↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最悪の邪神がログインしました。  作者: 歯車ぐるり
見上げるがいい、唾棄すべきあのアルデバランを:上
53/168

貫け、牡牛の心臓 その5

 コウタと 牛闘鬼(ミノタウロス)、アザトースとカイザの二組が戦闘を始めた頃、こはくとサモンの2人も激しい戦いを繰り広げてきた。初めのうちは透明になることで一方的な攻撃を行なっていたサモンだったが、だんだんとこはくが攻撃を避け、反撃するようになってきて今はもはやサモンのことが見えているのではと疑うほどだった。


「そこだね?そこでしょ!いくよ!!「星を(Star)食む牙(Eclipse)」☆」


 こはくが舌なめずりをすると同時に彼女の手に持っている鉄の鉈──「Star Eclipse」が黒く染まり、あたり一帯の光が吸い込まれるように鉈に収束していく。そして薙ぎ払うようにしてそれが振るわれると、その軌跡をなぞるようにして空間が切り開かれて黒い裂け目が現れる。それはゴウゴウと音を立てて空気を吸い込み始める。


「『海洋生物特徴付与(オーシャンズ):触手因子(テンタクルゲノム)』!」


 アレに吸い込まれるのは流石にまずい、危機を察知したサモンは透明化因子(クリアゲノム)を解除して別の因子へと切り替える。透明化したままでも使えなくはないが、透明化の因子の読み込みが入る分展開が遅くなってしまう。突然誰もいなかったところから観客の目の前に姿を表したサモンの背中を突き破るように勢いよく4本の太いタコの足が生え、そのヒトとは思えない異様な姿に観客席から悲鳴が上がる。悲鳴を無視するかのように触手を観客席の方に限界まで伸ばして壁を掴み、収縮させて吸い込みから逃げる。サモンが吸引から逃げ切った後、裂け目は瞳を閉じるかのように静かに消えた。


「避けられちゃうかー。避けられちゃうよねー」


「...虎の貴女よ。何故に我が身を見ることができている?」


「見えてないよ?でもでも、朝ヘビさん食べたからね☆シャケ君の体温は見えるの」


 こはくは特別な条件でのみ就くことのできるとある教義(ドグマ)に所属している。その教義(ドグマ)によって与えられる能力はその日食べた物の能力を再現できると言うものだ。こはくは今朝、蛇を食べていた。蛇はピット器官と呼ばれる温度を知覚する器官を備えている。こはくはこれを再現することで見えないサモンの動きを認識していた。もちろんそんなことを知らないサモンにとってはこはくの発言は支離滅裂に聞こえたが、とりあえず透明化は効果がないことはわかった。


「手品の仕掛けはわからんが構わんさ。『海洋生物特徴混成付与(プラスオーシャンズ):甲殻因子(シェルゲノム)』」


 発動してすぐにサモンの肉体がシャケの顔を除いて背中から触手を生やしたまま貝殻に似た質感の甲殻で覆われていく。触手自体も甲殻で柔軟性を阻害しない程度に覆われていた。その見た目は全身にフジツボが張り付いているようだった。


「うわキモっ」


「虎の貴女よ、その言葉はいかがなものかと思うぞ...避けないのかね?」


 こはくが言葉を返す前にサモンの触手が襲い掛かり、彼女の横腹に直撃する。そしてその勢いのまま闘技場の壁まで叩きつけられ、壁が砕け散って土煙が舞い上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。