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バーのママ?と女子高生?の会話 一個目

シロンの総身の毛が、逆立つ。

「うっ、コイツめっちゃ強えぇっ!」

今まで感じた事の無いほどの威圧…


思わず、後ずさりしそうな足に、ぐい、と力をこめる。

思いを込める。

「でも、でもっ、ほっといたらコイツ、施設のみんなを…?!」

そして心を決める。

「それだけは、嫌だっ、…くぅっ、や、やるっきゃ、ないっしょっ!!」


歯をむき出してうなり声をあげる。

「…うん、何者ぞ?」

ジロリと獣の眼が睨みつける。

「え、あ、アタシは…、イヌカミノ…」

今まで感じた事の無い強い目力、詰まる言葉。

「え、ええいっ」

大きく首を振る。

―ビビんなよぉっ、アタシぃっ!


「アタシはぁっ、犬神の娘、シロンだあっ!」

牙を見せて咆哮する。


「ほう犬神の?、ふ、それが何用じゃ」

動じない、どころか嘲り馬鹿にするような言い草にむっとする。

「お前、悪者か、みんなを困らせに来たのか?!」

シロンの言いように、一瞬キョトンとした様子の後、ニタリと笑ったかのような獣の眼。

「…くふふっ、だとすれば、何とする?」


「許さないっ!」

きっぱりと叫び、頭を下げ身構える。


「おほほほっ!」

いきなり頭を揺らして笑う、その拍子に垣間見える狐耳。


「コ、コイツ、妖狐ってヤツかあっ」

で、でもこんな、スゲエの、見たコトねえ、チートかよっ!


可笑おかしやの、近頃ちかごろまれ戯言ざれごとぞ!、ふっ…なんと、わらわを許さぬとぬかすか、この小娘こむすめ風情ふぜいが?」

マレナザレゴト?、コムスメフゼイ…?!、古風な言い方なのか分かりにくいが、

なんか、ものすごくバカにされた様子にカチン、とする。


「アンタっ、どこの野良狐だっ」


「ふん、おぬし如きに名乗る必要など無いわ」


「名前も無いのかよぉ、アンタァ!?」


「そうではない、駆け出しの幼児に言うのは…」

妖狐は身を揺すり、身体を覆う雲を晴らす。

「ただこれを見よ!、のみじゃ」


金色に輝く巨躯の体毛と、その背後にあるものをわざとらしく示す。

その九本の尾を…

「ほぅれ、どうじゃこの姿、ぬしの如き世間知らずの小娘ですらわかるであろう?」


九本の尾の、金毛の妖狐ぉおっ?!

げえっ、マ、マジかよおっ、コイツ、レジェンド級の超絶ヤバイ奴じゃんっ!!

チートどころか、いきなり最上級ラスボス、かよぉっっ!!


「何を固まっておる、知っておるのか、知らぬのか?」

ドン、とわざとらしく前足を踏み鳴らす。

「知らぬなら来い、踏みつぶす!」


「もし知っておるのなら、尻尾を巻いて退散せい。ほほ、その際の少々の粗相そそうは見逃してやるぞよ」

ニタリと笑って言うその台詞に、シロンは首をひねる。

「そ、粗相そそうって、何だよ?!」

フンという鼻息。そして冷たく見下す視線。

「はっ、おびえてどんな臭いものを洩らそうが、鼻をつまんで笑って許すと言うておるのじゃ」


ピキッ―!

「アタシがぁ、ビビって、チビるってかぁあっ!?」

シロンのこめかみ辺りに、見事な程の怒りの渦が炸裂する。

「馬鹿にすんなぁあっ、この狐ババアっ!」

叫ぶシロン、しかしその反応は予想の斜め上―


薄ら笑いの獣の眼に一瞬、力がこもる。

「ほほう…?、小娘ぇ…、わらわを『ばば』、じゃとぉ?!」


―ドッ!、いきなり来る激しい衝撃、シロンはたじろいでしまう。

(ウ、ウソだろ、睨んだだけ、でぇ…?)

思わず、たじ、と後ろ脚の力が抜けそうになる。


「はっ、わらわの本気の、またその爪の先の一片ひとかけらほどでさえ、そのざまか?」

見越したように、せせら笑いの大妖狐。

「言葉には気をつけるがよいぞ…」


さらに煽る、一言―

「…のう、か弱い子犬、ちゃん?」

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