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獣王襲来 【亜人種強制収容所編】 その5

□□




多様な文化を築いている亜人種=獣人族のなかでも、



生まれながらに『戦い』にのみ人生を捧げる事を宿命づけられた民族がいた。




生まれ落ちた瞬間から、墓場に入る最後そののときまで、


戦士として技術の鍛錬、武人としての知識の研鑽、


戦人いくさびと】としての生のみに、生涯すべてを捧げることを宿命づけられた、特別な民族が。



幼い頃からの厳しい選別により、


少しでも戦闘に不向きな身体や、精神ココロであると判断された時点で故郷を追われ、


荒野に追放される。



少しでも努力を怠り、戦士としての素養に欠けると判断されれば、


成人を迎えて一人前の成員として認められる前に一族から排斥はいせきされる。



そんな、圧倒的に過酷な競争のなかに生きる人々が。




―――戦闘民族タルパカス





東方の少数民族でありながら、


ひとたび戦場におもむけば、巨大な戦争の趨勢すうせいさえも左右してしまう。


最強の軍隊、軍団を擁する超軍事的小国家。




その国の男たちは、全員がいくさ生業なりわいとした職業軍人であり、


幼少のころから英才教育を受けて鍛え抜かれた格闘の専門家であり、


闘うためにこの世に生をうけたような、屈強の獣人戦士たちだった。



1人1人が、その生涯の一瞬、一瞬を戦闘技術の開発に捧げ尽くした武芸の達人にして、戦争学の権威。


幼少の頃からの厳しい選別を潜り抜けて、なお一日たりとも研鑽を怠らないエリート戦士たち。




そんな彼らが、何よりも固い絆で結ばれ、血の団結をもって作り出す軍団。



究極の特殊部隊。



戦場において、彼らに並び立つ軍勢など存在しなかった。




ある戦争においては、侵略してきた悪の帝国ローマノフの10万にも及ぶ軍勢を、


狭い峡谷きょうこくに誘い込んだ末に、たった30名の精鋭だけで数か月に渡って押しとどめた、という逸話まで残っている。




まさに伝説。


一騎当千を体現する、鬼神の如くタルパカスの戦士たち。




そんな戦闘民族タルパカスの長い歴史のなかにおいても、



突然変異的に現れた超天才。



タルパカス歴代武人史上、最高傑作。



そう称賛されているのが現王レオニダスだった。



よわい九つにして、先代王をはじめとしたタルパカスの先輩兵たちを戦闘技術において圧倒。


十二の年に初陣した戦役において、指揮官としての天才的な手腕を発揮して友軍を大勝利に導く。



そこから、派遣された数々の戦場の、全てにおいて自軍を大勝利に導き続けた。



戦士としても、指揮官としても、歴史上、類を見ないほどの天才を発揮し続けた神童。



まるで、生涯をかけて鍛錬し、【武】を磨き続けた歴代タルパカス兵士たちの戦乱たたかいの記憶が、


レオニダス王1人の身内で結実され、昇華したかのように。



そこから年月を重ね、さらなる経験を積み、かつての神童が心身ともにピークを迎える壮年期を迎えた。



それが現在のレオニダス王だった。



こと、戦闘、戦争の技術においてレオニダス王に比肩しうる者などこの世に存在しない。



偉大なる亜人種の王レオニダス。



世界中の亜人種の尊敬を一身に集める、高潔にして最強の獣王。





□□




ニャンコ大先生ロゼッタが、


銀河万丈みたいな激シブの声でナレーションしてくれた。



その身体のどっからそんな激渋オヤジボイスが出てくんだよ?



お前の声帯が一番チートだろ。




《てゆーか、語尾に『ニャン』ってつけなくても話せるんですね。ロゼッタさん。故意に『ニャン』をつけてる疑惑》




さとう珠緒の『プンプン』みたいなもんだったのか?





俺は、瓦礫を押しのけて立ち上がる。



衝撃で服がビリビリに破けて、サーファーみたいに開放的な露出度になっていた。




「てか、みんな少しは俺のこと心配せえよ?」





《あの程度でくたばるなんて誰も思ってません》





破けて肩に引っかかってるだけの上着を、剥ぎ取って脱ぎ捨てる。




…………ニャンコ大先生のナレーションによると、べらぼうに強い相手みたいですな。




俺は、β版をインストールした。



髪が純白に染まって、あらゆるステータスが爆上げされる。





「最初っから本気これ出さないで、ごめんね」





宇宙空間までほとばしる、


逆流した滝みたいなオーラ。



【逆ナイアガラの滝】みたいな膨大な暗黒闘気を身にまとい、


俺は歩みだす。





…………そんで、やっぱりそんな伝説級の男が


自らの意志であんな胡散臭いに国に加担するわけがないよな。





《何か、事情がありそうです》








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