それぞれの軍議と思いと決断
今回は少し短めです。
本格的な城攻めが開始されてから4日目の朝、何時もなら城に攻める時間になっても王子派の攻撃は始まらなかった。その代わりに王子派の本陣では将軍と王子による相談が行われていた。
「将軍。緊急を要する事態というのは何なのだ?」
「陛下。我が軍の食料についての報告は聞いておられますか?」
「知っている。確か今日で尽きるのであろう?その代わり補給が今日届くのであろう?」
「今朝、知らせが参りました。食料の補給は無くなりました」
「どういう事だ?そなたは食料地に計1万の兵を置いておいたのであろう?」
「はい。1万の兵を置き守らせましたが、食料は全て燃やされました」
「そんなバカな。敵の城は我が軍が包囲し、出入りは不可能なはず。一体どうやって1万の軍勢の守る食料地を襲えるのだ?ここからでも1日はかかる距離だぞ!何が有ったのだ?」
「敵が私よりの使いとウソをつき陣に潜入し、誤情報をもって2つの陣の兵同士を同志討ちにさせている間に食料に火を付けた模様です」
★
~同じ頃、イニエスタ城~
「陛下。将軍より聞いてまいりました」
女王の執務室にミリアが帰ってきた。
「それで、何故今日は攻撃が始まらないのです」
「将軍によれば敵の食料地への攻撃が成功したそうです」
「え!?・・でも噂では食料地には1万もの軍勢が居たはずなんじゃ・・まさか、またあの男ですか?」
「・・・はい」
ミリアがしぶしぶうなずくと女王の顔に嫌悪感が広がった。
「今度は何をしたのです」
「・・将軍によれば、敵の陣に侵入し間違った情報を流させ軍を陣より出した後、食料を燃やしたそうです」
ミリアは少し省略して話して聞かせた。詳しく話せばまた、騒動になりかねないからだ。
「そうですか。分かりました。・・・ミリア、1人にさせて」
「・・・・分かりました。部屋の外に居ますので用が有る時は声をおかけ下さい」
そう言ってミリアは部屋を出た。
★
~ルーナ・イニエスタ~
「そうですか。分かりました。・・・ミリア、1人にさせて」
「・・・・分かりました。部屋の外に居ますので用が有る時は声をおかけ下さい」
私の頼みを聞き入れてくれたミリアは部屋を出て行った。
(またあの男が動き、事態が動いた。王都より去らせた時もそうだった。あの男が脱出口の新設を言ってこなければ私は多分死んでいた。この旧王都に来るよう導いたのもあの男。そして、絶望的兵力差があるこの戦いをここまで有利にしてきたのもあの男が一本道で2万もの打撃をわずか100人で与えたから。そのせいで敵は攻めるに攻められず食料を費やした。そして今回その食料の補給地を襲い、敵を食糧難にした。全てにあの男が関係している。もしかしたらこの戦いに勝てるかもしれない。そうしたらあの男はどうなる?この国を出てゆく?それはダメ。あの男を敵に回したくない。・・・・私は、あの男が怖い)
★
~再び王子派の本陣~
「将軍。決めたぞ」
朝にやって来た将軍であるマオカ・ラノスの食料地であった事の報告を聞き、長い間考えていたリスシオ・イニエスタは口を開き告げた。
「全軍撤退だ。退却の際の陣は将軍に任せる」




