……迷うな」
そう言いながら寝巻きのスウェットから半袖のシャツとカジュアルズボンに着替えた後で洗面所で顔を洗い、寝癖を軽く手櫛でなおす。短く切った髪なので元々は寝るから変に曲がったのを正すだけでいい。
予定がないにしても大学に顔くらいは出しておかないといけないだろう。そのために身だしなみを整える。
それなりに身だしなみが整ったことを確認すると居間へと向かう。
「お早うございまぁす」
「おう、おはようじゃのぅ、葉楽君」
「あら、今日は遅いのねぇ。予定はないの?」
「えぇ~。秋の学会のための論文ももう纏めてバックアップまで取ってありますからぁ……講義とってる人もいないしぃ」
「あらあら」
居間に向かうと家主、浪士と妻、朱莉(旧姓:赤木)と挨拶し、自前のドリップ式コーヒーメーカーを起動させる。
コーヒーの香ばしい香りが広がり始めた時、朱莉が思い出した様に席を立った。
「あらごめんなさい。朝ごはん用意しなくちゃ」
「あぁ、いえいえぇ、お構いなくぅ」
「いいけぇいいけぇ。そのコーヒーわしらにも分けてくれりゃあええけえの」
「あぁ、はぁい。じゃあ、カップ用意しますねぇ」
葉楽が追加のカップを用意していると台所から漂ってくる焼き魚の匂いが鼻腔をくすぐる。少し混じる潮の匂いは味噌汁にハマグリやワカメが入っているせいか。……コーヒーに合うのか?と、考えてしまうがコーヒーを割と邪魔しないようクセのない味にしているため問題はない。……問題ないったら。
味を崩さないためフィルターにできたドームを崩さないように気をつけながらコーヒーメーカーからコーヒーをカップに注ぐ。
ちょうどいいくらいに朱莉が葉楽用の朝食を持って入ってきた。もともと出来上がっていたのを温め直したのだろう。
「浪士さぁん、どうぞぉ。朱莉さんもぉ」
カップを配膳し、朝食に手をつけ始める葉楽を見ながら浪士がふと口を開く。
「……そういえばなんでそんな喋り方にしよったんじゃったかのぉ」
「あらやだ浪士さん。あなたが『普通にしてただけでもなんか近所の子供に泣かれる』ってしょぼくれてた葉楽くんに『語尾を伸ばしてみたらどうかいの』ってアドバイスしたからでしょう?」
「そうじゃったかいのう。割とテキトーなアドバイスだったから忘れてしもうたわ」
「あははぁ、泣きますよ?」
「……泣く言いながら睨まんでくれ。こっちが泣いていまいそうじゃけぇの」
恩人だろうと適当に扱われたら怒る。そんな葉楽の意思が見える一幕だった。
―――――
~白南大学~
「……っていうわけなんだよぉ。恩人だし本当に尊敬してるけどさあ~。酷いと思わなぁい?」
「そういうのは、ぼ、僕らじゃなくて女性陣にい、言ってほしいかなって。フヒ」
「まあ、ワタクシたちはあまりそう言うのに詳しくないので。でゅふ」
葉楽の所属している大学のゼミ室で、コーヒーを飲みながら葉楽と、やせ細った不健康な男、坊田林音と、太った、よく言えばふくよかな、だがやっぱり不健康な男、丸田章浩と話していた。
愚痴を言っているようでも顔から笑みは消えていない。つまり、楽しい男だけの世間話、と、言った所だ。男だらけの中にいきなり女が入ってきたら挙動不審になっちゃうよね。
「ばぁか。下手なこと言ったら恩人が瀬戸内の海に沈む。できないじゃぁん?そんなのぉ」
「た、確かに僕らなら余り、え、影響もないですね、フヒヒ」
「よく言えば縁の下の力持ち、悪く言えば雑用係ですからねぇ。我々は」
章浩の言葉に林音が自嘲の笑みを浮かべながら反応する。
「ぼ、僕、力、ないんだけどね」
「案内役は必要だからねぇ。地理に詳しい君は十分役に立ってるよぉ」
「す、荒戸教授にい、言われるなら、至極、恐悦の至り、です」
ここで初めて明言するかもしれないが、葉楽はここ、私立白南大学※の脳科学専攻の教授である。分野は『記憶潜行学』とか『感情変化学』とかなんか胡散臭そうなものを取り扱っていることになっている。しかし実際は脳科学ならなんでも手を出しているためこれといった専攻分野がない。名目上必要になったから3秒で思いついたそれらを専攻分野として挙げているだけである。
「俺よりも社会貢献してる同期はたくさんいるよぉ?レニとかぁ、ジョニーとかぁ、エルミーラとかぁ」
