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浪速の夢遊び  作者: 秋鷽亭


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151/153

第百三十九話 配置

※位置の想定です

伊達湊:バンクーバー

佐竹湊:サンフランシスコ

羽柴湊:ロサンゼルス

東小鹿(東小鹿半島):サン・ホセ・デル・カボ(バハ カリフォルニア半島)

東網地島:メアングエラ・デル・ゴルフォエルサルバドル

東伊豆島:サンタ・クルス(ガラパゴス諸島)

東米沢:エクアドル(エクアドル)

秀次、政宗は、羽柴湊にて地図を見ながら話をしていた。


 東小鹿:相馬及胤(相馬家臣)

 東網地島:佐竹義賢(佐竹家臣)

 東伊豆島:前野忠康(羽柴秀次家臣)

 東米沢:石川昭光(伊達家臣)

 アステカ駐在:留守宗利(留守政景の子)

 マヤ駐在:小川隆尚(石川昭光の子)

 インカ駐在:古内重広(国分盛重の子)


それぞれ、中継点を守っている者、各地に駐在している者を地図に書き込み、船舶の模型、人の模型を使って、配置の確認をしていた。


「親忠はアステカの民、義賢はマヤの民、忠康はインカの民への支援、それぞれどうなっている」

「細々した問題はあるようですが、大きな問題は起きていないようです」

「漆喰の運搬はどうなっている」

「大きな遅延はないようです」

「各地に逃れている者たちへの食糧などの支援はどうだ」

「逃れているものたちは厳しくとも、食料は確保できているようで、栽培方法の改善と肥料の作り方を教えているところです」

「そうか、後は薬はどうなっている」

「除虫菊の栽培もおこなっているようですが、やはり環境が違うので、思考錯誤をしているようです」

「ならば、こちらからの持ち出しもいるか」

「はい、場所によっては成功しているところもあるので、気長にするしかありません」

「はぁ、そうだな植物は一気にすることは難しいから、仕方ないか」

「そうです。あと、日本から諸大名が人を送ってきているので、現場で指示するものは一息つきそうです」


アステカ、マヤ、インカの民との話し合い後、秀永に人の増員を依頼した。

秀永は各大名に、希望する者はいないか通達し、一年後に人が来ることになった。


 長曾我部家:津田親忠、吉良親実

 毛利家:天野元以、矢田経行

 龍造寺家:龍造寺政家

 島津家:入来院重時、伊集院忠棟


「長曾我部、毛利の者は、嘉隆殿、武吉殿の指揮下に入り物資の運搬を行ってもらっています」

「海岸の巡回や陸上のスペイン兵への砲撃と、南方からのやって来る者たちの攻撃と拿捕のおかげで海岸線は安定しています」


政宗の言葉に、秀次は頷いた。


「島津や龍造寺の者は、各地への物資運搬と襲撃を行っています」

「相手も本格的に反抗してきていると聞いているが」

「はい、本国からの兵の増強を得ているようですが…」

「ん、どうした」

「来た者たちは、どうも正規の兵ではなく、あぶれ者や犯罪者、傭兵と言われる雇われる者たちが多いようです」

「…本国は正規の兵を動かせない状況なのか」

「かもしれません。スペインは海を隔てたイングランドと言われる我々のような島国と領地などの関係で対立しており、陸の繋がった隣国とも仲がよろしくないとか」

「ふむ」

「その隣国もなかなか野心を持っている国のようで、フランスと殿下は言っておられましたが…さて、隙あらば攻撃をする可能性があるのではないでしょうか。銀による利益、この地での金、美術品など、利益になるようなものが今は手に入りにくくなっていますゆえ、資金が不足している可能性はありますな」

