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軍艦遊郭の姫花魁 その12



普段の微妙な距離感を忘れてしまったかのように、背中にひっついたまま離れようとしないエスメラルダ。


いや、あんまり長いこと押しつけてると背中がお前の胸を認証登録しちゃうぞ。スマホの指紋認証みたいに。



《マサムネ式おっぱい認証》




てか、おっぱい認証が完了したら何が解放されるっていうんだ?




《スマホのエロ動画視聴履歴》




やめて!!!!?




しばらく嵐が過ぎ去ったあとの海風を頬に感じていた。




「…………あんなに。


あんなに親父が長年、手こずっていた難敵を.


…………こんなにあっさり倒せちゃうなんてさ」




エスメラルダが、ひっついたまま背中でささやく。




「アンタといると…………生きてくのがなんでも簡単に思えてきちゃう…………。


ダメなのに。こんなにラクな味、覚えちゃダメなのに…………。



アンタとずっと一緒にいられるわけじゃないんだから…………。


もっと、オレ、自分で歩けるように強くならなきゃいけないのに…………」




「…………え?


なんで?これからもずっと一緒にいればいいだろ?」




「…………」





一生ずっと俺のそばにいればいいじゃん」





特に深い意味など無いつもりの言葉だった。


仲間としてこれからもずっとそばにいるつもりだ。素朴にそう思ったから口にしたのだけど。




「…………ばか!!!!」




後ろからポカリと頭を叩かれた。





…………なぜですのん?




《天然スケコマシだからですやん》





「…………ほんとに、馬鹿だねぇ、アンタ」




そう言いながらまた背中にひっつくエスメラルダ。





「…………女って、そういうの本気にするんだからな」




聴こえるか聴こえないかの小さな声でエスメラルダはぽつりとそうつぶやいた。




□□




海王サーフボードで神竜船ガネシャの甲板のうえに着地すると



うぉおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!



船員たちの熱烈な咆哮ほうこうで迎えられた。



なんせ人生で最高の瞬間、遊廓通いがデッドエンドによって永遠に延期されるところだったのだ。



彼らの感謝の熱量は異常だ。



みんなからたたえられ、賛美さんびされて、身体中をバシバシ叩かれた。



そのまま上半身裸の屈強な海賊たちに胴上げされる。




《ガチホモからしたらヨダレが出るようなシチュエーション》




泣きながら胴上げをすな!!!!



お前らどんだけ遊廓に行きたかったんだ!!!?




やっとガチムチの大男たちからの祝福から解放された。


船員たちはそのまま酒蔵をあけて祝宴の飲み会に入ったみたいだ。




「マサムネさん、俺はあんたの名前を左胸に彫るぜ!!!永遠の忠誠の証さ!!!!」



「ワイはあんたの顔を胸に彫るで!!!!」



「わしゃ、今回のあんたの雄姿を全身に彫り入れるつもりだ!!!!!間違いなく伝説の海戦だからな」



入れ墨だらけの船員たちのなかからそんな声が飛んでくる。




…………やめて。


元カレと間違えられるからひとの名前とか勝手に彫り入れるのやめて。




《チェ・ゲバラかマサムネさんかくらいですね。入れ墨で肖像画を入れてもらえるのなんて》




チェ・ゲバラと肩並べてもあんまり嬉しくない!!!!!






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