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(本当の)バーのママと女子高生の会話 二個め

「な、なんだよ!」


「まず、わらわを傷つけたことに対する謝罪を要求する!」

言われて、明らかに不服そうなシロン。

「え、だってありゃ真っ当なタイマンだろ、それを今更…」


しかしずっとにらみ続ける狐耳。

(コイツ、ウゼェ…)

「わーったよ、あやまりゃいいんだろ、謝りゃあっ」


「あ、アンタの右手をすっ飛ばしたことは、悪かっ…」言いかけるシロン。


だが…

「そのような事を言っておるのではない!」全否定の九尾。

「え?、でも…」

「もっと酷いことがあったであろう、忘れたのかや?!」

「え、ええっ?」

「わらわを侮辱した、それも二度もじゃ!!」


必死に思い返すシロン。

(こ、コイツが、こんなブチぎれるような事なんて言ったっけ?)

はっと気づく。

「え、それって、まさかアンタに、ババアって言…」


「まだ抜かすかあ、この小娘ぇ!」

―やっぱそれかあ、コイツの「スイッチ」は!

面倒くさい典型的なパターンだ。


立ち上がり、シロンを指さして叫ぶ。

「もうこの期に及んでは、謝罪などいらぬ、もっと誠意を見せよ!」


「…ど、どーしろってんだよ」


「そうじゃのう…」一転して悪だくみの顔。

「そうじゃ、わらわを尊んで崇めるような呼び方を、ぬしが考えよ」


「はあ、呼び方?」


「それが気に入れば許す」

「じゃが気に食わねば、覚悟せい」


「ど、どうするんだよ」


「その時は―」

「おぬしが一番嫌がる事をやってやるわ!」


ぎくりとするシロン。

「ま、まさか、施設のみんなを?!」


「フン、そのような面白くもなんともない、つまらぬ手など使うと思うか、この偉大なる九尾が?」

―いやアンタならどんなことでもやりそうじゃん。

ホント、めんどくさいバ…、おっといけない、言っちゃダメだった。


「な、なにをするって言うんだ?!」

「くふふふ、聞いて驚くな」

身構えてしまうシロン。


「おぬしの父親をたぶらかして」

「その後妻に収まってやる!」


「は???」

何言ってんだコイツ?


「おぬしの継母ままははになって、いじめてやるわあっ、どうじゃ、嫌であろう?」

―い、いや、それは身の毛もよだつほど嫌だが、

そんな脅迫の文句、見たコトも聞いたコトも無いぞ!


で、でも何だか、確かにオヤジは信じてはいるが、目の前のコイツの色仕掛けを断れるか、という心配を感じてしまう!

くそっ、オヤジへの信頼にヒビを入れる作戦か!


「どうした、わらわの計略にぐうの音もでぬかや、ほっほっほ」


くそぉ、何でコイツこんなに楽しそうに…

―楽しい?

そういえばコイツ、アタシを楽しそうだ、賑やかだなんて、言ってたっけ。

たのしい、戦いが?、いや、何かちがう?

戦いか、…そう言えばオヤジに昔の事を訊いたって、『戦いなど空しいだけだ』とか言って、なーんも詳しく教えてくれなかった…


コイツとアタシとの『アレ』は戦い、だったのか?

うまく言えないけど、コイツが望んでいた事、アタシに、求めていた事は、なんかこう、もっと…


はっと気が付くと、九尾はシロンの顔を見つめている。その頭の耳が引っ込む。

「…そう、それが答え」

「いま言葉になんかできなくてもいい」

「なんなら『遊び』って言ってくれてもいいよ」


「うん、わかった」なぜか素直に頷いてしまう。

「でえ…、さっきアンタの言ってた『尊んで崇めるような呼び方』を思いついたんだけど」


「ふぅん、言ってみなよ」

悪戯いたずらっぽく笑うママ。

「でも気に入らなきゃあんたの継母ままははだぞっ」


「それは止めて!」心から言ってしまう。


「そーだね、アンタの事」

「『姉御あねご』って呼んでいい?」



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