76話 新たな不安
「【特別クエスト】っと……」
手元にある携帯端末で、さっき受けた(正確には受けた記憶ないけどね!)特別クエストについて、ゲーム内の掲示板などで探してみると色々な情報が見つかった。
だけどわたしのように勝手にというか、気がついたら受けていたとかは予想通りなし。
『うーん、やっぱり何かの拍子に押した……ううん、それは無い……はず』
まさかクエストが配布されたら自動で受諾する仕様なんて無いわよねぇ……
プルルン、プルルン♪
あ、那緒から電話だ。
「もしもし、どったのこんな時間に?」
『阿里沙、特別クエスト大丈夫?』
うーん、いきなり心配されたか……あながち間違ってないところが痛い。
「あー、うん」
『えっ、やっぱりそうなの!?』
「あははは……」
『要っちの予想的中かぁ』
あらら、要さんすっかり占い師みたいに……
『占い師とかじゃないからね』
『!』
「い、いきなり通話に参加して来ないで下さい!」
『なに、悪いの?』
良い悪いとかじゃないんですが。
『ここまでイレギュラーぶりを最大限発揮している阿里沙が、何もないなんて考える方がおかしいでしょ?』
くっ……何も言い返せない。
『で、今回は何があったの?常識破りの女の阿里沙なら、【王国お抱えの剣士に勝て!】とか【ドラゴンの爪の垢をゲットしろ!】とか、はたまた【対戦百人斬り】でも驚かないわよ?』
うん、惜しい! 最後のそれはハルの前回のお題でした。
「まぁ、ある意味それらよりは良いような、どちらかというともっとハマってるような……」
『よくわからないわね、もう答え言っちゃいなさいよ』
「あ、はい。実は……」
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・
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『『あり得ない!』』
お、おう。ステレオツッコミ頂きました。
『確かに特別クエストってまだよくわからないところがあるから、わりとキツいってのは聞くけど【自動受諾】なんて聞いたことないわよ』
「そうですね、掲示板とか探してみたけどそれらしいのは見つかりませんでした」
要さんが聞いたことなければ、これもまた初体験な感じなのかな……ハハッ……はぁ。
『いや、それもだけど【特別クエスト】が【常時拒否なく戦闘・対戦を受け付ける】ってどういう事かわかっているの?』
「えっ、対戦拒否が出来ないって事でしょ?」
わたしの返答に那緒は深くため息をつく。
『阿里沙、あなたは常時痛覚設定がオフに出来ないの忘れたのなぁ? それとも設定が変えられるようになった?』
「あ……」
つい最近、蜥蜴男に肩を噛まれて最高に痛かったクセに完全に忘れてた。というか、レベル11から痛覚設定変えれることすら忘れてたし……
え〜っと、今でも携帯端末から変えられるかな?
「忘れていたし、今確認もしたけど変えられませんでした……」
『今はアルブラに向かう街道だから良かったものの、王都や帝都だったら対戦拒否出来ないから、それこそリスポンする度に挑まれ続けて……あ、そういえば阿里沙ってマゾだから、逆にそうなる方が嬉しかったりするのかなぁ?』
「だ、誰がマゾですか、誰が!」
『へー、あの女とあんな壮絶な殴り合いしておいて言いますか』
いや、あれはほら……ね。
「でも確かにそれは痛いけど……というかリスボンってポルトガルの?」
『リスポンよ、リスポーン。復活とかの意味ね』
なるほど、そういうのがあるんだ。
「ま、まぁさっき那緒が言った通り街道で、しかも馬車に乗っているから挑まれること無い……と思うから、たぶん大丈夫だよ」
『そうやって余裕してると後で痛い目見るわよ』
『そーだ、そーだ』
「はい、気をつけます……」
二人とも心配して言っくれているのがわかるから、これ以上心配かけさせないようにしなきゃね。
「そういえば、そっちはどうなんですか?」
『今は王都からベルツへ移動したわ』
あ、ベルツってトーレさんが行った所だ。
「やっぱり……戦争ですか」
『うーん、なんだかわからないのよね。元々開戦はあると見ていたけど、いまいち帝国の方向性がわからないのよね』
……方向性?
『戦争が起きるなら、もう少し確定的な動きがあるのだけど……』
「動きが見えないんですか?」
『見えているわよ。ただし、帝国の動きが全方向に向いているのがね。目くらましにしては、ちょっと派手すぎるのよ』
「……すみません、よくわかりません」
『そうねぇ……例えば阿里沙がケンカするとして、ケンカしない相手にまで手を振り上げる?』
「ケンカするとしてですか」
ケンカ自体殆どしないからなぁ……でも、
「普通はしないと思います、ケンカする相手を増やしたいとは思いませんから」
『そうよねぇ、じゃあさっき話した帝国の動きを同じように当てはめたら?』
……あ、そっか。
「確かにおかしいですね」
いくら国力に自慢があったとしても、そんなことをしたら不要な戦いまで始まって勝てる戦争にも勝てなくなっちゃう。
ん?
「でも、確か対帝国の同盟か何かで、どこかの国が攻められたら他の国が帝国に攻め込んで、一国に帝国の戦力が向かないようにしていませんでしたっけ?」
『お、阿里沙にしてはよく覚えてたじゃん!』
なんだろ、那緒に記憶力で褒められるのってなんか悔しいかも。
でも、そういうのがあるからどっちにしろ帝国対同盟国で乱戦になるから、別段帝国がそうやって全面に攻撃しなくても……
『そ、だからおかしいのよ』
「必要の無い、いえ、必要以上の戦争準備……何なんでしょうか?」
『もしかしたら、もっと違うことが起こるのかもね』
要さんのその一言は、わたしにとっても不安な気持ちを波立たせるものでしかなかった。
いつも読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
スーパー繁忙状態で、活動報告すら書けていませんでした。まぁ、ボヤきとかばかりなのでアレですが……
校正すら時間がヽ(°∀。)ノ
うーん、考える時間が無いときに忙しくなるのが日常になりつつありますね、困ったもんだ。
アクセスも日々落ち着き、だいたいいつも同じ値になってきたので、安定して読んでくれている方がいらっしゃるようで有難いものです。
こういった方々に少しでも楽しんで頂けるよう、頑張りたいと考えます。引き続きよろしくお願い致します┏〇))
あとはいつもな感じで。
新規で読んで頂いた皆様方、こんな感じの書き手ですがよろしくお願い致します。
継続して読んで頂いている皆様方、なんとか繋いでいます! まだ、まだなんとか頑張って行きます!
感想、ツッコミありがとうございます!
ブックマークも本当に感謝です!




