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雪の女王の脳内 その23



この心臓内空間ごと消し飛ぶ……………



そう、最悪の事態を覚悟した瞬間。




爆風が、とんでもなく大きい掃除機で吸い込まれていくみたいに消失していくのが分かった。




無彩色モノクロの旋風。



そこの部分だけ白黒映画みたいに色の無い旋風が、爆風のまわりを取り囲むみたいに吹き荒れている。



その旋風かぜに触れた爆風のすべてが無力化されて微風へと変わっていく。



無色の風によって、爆風のすべてが消し去られていった。




原初神竜リムルルが放った【ゼロ旋風かぜ】だった。



その雄大な黒い翼から放たれた風が、爆風を取り巻くように包み込んでその破壊力を無に帰してしまったのだ。




「こんな使い方もあんのか!!?


やるっ!」





《破壊的なパワーも創造的なパワーも、あらゆるものが例外無くゼロに帰る。


それがエントロピーが増大し切った空間セカイなのですね……………》




そう考えると、恐ろし過ぎる力だな。


エントロピー増大の法則を操る、原初神竜ゼロ・ドラゴン能力チカラは。




《使い様によっては【即死チート】


どんな強敵も一瞬で無に還して、あらゆる戦いを【強制終了】出来てしまう能力かも知れません》




核兵器と一緒で、使い方を間違えたら自分自身すら消滅しかねないな。




《大魔王をも、神々をも超越する、無限のポテンシャルを秘めた最強生物。


それが喰種ハンシュ族であるリムルルですからね》




…………だから気軽に変なモン喰わせてたら大変な事になるってずっと言ってんのに。



《リムルルがマサムネさんを捕食したら、どんな最強生物に進化するのか気になります(ワクワク)》



もしかして俺、いつか喰われる運命なんですか?





俺は、原初神竜リムルルの背に乗って


ドヤ顔で胸を張っているグラナゴスのそばに舞い降りると


その頭をポンポンと撫でた。




「よくやった。でも、もう暴れるなよ。


体内で魔界の帝王に暴れられる身にもなれ」




猛牛みたいに熱い鼻息でうなずくグラナゴス。




「グラちゃ~ん!!!!


ありがと~!!!!」



漫画家が左手で描いたみたいなグチャグチャな顔で、


ロリっ娘魔神皇帝の腰に抱きつくエスメラルダ。


抱きつかれた魔神皇帝グラちゃんの方は頬を上気させてまんざらでもなさそうだ。




その瞬間とき、皮膚にぴりぴりと違和感が走る。



こっちの内臓、胃のあたりに、ジワジワと侵食してくるような悪意の波動。




その発信源に目をやる。




まだ空間の一角を覆い隠している爆煙の方向。



その中から、黒い影が現れる。




少し、外皮の装甲の一部が欠けただけで、飄々《ひょうひょう》と佇む黒死病ペスト兵。



何事も無かったかのように、こちらに向かって歩き始めていた。




「嘘だろ………………アイツ、


史上最強って言っても、たかが菌だろ………………話が違うじゃんかよ」




黒死病ペストという史上最大の伝染病の、《《脅威の擬人化》》。


そう考えるとあの異常な耐久力も納得がいくかも知れませんね》




それじゃ、黒死病ペストっていう《《概念そのもの》》と戦ってるって事か?俺たちは。




黒死病ペストが人類に与えてきた【脅威の総体】とでも言うべきでしょうか》




いやいや………………


それって、伝染病っていうより


【悪魔】とか【鬼】とかに近しいレベルの、神話レベルのバケモノじゃねえか。





警戒心を強めて身構えるグラナゴス。



俺はその肩をポンッと叩いた。





「……………あとは俺がやる。


お前は姉タンを守ってあげな」




一瞬、悔しそうな表情を浮かべたけど、


グラナゴスはすぐにエスメラルダのそばで守りの態勢に入った。




鼻歌でも唄い出しそうな調子で、こちらにズシズシと歩んでくる黒色の細菌兵。




「悪いがな、お前みたいな骨董品レベルのレトロ細菌にもたついている暇はねえんだわ」




ピクッと黒死病ペストの表情が変わった。




俺は、右拳を左手のなかに打ち込んで。




「自粛期間はもうとっくに終わりだ、オワコン野郎」





ピクピクピク……………



黒死病ペストの顔面が、怒りに歪んで痙攣していた。







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