ロボッ娘 駄メイドの憂鬱
「ごめんなさい、ごめんなさい!まさかマサムネさんご本人から大魔王のニオイが出ているとは思わなかったんですぅー!」
泣きべそをかきながら俺の足にすがりついて謝るクロエ
なにが悲しくて異世界まできて頭のネジがゆるんだ海外のユーチューバーみたいな命知らずなパフォーマンスをしなきゃならんのだ
『異世界でちょっと不器用な美少女たちと最初の街からぜんぜん出ないでスローライフ』が最近のトレンドだと聞いたぞ?
なんやねん、異世界版ナイアガラの滝にダイブって
なぜ俺は視聴数稼ぎのためにどんどん過激化する海外ユーチューバーみたいなことばかりさせられてるんだ?
バカか?作者はバカなのか?
「ごめんなさい、ごめんなさい!
てっきりマサムネさんは大魔王に拉致監禁されてずっと陵辱されていたんだと思ったんです!
大魔王に『俺のヨメ』にされていたから、あんなに濃く魔族のニオイがしてるんだと!
だから心のキズを癒やしてさしあげようと!
精一杯、身体に染みついた大魔王のニオイを落としてさしあげようと!」
ロボメイドのくせになんか果てしなく妄想をふくらませてるーーーーーーーー!!
ひとのこと、ハードBL路線の犠牲者にしないでーーーー!?
ロゼッタが鼻をよせてきて俺の首すじや耳の裏をくんくんしてくる
鼻息があらい。エサをねだるときのネコの鼻息
「相変わらず魔王臭はスゴいけど良いニオイになってるニャ」
なぜかトロンとした目つきになるロゼッタ
よだれをふいてる
マタタビ成分でもはいってるんじゃないだろうな?魔王臭とやらは
【石鹸ドラゴンの効果でマサムネの魅力値が5あがった】
変なテロップが頭のうえに表示されたけど
これ以上、魅力値いらん!!
「ミスを取り返させてください!
わたし、ほんとうは出来る娘なんです!」
ロボット耳メイドが半沢直樹に出てくる中小企業の社長みたいに足にすがりついてくる
「ええい!はなせ駄メイド!」
融資を打ち切ろうとする悪徳銀行員みたいな顔で振りはらおうとするけど
ロボット駄メイドは、しがみついたままずるずると付いてくる
「ひと晩だけで捨てるなんて!ひと晩だけで捨てるなんて!
後生《ごしょう」です!もう少しだけわたしをおそばに置いてください!」
城の従者の女たちが俺のほうを見てヒソヒソ話をしてる
「ま、ひどい。あんなけなげな女の子をひと晩だけ弄んで捨てるなんて」
「さいてい!女の子をひと晩でポイ捨てなんて」
まぎらわしい表現するから壮大な誤解うけてるじゃねえかーーーーーーーー!!
で、けっきょくはロボット駄メイドのリベンジマッチとして
手料理を食わされるハメにおちいった
あの、食の安全って発想この世界には無いんスか?
魔界の外来種、みんな平気で食うし
300年も池に浸かってたテクノロジー完全ブラックボックスの古代謎ロボットを台所にたたせるし
まぁ、口にするの俺だけなんだけど
調子の狂った電子頭脳で毒物混入事件とかおこされたらかなわんから
料理してるうしろ姿を観察した
速い、速い!
料理の鉄人かってぐらい手ぎわが良い
これが連邦軍のモビルスーツの性能なのか!
野菜を切る包丁が速すぎてぎゃくに止まって見える!
フランベが燃え上がりすぎて天井と駄メイドの前髪が焼け焦げるハプニングはあったけどおおむね素晴らしい!
これは期待できるかも知れない!
どんっと
テーブルに置かれた皿
「エウレカ名物…………『ゴリアテの涙』です」
「こ、これは…………」
テーブルのうえの皿からピカーーーーーーっと光があふれだす
ごぼごぼごぼごぼ…………
どぐ…………どぐ………どぐ………どぐ………
おぉおおぉおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ…………
魔界の海よりぜんぜん禍々《まがまが》しい
真っ赤な色の料理
なんか、料理のなかに心霊写真みたいに人の顔がいくつも浮いてんスけど
なんか、料理が、うめき声あげてるんですけど
あの、手ぎわの良さから
なんでこんな異形の料理が生まれでてくるーーーーーーーーーーーー!?
それに、エウレカ名物だと……?
古代人はこんなもの日常的に食ってたのか!?
あれか、ドラゴンボールの超神水みたいなやつか?
口にしたら三日三晩、苦しみにのたうち回る毒薬だけど耐え切れば強くなる的な
そういう修業のためのメニューなのか?
これを食って古代人は自分を鍛えていたのか?
「わたしの故郷エウレカのソウルフードです♪さ、召し上がれ」
嘘をつくなーーーーーーーーーーーー!!
皿のなかで大魔王の細胞みたいに脈打ってる真っ赤な料理におそるおそるスプーンをさしこむ
いや、こんな見た目をして
実は上手いというパターンもあるだろ
パクッ
俺の脳天が噴火した
辛ーーーーーーーーーーーーーーーー
舌がねじきれるくらい辛ーーーーーーーーーーーーーーーー
フランベが天井まで燃えさかってる時点でお察しすべきだった
「あーーーーーーーー!!マサムネさん大丈夫ですか!?エウレカの人はこのくらいの辛さじゃないと満足してくれなかったんですが!?」
古代人のファンキーな味覚!!!
うん、ロボット美少女クロエたん、駄メイド確定です
そこへ、すたすたと通りがかったレナが
なぜか食卓についた。
無表情だけどお腹が空いていたんだろう
黙って、そのまま、俺の使ってたスプーンで真っ赤な料理を口にした
いや、間接キスとか気にしないのね、この娘。
激辛料理を食べたときのレナのリアクションってどんなんやろ?
ドキドキ……
「…………美味しい」
ロボット駄メイドの表情がぱぁーっと明るく晴れる
古代人と同じ味覚の人がここにいたーー!!




