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「さよなら!」
『おやすみ泣き声、さよなら歌姫/クリープハイプ』
を聴いて。
──最後の言葉は
「さよなら」だった。
玄関前、最後の荷物を手渡す。
何か言おうと顔を上げるが、声が出ない。
さよなら?
元気で?
それとも「行かないでくれ…」
向かい合ったまま、なんて言ったらいいのか分からなかった。
「さよなら!」
一瞬、目の前が暗くなった。
嘘だと思いたかった現実。
言葉に出すと、認めるようで出せなかった言葉。
それを彼女から聞いた。
それも、めちゃくちゃバカ明るい笑顔。
そんなに嬉しいのか。
それ程に別れたいのか…。
悲しみを少しの黒い心が包み込む。
やっと、声が出せそうだ。
満面の笑顔──。
なら、こっちだって笑うしかないやん。
「…さよなら」
うまく笑えたかなんてわからん。
たぶんくしゃくしゃの笑顔だったと思う。
ただ、負けるもんかと、声を振り絞った。
去っていく後ろ姿を眺める。
あの角を曲がるまで、後ろ姿が見えなくなるまで…。
──年後。
そういやあいつ、嘘つく時は決まってバカ明るい笑顔だった。
あぁ…俺はあいつの泣き声に気付けなかった。
気付けなかった─。
『おやすみ泣き声、さよなら歌姫/クリープハイプ』
彼女が嬉しかったのか悲しかったのか、それは受け止める側の心次第。