「それなら、傭兵と言われたものを雇う余裕があるのか?」

「傭兵とて、色々な者たちはいましょう。厳しい者たちは餌があれば食いついてきます」

「こちらに土地を与えるとかか」

「ええ、我々と同じでしょうな。この地には金が眠っている、富があると言えば食いついてきましょう。支配されるのではなく、支配する立場になる立身ですな」

「どこの国も同じか」

「はい」


ふたりはそう言いながら顔を見合わせ笑いあった。


「ただ、やつらは食料、物資など考えがあるわけではなく、現地で略奪をすることを基本とするでしょうな」

「そうなると、各地の者たちは…」

「ええ、なので、逃げるか戦うかを選択させます」

「あちらに行っている、お主の一族の者が主導するのか」

「はい、後は龍造寺、島津の者たちの協力を得る事になります」

「勝てるかな」

「負けはしませんな。やつらは支援が乏しい状態なので、補給を絶てば飢えます」

「栽培などの知識がなければ、厳しいか」

「ええ、やつらは奪う事だけしか考えていない。そして、知識があっても、土地が違うので成功するかは運しだい」

「ならば、自然になるものだけが頼りか」

「あとは、蛇なり、獣でしょうが…、それに、病気対策もしておらず、環境も違うため、しばらくは動きが鈍くなると思いますね」

「確かに、我らとて、初めの数か月は体がなじまなかったからな」

「ええ、なので、そこで奴らの物資を燃やします。うまくいけば船の拿捕か、破壊したいですが無理増しませんよ。まだ」

「確かに、殿下からは南方から向かう事が出来るとは聞いているが、潮の流れが厳しいとか」

「ええ、今調査させていますが、厳しいようで時期の見極めが必要です」

「そうか」

「あと、日本から最新の戦船が来れば、行けるかもしれませんが」

「石炭を使って動かすものか」

「はい、帆を使わず、風も気にせず、人力の櫓も必要なという不思議なものです」

「私には想像できないがね。運用できれば相手を上回る事ができるな」

「そうですね。そして、東の海岸へ向かうことができ、安心して東に拠点と造船所が作れます」

「そうなれば城郭をつくり、やつらの再侵攻に対応しなければいけないな」

「ただ、東には海賊の巣窟があるようで」

「そういえば、そうだったな。手ごわい連中が多いらしいな」

「奴らは、狡猾で不利になれば即逃げます。それもまとまってではなく散開して」

「潰しにくいな、倭寇もそうだが…根城を潰すしかないんだろうが、そこは町なんだろうね」

「陸からの攻撃も考えていますが、そうなると、北の大陸に住んでいる者たちの協力が必要なりますが、それぞれ部族が独立して、争っているので調整が大変ですな」

「佐竹や相馬、南部からも話を聞いているが、まあ、歯向かうものは討つしかあるまい」

「そうなりますね。殿下はなるべく争わないようにとは言われてましたが、こちらが犠牲になる事は否定されていましたからな」

「多くの部族は手を結べましたが、仕方ありませんな。東への道が必要ですので」

「そうだな」


相馬義胤が自ら大陸に渡り、南部家から北愛一らが入り、牧場を現地の者たちと共に作り上げていた。

スペインなどから渡された鞍や鐙を使い、独自に改良している者もいたが、義胤らが使っているものを送り、その有用性を理解した部族が友好関係を結びに来ることが、きっかけで友好を深めた。

当初は揉め斬り合いになったこともあったが、嫁を貰う家臣たちも増え関係が改善している。

ただ、スペインなど、南蛮勢力と結んだ部族は敵対行動を繰り返していたため、協力して撃退し続けたことで絆が深まったことも友好が進んだ要因のひとつだった。


そして、最大の要因と思われるのは、日本から持ち込まれた酒と、トウモロコシを原料とした酒造りが行われ大いに喜ばれた。

酒を飲むことがない原住民に強い酒を飲ませないように、秀永から支持があった為、水で薄めて飲むことを推奨していた。

それを無視して、原酒を飲んだ原住民の中で、倒れるものや亡くなるものが出た為、当初は毒ではないかと騒ぎになった。

その時に、刃傷沙汰が起きて一時は険悪な状況になったが、そもそも原酒で飲むなと言ったのに、無視して飲んだことが分かった為、騒ぎは落ち着いた。

薬も飲み方を間違えれば、亡くなる事と同じと言い聞かせた為、同じ問題は…度々起きたが、亡くなる事はなくなった。

お気持ち程度として、ウコンを酒を飲む前か後に食べれば、体への負担が減ると秀永に言われて、接種するようになっていた為、原住民にも勧めた。

また、亡くなった者は、消毒用のアルコールを大量に飲んだことが判明し、改めて、消毒用のアルコールとの飲酒用のアルコールは別物であると何度も言い聞かせることになった。


