夏休みの会話の続き 危ない人形編
「おやあ、脚をどうされたのでございますか?」
わざとらしく『冥子』が言う間に…
ロボットが立ち上がり、ズシン、ズシンと歩んできて―、ドカッ!
砕けた腰の辺りを踏みつける。
「ぐおおっ!」
響くママの絶叫。
「あら、そんなに痛とうございましたか、これは失礼、御免あそばせ」
慇懃無礼な程の言葉。
しかし口とは裏腹に、ロボットは無慈悲なストンピングを九尾狐に浴びせ続ける。
ドカッ、ドゴッ、グシャッー!
ぎりぎりと歯を食い縛り、もはや言葉も出ないママ九尾。
「ママ!」
「姉御ぉっ!」
駆け寄ろうとするシロンら。
しかし背後に迫りくるロボットの左手。
「うぜえっ」叫ぶシロン。
「おっちゃん、落ちんなよ!」
いきなり急ブレーキのシロン。
「うおっ!」 必死にしがみ付く「男」。
つんのめるようなシロンの上を、飛び越そうとする機械の手。
「あっち行けえっ!」
後ろ脚を伸ばし、犬なのに馬のように、背後に蹴り飛ばす!
はるか向こうに飛んでいく左手。
「姉御、いま行くぅっ!」
疾風のように駆け寄るシロン。
チッ、と舌打ちすると、『冥子』がさっ、と右手を伸ばす。
するとママ九尾の首根っこを押さえていた「右手」が、びよんっと飛び上がり―
シロンらに襲いかかっていく!
「うわわっ、あぶねっ!」
上から落ちてきて叩き潰す動きの手を、何とか避』ける。
「うしろ!」
「男」の叫びに振り返ると、
さっき跳ね飛ばした筈の左手が、ゴキブリのようなシャカシャカ動きで、もう迫ってきている!
「マジで、ゴキかよおっ、しつけぇっー!」
先ほどに続き、逃げるしかないシロン。
「なんかぁこの夏休み、必死に走ってばっか、じゃん!!」
シロンの助けが得られないのを確認したように、
身代わり人形が台を降りて、ゆっくり九尾狐に近づく。
「ぐぐっ、貴様っ!」
ニタニタ笑いにイラつく、九尾の手に赤い光が集まる。
しかし『発剄破』のその手を…
―グシャッ!
ロボットの足が無慈悲に踏みつぶす。
「ぎあああっ!」もう何度目か分からない、ママの絶叫。
「んんー、肉がつぶれ、骨が砕ける…、心地よい音であるな」
うっとりとしたように言う『冥子』。
「おや、伝説の九尾様ではございませんか、その有様は、いかがなさったのです?!」
わざと言い、そしていきなり、両手を広げて、くるくると舞のように回る。
「まさか、神よりも偉大な存在に、一撃でやられたのでは?」
「おほほほほほほ、そうに違いない!」
倒れ伏す九尾の狐を、びしりと指差して言う。
「それは私、この『京終 冥子』っ!」
「私が、偉大!」 、言う。
「私が、全て!!」 、叫ぶっ。
「私があぁーっ!、もう何も言う事も無いぃっ、そう、わたしいぃっー!!!」 、絶叫するぅーっ!
「どれだけ危ないんじゃこの人形は?!」
痛みなど忘れたようにつぶやいてしまうママ九尾。




