夏休みの会話の続き 「なみはや」編
…んで、二日後。
そこは新幹線の車内、幕の内弁当を頬張るシロン。
「で、次はどこ行くって?」
「立ち直りが早いですね、シロン」後ろの席を振り返る「男」。
「んなんじゃねーよ、犬神の身内をコケにされてさー、黙ってらんねーだろ」
次にタコ飯弁当をがっつくシロン。
「奴らにケジメつけさせなきゃだろ、力つけなきゃなぁ!」
「単なる大食いの言い訳にしか聞こえませんが?」
やれやれと言った感じの「男」。
「…気のせいじゃね?」
そしてステーキ弁当を掻きこんでいく。
「あんた幾つ弁当食ってんのよ」
「男」の隣に座るママが呆れたように言う。
「えへへ、おっぱいまで大きくなってさー、栄養とらなくっちゃ」
あっという間に弁当を平らげ、ガサゴソと傍の袋を探り、今度はサンドイッチを取り出す。
「この犬娘、開き直りやがった」
ママは首を振る。そして横の「男」に尋ねる。
「で、ホントに次はどこ行くのさ」
「商都ですよ」
「あーあのノリのいい街?」
嬉しそうなシロン。
「やったー、アタシ本場のお笑い、見たーい」
「粉モノも、いーっぱい食べたいな!」
食欲全開のシロン、だが疑わしさ全開のママ。
「で、誰に会うのさ?」
「ええ、稲荷神様の紹介なのですが…」
「…!」聞くなりそっぽを向いてしまうママ。
「大丈夫ですよ」なだめるように言う「男」。
「狐関係ではありませんから」
「なら、なんなのよ」ちょっとご機嫌ナナメで言う。
思わせぶりに返す「男」。
「そうですね、『お座敷の精霊』とでも言いますか…」
「はあ?」
「なにそれ?」
狐と犬から同時に出る疑問符。
「まあ、会ってのお楽しみですよ」
でも、信じてないママのドスの聞いた問い。
「楽しく無かったら…、分かってんだろうね?!」
慌ててママをなだめて言い訳する「男」。
食べ終わり、ペットボトルのお茶をお茶を飲むシロン。
(このおっさん、ここまで言われて何で、へーきなんだ?、わかんね)
(あ、…そーいうシュミか?)
(…どういう、シュミ、だ?)
空のペットボトルを袋に投げ入れる。
(…まー、いっか)
…それから、八時間後くらい後―
初夏の夕焼けが美しい頃…
商都の東北部あたり、古い民家の立ち並ぶ街並み。
日本庭園を右手に見る、渡り廊下の先、離れの座敷に案内される三人。
「わー、昔のイエっていうの?、こんなの初めてー」
苔の生えた岩の庭や、流水の様、鹿威しの音…
全てに驚き、見つめるシロン。
小柄な子供が先に立ち、案内する。
「どうぞ、翁様がお待ちです」
「恐れ入ります」
キョロキョロするシロン、浮かぬ顔のママに、一人だけ恐縮する「男」。
離れの奥座敷、その奥に一人の老人が座っていた。




