夏休みの会話の続き 何故かロボットバトル編
スシン、ズシンッと歩んでくる巨体。
その右手が上がり、背中右上の突起に掛る。
「あれはっ」
「男」から上がる驚きの声。
「あのキャラの必殺武器!」
「オーラを込めて全てを切り裂くミラクルブレードです!」
「おおおっ、なんか、昔のアニメで見た気がするうっ!」
場違いなワクワク全開気味のシロン。
「なんじゃと、まさかそんな攻撃をっ?!」 戸惑う声。
ロボットの手がその背中右上の突起を掴み、
ぐいっと、引き抜く!
思わず身構えるママ九尾。
ガリー、ベキボキっ!
…その取っ手、刀の柄の部分だけが、マヌケな音と共に、引きちぎれるのみ。
振りかざすロボットは…
「あれ?」という間の抜けた風情で振り仰ぐ。
マジでズッコケてしまうシロンと「男」。
コケはしなかったが…
はぐらかされ、さすがに怒り心頭のママ。
「巫山戯るなあっ!」
叫んで、カッ、と口を開く。
ゴオッーッ、と大きな火の玉が吐き出される。
しかしロボットの身体の青白い光が一層強くなると、
―バシィンッ!
火の玉を左手で弾き飛ばす。
「このおっ!」
飛び掛かる九尾。
その右手にボッ!と真っ赤で凶悪な光が燃え上がる。
「『発剄破』っ、喰らえっ!」
激しい赤い閃光の右フック炸裂!
―ベギャッッ!!
ロボットの兜首が、ひしゃげて吹っ飛ぶ。
首を失った身体が、ゆっくりと傾き…
ドォン、と倒れ込む巨体。
「思い知ったか!」
キッ、と振り向き『冥子』の替え玉人形に向かいなおる九尾。
「フン、木偶人形など、わらわが本気を出せばこんなものじゃ!」
「おほほっ」
余裕の高笑いの身代わり人形。
「では、もぉっと本気が必要で、ござぁいますねぇ?!」
「なんじゃと?」
言って、はっと振り返る。
なんと首の無いロボットが立ち上がり、落ちた首を拾っている!
手探りで拾い上げ、何とか上に乗せるが、前後反対のまま!
「本当に馬鹿にしておるのっ!」 呆れたようにつぶやくママ。
今度は両手に真っ赤な「発剄破」が燃え上がる。
「今度は全身、粉みじんにしてくれるわっ」
迫ろうとするママ九尾にロボットは右手を伸ばす。
ドン、と発射されるその右手首。
しかしサッと、余裕で避ける。
「そんなものが通じるかっ!」
光る手を振りかざす、だが―
「ママッ、後ろっ!」
「男」の叫びに振り返ろうとした瞬間、
ガシッ、と後ろから九尾の首根っこを大きな手が掴む!
ダンッ、と地表に押さえつけられる九尾の狐。
「姉御っ!」
叫ぶと、シロンの身体に白い毛が膨れ上がり、衣服をはじけ飛ばし巨大化する。
駆け寄ろうとする白い猛獣。
「寄るな!」
手を振り払おうともがきつつ叫ぶ。
「でも!!」
シロンに返す。
「大丈夫っ、我が人…、いやそっちをまず守れっ!!」
言う間に、ロボットは今度はシロンらの方に左手を伸ばすと、ドンッ、と発射する。
飛んで来るその左手首!
「おっちゃん、乗れ!」
さっと「男」に駆け寄り、救い上げ、間一髪巨大な拳を躱わす。
「シロンさん、私の事よりママを助けに…」
言いかける「男」の変な叫び声。
「ええっ!?」
なんとロボットの左手が、ばっと指を広げて、それをまるでゴキブリの足のように…
シャカシャカシャカー、と動かして、迫ってくる!
「う、うわわっ」
「今夜は、キモイのオンパレード、かよぉー!!」
「男」を背に乗せて逃げるしかないシロン。
「くそおっ」
何とか首を掴む手を振りほどき、体勢を立て直す九尾狐。
しかし目の前に居るはずのロボットが見えない。
ドドドドッー!、頭上から響く音。
はっと上を見上げる。
背中のロケットで飛び上がったロボットが―
真っ逆さまに落ちてくる!
避ける間もないうちに、頭から―
…ママ九尾の背中に落下する。
ボギ、バギ、ベギィ―!
肋骨と腰骨が砕ける音。




