大会へ
こはくは申し訳なさそうな雰囲気だったが、アザトースは何を気にする必要があるのかと思っていた。 むしろ今日参加するものとばかり思っていた。というかそのためにアザトース達は買い物に行ったではないのだろうか。
「...なにかだめなの?」
「全然ダメではないです。元々今日の夜に参加する予定だったので。ただ、昼だと大会の内容上少し面倒なんです。物理的に」
「......めんどう、けどふつごうなし?」
「そうですね。でも僕やアザトースさんにとってはそっちの方がやりやすいので好都合ですね。料理自体もそんなに上手な人が集まる訳ではないですし」
「...だって。こはく」
「アーちゃん〜」
その言葉を聞いてこはくは幾分か気が楽になったようで、元の調子にすぐに戻った。戻ったのはいいがそのまま抱きつくのはやめてほしかった。その力は今までよりもずっと強く、アザトースは逃れようにも逃れられなかった。背骨がミシミシとなる音が聞こえたような気がした。
「あの〜こはくさん?割と時間がやばいしなんならアザトースさんの顔が若干青いので一旦後にしてほしいというかなんというかですね」
未だアザトースに抱きついたままのこはくを引き剥がすべく、コウタが声を掛ける。ハッと気付いてこはくがアザトースから体を離すと、アザトースはその場でふらついていた。動くのもままならなさそうなアザトースをコウタは背負い、こはくと共に会場へと向かっていった。
「...ぶつり?」
二人が大会について話しながら会場に向かって歩くのをコウタの背中越しに聞きながら、アザトースはぼんやりとした頭で特に説明されなかった「物理的」の意味を考えていた。
「ついたついた☆」
「ここがコロシアム...中に入るのは初めてですね..というか個人的にはどうして牛のツノをつけただけで余所者扱いが消えたのかが謎ですが」
「...ヒトだらけ」
サンシャイン通りの一角に建てられたローマ式の円形闘技場、そこが料理大会の会場だそうだ。会場の観客席には多くのヒトが集まっていて、この料理大会は娯楽として受け入れられているのだとわかった。現在、アザトース達はスタッフに連れて来られた控室にて自分達の準備をしていた。料理道具は貸し出されるそうで、こはくとコウタの二人は壊れていないか確認しているようだ。その間暇なので他の参加者を見ていたが、その姿はアザトースから見ても奇妙に見えた。全員被り物をしているのもあるがも、参加する全員が武器を持っている。コウタ達を見ると、コウタは鎧の兜に牡牛のツノを無理やりくっつけていつもの大剣と大盾を背中に背負い、こはくは虎のマスクをかぶって大きな鉈を1本腰に差していた。とりあえずアザトースも強化棍とウサギの被り物ををポーチから取り出しておいた。
「...なんでぶき」
「フッ...その質問、この俺が答えるとしよう。ここにて行われる料理大会は...」
「コウタくん頭大丈夫?」
「...ろーるぷれい。ビビりかくしだって」
「何それヤバッ」
「...」
その言葉と共に控室に入ってきたスタッフに呼ばれたので、アザトース達はこはくの容赦ない一言に灰になったコウタを引き連れてコロシアムの内側へと進んだ。
キャラだったりの設定資料的なものって需要ありますかね?