「馬の品種改良も進んでいるようで、日本の馬よりも早くは走れるようになりました」

「ここは、日本と違って見渡す限り平地が広がっているからな、早い方がよいだろうね」


政宗はその言葉に頷いた。


「それと、殿下から教えられた鉄で作った蹄鉄というものも、良いみたいですな」

「スペインなどでは古くから使われていたらしいね」

「そうですな。馬の詰めの負担、足の負担が減るようで、走りにも良い影響があるようで、乗ってみましたが安定しておりました」

「そうか、私も乗りたいものだ」

「今ならば、余裕があるのでいつでも乗れますよ」

「では、子らと共に乗りに行くか」

「相馬の者たちには知らせておきましょう」

「頼む」

「ただ、南ではあまり馬は活用できないのが難点です」

「森林や足場の問題があるか」

「はい、インカではリャマと言われるものがいるようで、あちらの拠点とこちらに送ってもらって繁殖させています」

「そうか。森を切り開くにも、毒を持った虫や蛇がいるしな。人力しかないのだろうが致し方ないな」

「はい。殿下から教えてもらった手押し車も、車輪の部分が耐えれない場合があるので、今は改良をし続けながら使っています」

「藁なり、皮などで保護するしかないか」

「殿下の話では、車輪の保護に仕えるものが南の大陸にあるようですが、そこまではまだ行けませんからな。それに、そこはそこで、危険な生き物がいるとか…」

「人を隠すような大きな蛇や狂暴なトカゲがいるとか、対策を立てないと危険なところのようだしね」

「ええ、西から向かうより、東から拠点を作りながら行く方が良いとも聞いています」

「あと、その森には原住民がいるらしいな」

「はい、高山国の山地にいたような攻撃的な者の可能性もあるとか、いやはや、この世は広いですな」


そういって、政宗は笑った。

秀次は苦笑して、政宗を見た。


「笑い事ではないが、まあ、時間はかかるか」

「はい、慌てても良いことはありません」

「そうだね」

「そういえば、重長、叔父上から何か要望はきているか」


政宗の後ろに控えていた重長に話しかけた。


「昭光様からは、食料を融通してほしいとの話です」

「そうか、なら吉政に伝えておこう」

「秀次様、ありがとうございます」

「逃げてきた者たちが増えているのかな」

「伝染病など防げない場合もあるが、牛痘で疱瘡はある程度防げるだろうが…」

「スペインからうつった様で、被害は出ているようですが漢方と栄養をしっかりとる事しか手がないですな」

「殿下からは、この地には疱瘡を含めた病気は存在しないか、広がりは低かったと言っていたね」

「はい、そして、この地はこの地でしかない病もあるとか、いやはや怖いものです」

「そうよな、殿下は神仏に頼るのは手を尽くした後で、それでも生死はその者の生命力と運次第と言っていたね」

「病との戦いですな。神仏に頼る前に人事を尽くせと」


二人は顔を見合わせて、ため息をついた。


「それでも、やらねばならないね」

「ええ」


そういって笑いあった。





「くそ、やっと難所を渡ってきたのに、奴らがいるのか!」

「おい、聞いていないぞ!」

「俺もだよ!貴族ども黙ってやがったな!」


スペイン商人の武装商戦が南米の南端の難所を苦労して超えてきて、西側に回り北上してしばらくたった時に、北に船舶が見えた。

海賊はカリブ海にはいるが、西側ではほとんどいないので、同胞と考えた。

日本の連中がここら辺にいるとは思わなかった。

商人である以上、日本の情報は色々聞いていたが、北の大陸にいるんであった南まではまだ来ていないと考えていた。

しかし、船舶が近づいてくると、形は似ているが見たことのない船影だったので、警戒のために監視を強化を命じた。

そして、その結果、同胞でもポルトガルでもなく、日本の船であることに気が付いて、絶望した。

難所に戻れば、沈む可能性もあり、北上すれば拿捕か沈められる。

西に行っても立ち寄るし間もないので、食料と水が持たない。

絶望の中、船は混乱し、抵抗するも拿捕されることになった。

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