先祖の威光が盾として具現化する異能
風がふいて、爆煙がはれた
そこにはサナギみたいなかたちに変形した白い女神がいた
ミヤコの小さなからだを完全に包みこんで
かすり傷ひとつ付けてない
危険がなくなったと分かるや
サナギみたいなカタチから元の女神っぽい姿にもどる
中から、不満げな顔の魔女っ娘があらわれる
なんじゃ、この絶対的防御力…………
ワニが、あぜんとしてる
いや、気持ちわかるよ
「勝手に守んないでよ!!」
泣きそうな顔のミヤコ
いや、訳がわからん
そこはドヤ顔するとこだろ?
こんなスゴい防御力してて
天下無双の超シールドもってて
なのにミヤコはあんなに嫌がってる
なんで?
泣きながら水魔法をれんぱつするミヤコ
HPがそのつど回復する鎧ワニ
ドン引きしてる
いや、不気味だよな?
こちらの攻撃をぜんぶ無効化してくるのに
なぜかマイターン自分のHPを回復してくる敵
俺でも怖くて逃げ腰になりまさぁ
新しいタイプの嫌がらせじゃと思いまさぁ
鎧ワニはやけくそになって飛びかかった
真っ白い鋼鉄の女神のまわりが
ぴかぴか、と糸がはしったみたいに光る
ミヤコに飛びかかったワニの身体が
空中でバラバラに分解されていた
「あ…………ギ…………」
4つくらいに切り分けられた顔で
ワニは最後にそうつぶやいた
地面でグチャッと細切れになる
ミヤコは、しばらく泣きながら鋼鉄の女神の身体をぽかぽかと叩きつづける
「よけいな事すんなーーー!!バカー!」
□□
夕暮れ
荒野
俺はミヤコをおんぶして城へ向かって歩いてる
チカラをすべて使い果たしてしまったらしい
そりゃ、あれだけ水魔法を連発してればな。
□□
「あれが…………わたしが勇者パーティーにいる理由です」
「…………」
「ご先祖様の偉大さ。家名の大きさを具現化する異能」
なんか、そんな気がしていた。
ミヤコ本人の素質とか魔力とかをぜんぜん反映してない圧倒的すぎるチカラ
あの真っ白い鋼鉄の女神からは、そんな底知れないパワーを感じた
俺のフルパワーでも通用するかどうか……
そんなレベルの超絶のチートだ、あの女神は
「けっきょくは、必要とされてるのはご先祖様だけなんです……水魔法しかロクに唱えられない、わたしなんかじゃなくて……」
ミヤコは俺の背中に顔を押しつけて涙をこらえてる
ときおり、こらえきれなくて、身をふるわせる
なんだか、背中からミヤコの苦しさが流れこんでくる気がした
「…………みんな、言うんです。わたしは親の七光りだって。血筋だけでいまの地位についたって」
「…………」
「……まぁ。ぜんぶ本当の事なんですけどね」
しばらく、無言で歩いた。
背中でミヤコの息づかいとか鼓動のリズムを感じながら。
「…………俺が、ご先祖様だったら」
「はい?」
「俺がミヤコのご先祖様だったら、ただ自分の子孫だってだけでチカラを貸したりしないけどな」
「…………」
「何時間も何時間も、ひたむきに魔法の練習をくりかえしてる。他人から陰口をたたかれても腐ることなく前向きに努力をしてる。
そんな、けなげで可愛い子孫だから、ご先祖様もチカラを貸したくなるんじゃないのかな?」
「…………」
「俺は、ミヤコの1番の才能は、ご先祖様の威光を具現化する異能じゃなくて
その誰にも負けないくらい真っ直ぐな心だと思うけどな」
しばらく、沈黙がつづいた
俺にはミヤコの表情は見えない
背中にあたる感触から貧乳だってことくらいしか分からない
「…………マサムネさん」
「……は、はい?」
心のなかを読まれたのかと思った
「さっき、わたしのこと、ドサクサにまぎれてミャーコって呼びましたよね?」
「はい、サーセン」
「………大親友か、未来の結婚相手くらいにしかそんな呼び方ゆるさないんですけど」
「サーセン。もうしません。反省してます」
背中にミヤコがくすくすと笑ってる感触
「特別に、その呼び方するのゆるしてあげます」




