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異世界大陸統一記  作者: クロキダンカー
2章王国内乱の章
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23/35

腹が減っては・・・

補足の「大陸」について変えました。

 「どうする?」


 「どうしよ?」


 「どうしましょうか?」


 上から俺、マーク、ラルフさんの順番だ。


 「想像以上でしたね。あんなに兵が居る食料貯蔵地を見た事がありません」


 ラルフさんの言葉を聞く限り、偵察した食料貯蔵地に配置されている兵の数は異常らしい。


 「普通はどれくらいなの?」


 この世界の戦における食料の重要性がどれ位か知らなかった俺が尋ねた。


 「普通は居ても千です。戦における食料や情報の重要性はとてつもなく低く見られる為、いつも百人程度で何とかなります。今回の5千ずつ2つ食料地に置かれるのは異常です」


 「・・・・今、いつもって言わなかった?」


 「ええ、言いました。殿が指揮を執る場合はいつもs・・・「「あ!」」」


 3人同時に声を上げた。


 「だからか」


 「だからだ」


 「だからですね」


 再び俺、マーク、ラルフさんの順番だ。

 そして、今回何故異常なまでに食料の守りが固いのかという疑問の答えに3人で辿り着いた。





~同じころの王子派本陣・ラノス卿の陣地~

 「申し上げます。今のところ食料地に被害はありません」


 定期的に知らせるよう命令されている食料地の報告を兵が告げた。


 「分かった。引き続き報告を上げろ」


 将軍であるラノス卿の言葉を受け、報告に来た兵士は下がっていった。そして、完全に居なくなった事を確認した後で近くに居た若い側近が口を開いた。


 「将軍。今日で城を囲ってから2日になります。なのに敵は4日前の一本道での攻撃の後、何もしてきません。これは一体どういう事なのでしょうか?そして何故将軍は、2つの食料地に5千ずつの兵を出したのですか?」


 「うむ。敵が攻撃をしてこない理由は分からないが、5千の兵を食料地に出したのは敵の策を事前に潰す為だ。お前は若いからブレイダ―元将軍を知らないだろうが、あの人のよく使う手の中に敵の食料地に別働隊を出し、相手を食糧難にするという作戦があった。お前たちの世代や他国の者は食料を軽く見て、守りを疎かにしがちだ。だが食料はとても大切なものであり、もし食糧難に出来れば敵は退却するしか手段が無くなるのだ。特に今回の様な大軍で食料が大量に居る敵や堅固な城の場合はより効果的になる。更に食料は兵の士気に影響を与える。我々は一本道での攻撃で約2万の離脱者を出したのだ。その影響で士気はかなり低い。これ以上の士気の低下は何としても阻止しなければならない」


 「そうだったのですか。勉強になります」


 そう言って質問した側近という名の弟子兼後継候補は頭を下げた。





~アオイ~

 「これはこれは、異世界より来た隊長殿。任務は終わったのですか?城は未だ囲まれている上に、敵に撤退する様子は見られませんが」


 女王の執務室の番をしていたジータの取り巻きは俺たちを見てニヤニヤしながらいった。

 あの後、食料地攻撃は今のままでは無理だと判断した俺とマークとラルフさんは、ジジイと相談する為、また自分達の食料の補給の為に全員で城に戻ってきた。そして、ジジイの執務室に行ったところ、ジジイは伯爵と共に女王の元に駆けて行ったと言われたので女王の執務室に来たのだ。


 「任務について話があって来たんだ。この話は女王様にも聞いてもらった方が良いと思う。だから、そこを退いて中に入れさせてくれ」


 「残念ながら、只今軍議中の為中に入れる事はできません」


 (何故ニヤついてんだ?それに言葉がいつもより丁寧だ。・・・何か有ったのか?)


 「どういう事だ?アオイは軍議に参加できる。俺とラルフさんは入らないから問題はない」


 マークがそう言っても未だニヤついたまま、扉の前から退こうとしない。


 「残念ながら、この異世界の隊長殿に軍議参加の資格はありません」


 「「「え?」」」


 「先程、『異世界より来たアオイの軍議参加及び今回の戦への参戦を禁ずる』という王命が出されました」


 唖然として立ちつくす俺達に勝ち誇った様な笑みを浮かべながら話を続けた。


 「女王陛下は、4日前に行われた一本道での惨状を大変嘆かれました。『何故こんな事をしたのか』と。そしてその惨状を計画をした異世界の隊長を『人間とは思えない』と仰り、これと同じ惨状が起きないように軍議参加と戦への参戦を禁じられたのです」


 「・・・ふざけんな!!」


 「アオイ、落ち着け!!」


 「そうです!隊長落ち着いてください」


 突然大声を上げた俺は、ニヤついてる兵に飛びかかろうとしたが、マークとラルフさんに止められた。


 「ふざけた事言ってんじゃねーぞ!何が惨状を嘆くだ!!元々テメ―で起こした戦争じゃねーか!!俺だって好きで殺してんじゃね―んだよ!」


 2人に止められるが構わず俺は怒鳴り続けた。


 「俺の仕掛けた罠で死んでいった奴らの血の匂いや悲鳴、戦場独特の狂気があの日から抜けねーおかげで殆んど夜も寝れね―んだよ!この戦いだってどっちが王位に着くかで起こった戦いなんだろが!戦いが起こった時点で血が流れるのは必然なんだよ!俺だって戦場に行くのに、人を殺すからには自分も殺される覚悟を決めて行ったんだ!戦い起こしたんなら死んだ奴らの分までこの国を発展させるとかくらいの覚悟決めとけや!!」


