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94話 PA


「はぁ、せめてそいつを殺ってリベンジ達成したかったのにテメェも邪魔するのか」

「なんだと」


「俺の特別クエは【リベンジ三回】だ。ソイツを殺れば特別クエストクリア。ちなみにテメェらの後ろにいるデカブツもダチが受けた特別クエストの対象だったんだがなぁ。

 まぁ、とりあえずデカブツは諦めるが、俺の特別クエストは……」

 バンダナはそういうと懐から宝珠(タリスマン)を取り出す。


『え?』

「貴様、こんな所でPAを出すつもりか! 山神様に当たったらどうするつもりだ!」

 対冒険者という事で傍観に徹していたファナさんが叫ぶ。


「あ〜魔物にPA使うなっていうアレか」



【魔物にPAを使ってはならない】

 それはこの世界で決められたルールであり、一般常識。強力な魔物であってもPAであれば倒すのは容易くなる。

 しかしPAの持つ力、その欠片でも体内に入れた魔物は自らの体とPAの力を反応させ、その身を【魔鋼】に変質させると共に、より強大凶悪な【魔機物ハイモンスター】に変わる。

 魔機物ハイモンスターと化した魔物はその規格外の強さにより、時の勇者ですら狩る者から狩られる者にされると言われており、過去の文献でも魔機物ハイモンスターと化したコボルト達が一夜で一つの都市を滅ぼしたとある。



『コボルトですら厄災と言われるぐらいの事をしたってあるのに、山神様がアイツの攻撃を受けたら……』

 結果として引き起こされる事による被害が想像できない!


「まぁ、その時は誰かが何とかするだろ……召喚(コール)



 ガシャン!



 バンダナの背後に現れるPA。全身を黒く染め上げた機体は帝国のPAである証。他のPAよりも装甲は薄いけど、その分火力とパワーを上げたPAは(タイプ)フォーマルハウト。

 右手には連射に優れたライフル、左手には何も持ってはいないが、腕の部分にやや大型の(バックラー)が装着されている。



「じゃ、そういう訳で」

 開いたハッチへ飛び移ると、バンダナはこちらを一瞥してから乗り込む。


「ま、俺の為に死んでくれ」

 黒いフォーマルハウトが銃口をこちらに向ける。その時、



 ドガッ!



「くっ、なんだ!」

『遅くなりました』

『ロキシー(さん)!』


 黒いフォーマルハウトへ青いPA型(タイプ)デネブが体当たり! 防御型であるデネブはその重量差を活かすと、そのままフォーマルハウトを山神様がいない方へと一気に押しやる!


 通常、デネプは大型の盾と手斧(ハンドアクス)を装備しているはずだが、今は何も持たずにフォーマルハウトを押すことに全力を出している。



「畜生が!」

『相手に気づかれないように召喚(コール)していたので遅くなりました』

『ナイス、ロキシーさん!』


 だが、


「ハッ、たかがデネブ如きが帝国のフォーマルハウトを止められるかよ!」



 ガガッ、ガガガガッ



最初はPA同士の押し合いかと思ったけど……違う。



 ガガガッ……バキッ!



『そんな!?』

 デネブの両腕が、根本からもがれる!


「違うんだよ! パワーが並のPAとはよ!」



 ガスッ



『きゃっ』

 デネブはフォーマルハウトに蹴れられると、勢いを殺すことが出来ずにそのまま側の大樹にぶつかり停止。背部からぶつかった事もあってから、背面のスラスターから煙が上がり、完全に起動停止状態になる。


「まったく、無駄な事をしたがる奴が多過ぎる」

「そうでも無いさ」



 ガッ!



「チッ」

 投げつけられた短槍。フォーマルハウトは盾を使って間一髪ガードする。一方短槍は高く跳ねた後、己の主の元へと戻っていく。


「テメェ……」

「さぁ、第二ラウンドだ」

 フォーマルハウトの前に立ちはだかる真っ赤なPA、それはハルの所有するPAであり、


『わたしの知らないPA……』



 少し前。デネブが体当たりをした直後、わたしはハルに抱かれた格好でフォーマルハウトから見えない位置に移動していた。


「リア、お前はここで腕の治療していろ」

「ハルはどうするの?」

「俺もPAを出す。デネブじゃアイツを抑えきれないからな」

 そう言いながらハルは首から下げていた宝珠(タリスマン)を外す。その色は血のように赤く、見ていたら吸い込まれそうになる。


「わたしは」

「さすがにPAに乗ったことが無い奴を、イキナリ戦わせるようなことはしないさ」

「でも……」

「とにかく今は治療だ、良いな?」

「うん……」



 ハルのPAは帰ってきた短槍を腰にある収納部に戻すと、威圧するかのように背部スラスターに付いたフィンを羽のように広げる。


「【赤い羽持ち】……そうか、そいつが(タイプ)シリウスで貴様が銀弾(シルバーブレッド)か!」

「へぇ、脱帝(はぐれ)のわりに詳しいな」

「ほざけ!」

 フォーマルハウトは脱帝(はぐれ)と呼ばれた事に怒りを表すと、手にしたライフルを乱射するけど、ハルのシリウスは手にした盾で難なくガードする。


『一発一発が高威力のはずなのに、ハルのPAは余裕というか効いてない!?』

 デネプの大型の盾とは異なり体の半分ぐらいしかない盾を器用に動かし、全ての弾をはじく。


『すごい……目では追えない弾を一発も体に当てないなんて』


『だけどいつまでもアレではもたない』

『ロキシーさん!? 大丈夫……じゃないよね』

『私自身は問題ないけど、デネブが起動不可にはなったかな』

 うぅ、わたしが独断で動いちゃったから……


『ごめんね、わたしのせいで』

『別にリアさんのせいじゃないよ、私の腕がアイツに叶わなかっただけ。自分のせいにするのは勝手だけど見誤らないで。それよりも問題はアッチ』


 傍から見るとハルが余裕でいるようにしか見えないけど……


『あれだけの技量なら、とっくに方が付いていてもおかしくない。でもそうならない原因はハルの背後にある』

『ハルの背後って……山神様!?』

 ロキシーさんに言われてハルの背後に目を送ると、そこにはうずくまり、動けなくなっている山神様の姿が。


『ハルが動けばアイツが撃つ弾が山神様に届く可能性が高い。そうならないようにハルは全ての弾を受け切ろうとしている。でも、いつか耐えられなくなる。そうなればハルは負ける』

『ハルが負ける……』


 ハルが山神様に縛られることなく、自由に動く為には……どうする? どうすれば良い??



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