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勇者が倒せない!  作者: お終い
第一章
11/12

レクリエーション大会

「んじゃまずハーデスのとこから報告よろ」

「キューちゃん」

「了解です。まず昨年城にやってきた勇者の数は百七十一人、その全員にハーデス様は負けています。先日ネットオークションにハーデス様に勝利した証であるバッジが十五オルで売られていました(一オル=一円)。バッジの価値がめっちゃ下がってます。」

 サタンは頭を抱えた。そろそろ俺が直接修行つけてやるかなぁとか考えながら。

「私が近くで見ている分にはもう彼は強くなろうとしてません」

「いやだって題名が『勇者が倒せない!』だから強くなっちゃったら勇者が倒せちゃうじゃん?」

「なに訳わからないこと言ってるんですかハーデス様、殴りますよ」

「そう言うのは殴る前に言ってくれる」

 大きなたんこぶができたハーデスはぶつくさと文句を言っている。

「じゃ次ヘラのとこ」

 サタンはくるくる回るイスでくるくる回りながら言った。

「はい。昨年城にやってきた勇者の数は百三人、勝率は七割くらいです。ただ最近ヘラ様がしょっちゅう城を抜け出して仕事が進みません。あと最近麻婆豆腐がブームみたいです。それ以外は異常なしです」

「ん、了解」

 サタンはブラッドにお茶とお菓子を持ってくるように言うとパイソンに報告するように促した。

「はい、ルシファー様のところに昨年やってきた勇者の数は四十八人。うち一人だけ引き分けていてあとは全部勝利しております。こないだ息抜きで行った屋内プールで子供と間違われて係員を半殺しにしました。あとファミレスで『大人一名と子供一名様ですねー』と言われてファミレスを半壊させました。最近はハンバーグ、オムライス、から揚げにはまっているみたいです」

 全員が子供だ、と思った。がめんどくさそうなので口にはしなかった。

「最後に俺んとこ!! 特にな―――し! 魔王集会終わり―――!!」

「勝手に終わらすな」

 ブラッドがサタンの頭をぺシンと叩いた。

「最後に一つ、いいですか?」

 パイソンが控えめに手をあげた。

 ブラッドが許可をし話し出す。

「そう言えばなんですけど、なんで人間と魔族は戦争しているんです? もう私が生まれた時には戦争していたんですが…」

 そう言えば、何でだっけと三人の魔王はクエッションマークを浮かべた。

「いい質問だね~。ブラッド君、彼女に座布団三枚あげて」

「ハイハイ、今持っていきますよ~…って大喜利か!!」

 サタンとブラッドのハイタッチのパチン、という音が響いた。

 サタンの説明をまとめるとこうだ。

 人間側で『勇者』という職業が定着し『勇者育成学校』なる物ができてしまい、戦争がもし終わって魔王がいなくなると人間側が困るらしい。なので人間側と魔族側で条約を設けて『戦争』という名目で失業者が出ないようにしている。

 因みによくハーデスの城にやってくる自称勇者は勇者育成学校の生徒だったりする。

 ここまでの話しだと魔族にメリットがないと思われるがちゃんとメリットはある。魔族も魔王や魔王傘下の企業なども魔王が廃業すると困るのだ。

『戦争』という名目の一種の交流なのだ。

 よってこの『戦争』で死人が出ることなどほぼない。


「成程、ありがとうございます」

 パイソンはぺこりと頭を下げた。

「じゃあめんどくせーけど、みんな大魔王の間に集合、お付き達も来て」

 全員がまたか、と思いながらサタンについて行った。

 大魔王の間に着くと、サタンはくるんと振り返った。

「ぱんぱかぱーん! 気まぐれサタンのバトル大会ー!! 」

 全員がやっぱり、と思った。

 気まぐれとか言っているくせに、魔王集会のたびにレクリエーションをやるのだ。

「今回はーバドミントン大会ー!」

 全員が空気を読んで拍手する。因みに前回は雪合戦だった。

 チームは魔王とそのお付き、ダブルスの二十点先取でデュースなしのトーナメント戦。という特別ルールだ。


 サタンがパチンと指を鳴らすとべりーがどこからともなく現れて、ネットをはってコートの準備をした。ほんの数分で準備を済ませた。彼女も彼女で大変なのだ。

 因みにブラッドは子供の頃に少しだけバドミントンをやっていた。それ以外は全員素人。

 一回戦はハーデス&キューちゃんvsサタン&ブラッドだ。

 審判はベリーが務める。

「二十点先取のデュースなし、サーブはハ―デスチームから試合…開始!!」

「オッシャ行くぞコラー!! 絶対勝つぞ!!」

「オー!!」

 なんだかんだで熱くなっているハーデスとキューちゃんなのだ。



「ゲームセット、20対0でサタンチームの勝ち!」

 だが一点も取れずに負けるのだ。

 お決まりと言えばお決まりだが。

 勿論ハーデスとキューちゃんは本気だったが、サタンとブラッドは半分どころか一割程度しか力を出していない。


 一回戦二試合目、ヘラ&ウルフvsルシファー&パイソン。

 この試合は時間がかかった。17対20でルシファー&パイソンチームの勝ち。

 この試合は見てても面白かった。

 でもヘラとウルフは本気でやっているように見えたが、ルシファーとパイソンはどこか余裕があるように感じる。


 そして約六十分の休憩の後、三位決定戦と決勝戦。

 三位決定戦は20対0でヘラ&ウルフの勝ち。ハーデスとキューちゃんはきっとスポーツ全般何も出来ないのだ。うん、きっとそうだ。


 さっきまでの低レベルな試合とはうって変って本気の決勝戦が、今始まる。

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