 マークとラルフさんに体を押さえられながら、最後の方は涙ぐんで怒鳴っていた。


 「貴様、無礼だろうが!!先程から聞いていれば陛下に対しての暴言・罵倒の数々。死罪だぞ!!」


 そう言って抑えられてる俺に対して剣を抜いてきた。


 「いいか!俺の居た世界じゃな、テメ―らみたいに主君の言動を咎めないで、主君に対して何でもかんでも褒めたりしているクソが多い国は滅ぶんだよ!!それにな、真の忠臣はその命を以って主を戒めるんだよ!」


 俺が言い終わるとほぼ同時に剣を俺に向かって剣を振り下ろしてきた。だが、俺に剣が届く前にラルフさんが剣を持つ手を叩き、剣を落とさせた。

 “カラン”という剣の落ちた音が廊下に響いた時、扉が中から開かれた。

 そこにはジジイと伯爵が立っていた。


 「アオイ、わしの部屋で待て」


 「そうじゃな。わし等で戒めて撤回させるからの」


 そう言う2人は、何処か覚悟を決めているように見えた。


 「分かった。待ってる」


 そう言い残しマークとラルフさんとジジイの執務室に戻った。




 いったいどれほどの時間が経ったのか分からないほど長い時間が経過していた。ジジイの執務室には、俺達3人が居るが誰も話さ無い為、長い沈黙が部屋の中を支配している。しかし、その沈黙の時間は廊下を歩く2つの足音とその人物達が扉を開いた事によって崩された。


 「待たせたな」


 「本当に待たせてしもうた。じゃがとりあえず大丈夫じゃ」


 扉を開け入ってきたのは、伯爵とジジイだった。2人ともかなり疲れた顔をしている。


 「それで、わしらに話したい事というのは何だ?」


 そう聞いてきたジジイと伯爵に食料地の兵の事や兵が多い事の原因と思われる事を話した。


 「なるほどな。わしの策に確かにある。となると、兵を食料地に置いたのはマオカだな」


 「マオカ?誰だそれ?」


 「そうじゃった。アオイは知らんかったのう。マオカというのは四家のラノス家の当主でブレイダーの下で戦ってきた将軍の名前じゃ」


 伯爵の将軍という単語を聞いて、前に将軍をしている者は四家の1人と聞いていたのを思い出した。


 「あの男ですか・・・。厄介ですね」


 「え?ラルフさんは知ってるの?」


 ラルフさんが呟いた言葉が意外だったらしくマークが聞いた。


 「ええ。未だ殿が戦場の最前線に居たころですが、何度か共に戦った1人です。あの男はどちらかというと戦略家という感じの将でした。しかし、そうなると妙ですね。あの食料地にあった旗を私は知りません。基本、共に戦った者の旗は覚えているのですが・・・」


 「それは仕方ない事じゃ。食料地の旗の持ち主は最近貴族になったばかりの新参者。しかも、ブレイダ―やラルフが戦場に居たころは戦に出ておらんからの」


 そう言って首を捻っていたラルフさんや貴族を良く知らない俺に伯爵が教えてくれた。


 「その旗はガリ家の旗じゃ。ガリ家は代々将軍の下に仕える家で貴族では最近まで無かったのじゃが、今回の後継争いによって新たに貴族になった『新興貴族』の1つ。確かガリ家の当主は病に伏せっているはずじゃから、今回参戦してるのはその息子のベりセル・ガリあたりじゃろうな」


 「伯爵、そのベりセル・ガリって奴はどんな奴か知ってる?」


 「ラノス家の門下生の1人で、ずば抜けて剣の腕がたつ若者のはずじゃ。年はアオイとさほど変わらんし、今回が多分初陣じゃ」


 「ラノス家の門下生ってどういう事?」


 「ラノス家というよりマカオの弟子だ。奴は自分の配下や知り合いの子供の中から才能が有りそうな者を見つけては、門下生として剣や戦い方を教えている。これはわしが戦の前線に居った頃から有ったから知っているが、この門下生という奴等をわしは好かなかった」


 嫌そうな顔をしながらジジイが俺の疑問に答えてくれた。


 「そうですね。あの者達は、現場にずっと出ていた者から好かれはしません。四家のラノス家当主直々に教わったので自分はすごいと勝手に思い込み、独断専行をする他にも現場での叩き上げの者たちに対して傲慢な態度をとりましたからね。そのくせ、実際に死や自分の想定外の事が起こると混乱し、何もできなくなりがちなのです」


 ラルフさんも嫌な事を思い出したらしく、顔が険しい。


 「アオイ、どうするんだ?予定より兵が多いから策を変えるか?」


 「ちょっと待って。この世界で教えてるというか、マカオが教えてる戦い方ってどんな方法なの?」


 ジジイが問いかけてくるが、その答えはまだ決められない。


 「マカオが教えるのは戦い方であって、戦法などではない。戦う時は相手の何処を見ろとか、どういう風に動けとかが中心で、集団を動かす方法など教えない。だから、マカオの教え子は個人戦が強いから軍で戦っても強いと勘違いし軍をまともに扱えない。その上、生まれの身分が高い若い者や戦の経験の無い者は近衛騎士団と同じような考えをしてくるから、わしが得意とする奇襲も下策などとこき下ろすのだ!!」


 最後の頃のジジイの口調は明らかに怒りが込められていた。

 だが、このジジイの言葉を聞いて俺は策を決めた。


 「決めた。作戦を少し変えるけど、兵糧地は襲う。兵の数は100のままで良い。ただし、少しばかり策を施すから準備してもらいたい物が有るんだ」


 そう言ってジジイや伯爵に策を話、その日は終わりを迎えた。

続きは12日の0時に投稿します。

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