「「SOEGが言いますか」」
「いや、だって、脳科学よりも薬学とか力学とかの方が役に立ってるし」
SOEG※とは【the Sters Of Eight Gold(八つの金の星)】のイニシャルを取った通称であり、イギリスのタワーブリッジ大学※の同時期、同年齢の高校、大学、大学院を合計3~4年で飛び級卒業した8人の学者達の総称である。その八人はそれぞれ日本、フランス、イギリス、イタリア、ドイツ、オーストリア、アメリカ、ロシアの国籍を持っている。それぞれの専門分野は脳科学、量子力学、宇宙科学、化学、薬学、生物学、固定力学、政治・心理学であり、大学院卒業時の年齢は全員19歳である。こじつけ終了。
「いや、でも、パラムス協力者、教授でしょう?ならば世界中で中々に役に立ってると思いますが」
「あぁ、あれねぇ~……」
章浩の言葉に葉楽は遠い目をする。
「どうしたんです?」
「今でこそ医学関連の応用されてるよぉ?この義眼やらぁ、補聴器やらぁ」
葉楽は傷ついた右目付近の頬骨を叩きながら話す。
「元々の開発協力した理由、AMがもっとリアルにできるから、なんだよねぇ」
「フ、フヒヒ、きょ、教授らしいですね」
「褒めてもコーヒーしか出ないよぉ?」
「褒めてはいないと思いますが、コーヒーはいただきます。ミルク多めでお願いします」
「さ、砂糖多めで」
「はいはいぃ~」
葉楽が3つの紙コップにコーヒーを注いでいると、ゼミ室の扉がガラガラ、と開いた。
「グッモーニンエブリワン!待たせたわねぇ!」
「……誰も、待ってないと……」
「ていうか開けたままのポーズで止まってるんじゃないわよ愚図。そのでかい図体邪魔なのよ」
まず最初に入ってきたの黒髪ポニテの女性は、渚桜子。純日本人のヤクザの娘。次に入ってきた青いショートボブの女性が、蘭阿斗牡丹。父親が帰化した異星人のサラリーマンの娘。そして最後に入ってきた金髪ロングのちんまいのが瀬尾灰羅である。日本人なはずだが金髪は地毛。おそらく隔世遺伝。まあ、大中小とサイズが揃った女三人組だ。どこのとは言わない。
その三人を見た葉楽は微笑みながら告げる。
「あらぁ、コップ3つ追加したほうがいいかなぁ?」
「あぁ、それはワタクシ達がやりますよ。でゅふふ」
「そ、それくらいは手伝えます、から。フヒ」
葉楽の言葉に反応して、林音と章浩が立ち、ビニール袋の中に入った紙コップを3つ取り出し注いでいたコップの近くへと置いた。
「悪いねぇ」
「いえいえ。別の場所では汚物を見るような目で見られる為このゼミ室は心地よいのですよ」
「む、むしろこのゼミ室に入ってるのを見て同情されるレベル。フヒヒ」
「……やっぱあの拷問紛いの実習実験はやめておいたほうが良かったのかなぁ……?」
「見るだけだったら面白かったけど、実験動……被験者からしたらたまったもんじゃないわよねぇ」
桜子は注ぎながら後悔する葉楽の言葉に反応しながらコーヒーの注いであったコップを一つ取り、椅子に座る。
「……桜子、取るなら私たちのも」
「気が利かないわね」
灰羅のその言葉に桜子の眉がぴくりと動く。
「……灰羅、この前の決着つけてもいいのよ?」
「……ふん、上等よ。返り討ちにしてあげるわ」
パラムスを取り出し、睨み合う二人。頭に被れるようなサイズの機械をどっから出したとかのツッコミはなしで。
その二人を見ながら葉楽は二人に問う。
「この後の講義はぁ?」
「「取ってない」」
「了解ぁい。じゃ、勝手にしてねぇ~」
ほったらかしにした葉楽に章浩が問う。
「止めないんです?」
「止めても無駄でしょ~?」
「まあ、確かに」
「それに」
納得する章浩に対して葉楽は人差し指を立てながら告げた。
「それに俺ぇ、格ゲーはあんまり良く知らないから割り込んでも必殺技でボコられまくるだけなんだよねぇ。AMだったらどっちとも瞬殺できるだろうけどぉ。あ、動けなくなった二人に対して変なことしないように」
「……この二人に対して変なことする度胸、ないです」
「し、死にたくないから、フヒヒ」
それから穏やかな時が流れる。広島の白南大学の日常風景だった。
※(この作品はフィクションです。調べても出てこないだろうと思いますがもし存在してもこの作品と関係は皆無ですのでご注意ください)




