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レナの誕生日 スライム遊園地 その14



超高層ビル群みたいな巨大モンスターに包囲されている。



さながら、大海の潮の満ち引きみたいなケタ違いの雄大さで、


俺たちの方へ迫ってくる巨大怪獣たち。




『これ、死にゲーのクライマックス・シーンですか?』感満載の壮絶な光景を目の当たりにしながら、




俺はピーンと天啓アイデアを閃いていた。





「…………そうだ。


縮小剤あしもふってまだ残ってたよな?」





《そういえば、まだまだたくさん余っていましたよね。


それがどうしたんですか?》




俺が、これから起こる光景の奇天烈さを頭に思い描いてニヘラ~とだらしない笑みを浮かべると




《…………まさか》





そう。その、まさかよ。





《ロリっ娘ソードで怪獣をなで斬りにして幼女キャラをさらに増殖させる気ですか?》




ちがわい!!!!!





俺は異魔神ポケットの内部から縮小剤あしもふの巨人サイズの錠剤を取り出した。



それを、怪獣のとんでもない巨体に見合った分量に切り分ける。




「さぁ、ここにありますわ【巨人の郷】にて手に入れし縮小剤あしもふ


種も仕掛けもございません!!!


今からこの錠剤を綺麗さっぱり消失させてみせまする」




ちょっとマジシャンっぽい芝居がかった仕草をしながら怪獣たちに向かってそうアピールする俺。




《人語を解するようにはとても見えませんよ。


あんな巨体でも脳味噌はクルミ大って感じの知性レベルです》




それでも、レナは興味深げな様子でこちらを見つめている。




《内面はまだお子ちゃまだから。奇術マジックに目が無い》




俺の周辺に浮遊している錠剤の欠片たち、



その表面に、次々と光り輝く転移術式が浮かび上がっていった。




次の瞬間……………




空間から錠剤たちが消えている。




レナは、無表情なままだけどパチパチと手を叩いて喜んでいた。




そして、消失した縮小剤あしもふが再出現した先は……………




動く超高層ビル群みたいな巨大怪獣の胃袋のあたりが、


一様に転移術式の強烈な光で内側から輝いていた。




《なんと奇天烈な攻撃方法》





縮小剤あしもふは、怪獣たちの胃液の湖のなかに空間跳躍ジャンプしたのだ。




《マサムネさんがもしもテロリストになったら始末に負えないですね………


爆弾を任意の場所に転移させたり、


毒薬を暗殺対象の胃袋のなかに出現させたり、



無双の暗殺者アサシンになれますよ》




なんでわざわざテロリストに転職して草薙素子とり合わなきゃいけないんだよ。




《なぜ公安九課》




てか、相手が鈍重ノロマ暗愚トンマな大恐竜だから通用した技であって、それなりに知性や魔力のある相手なら予測して回避してくるだろうしな。




が、自分が腹の中になにを詰め込まれたのかさえ自覚できていない大怪獣デカブツどもは、


もろに胃袋へのダンクシュートを決められていた。




やがて、とんでもなく壮観な絵ヅラが、目の前に広がっていく。




天を突くような巨大怪獣たちが、みるみるうちに縮小していくのだ。



この辺りを蹂躙していた巨大生物が視界から完全に消えてしまうまで、10秒もかからなかった。




世紀の大マジックでも目撃したみたいに、



またレナがパチパチと手を叩いて喜んでいた。




《プリンセス・マサコー》




………俺がいつ総書記の前でマジックを披露したよ?




□□




辺りは薄暗くなっていた。



俺たちは、密林の一画にキャンプを張っている。




俺とレナは2人で焚き火を囲みながら、


暗闇のなかで燃える火に照らされた、奇妙なモノを見つめていた。




それは、箱庭のなかの小さな牧場みたいな、


小さな囲いに覆われた、ミニチュアの草原。



俺が魔法で作り出した【箱庭牧場】だった。




だけど、その草原のなかで放牧されているのは、小人サイズの牛や馬ではない。



《《ミニチュアの怪獣》》たちだった。




縮小剤あしもふによって、ソフトビニール製の怪獣オモチャみたいな縮尺に縮んでしまったモンスターたち。



ミニチュア怪獣と化してしまったモンスターたちを密林からかき集めてきて、小さな囲いのなかに回収したのだ。



あのまま放置してたら、他の巨大生物に踏みつぶされてお陀仏ダブツだからな。




レナのどうぐ袋のなかに大切に保護されていたミニメタルドラゴンが、


自分で袋から顔を出して、箱庭牧場のなかに降りていった。



まるで、あつらえたみたいに他のミニチュア怪獣とサイズ感が合っている。



顔を寄せ合ってじゃれ合うミニチュア怪獣とミニ機龍。




暗闇のなかで焚き火が揺れている陰影の加減なのか、


レナが、他の怪獣とじゃれ合うミニ機龍を見つめながら泣きそうな顔をしているように見えた。




「友達ができて良かったな」




レナは、ミニ機龍を見つめながら小さく頷く。





「あとは、ちゃんと餌を用意してやるだけだな」





レナは真っすぐにこちらを見つめて、大きく頷いた。



その瞳が少しだけ、潤んでいた。








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