仕事と一歩
3話3部。
仕事と一歩。
「オーナー!そろそろ始めようよ~」
華さんが呼びかけてきている
気が付くと数分が経っていた
「そうですね。始めましょうか」
私の頭から手が離れていく・・・
「あ・・あの!」
無意識に声が出てしまう。
この言葉の先が出てこないのに・・・
その時オーナーが察したように声をかけてくれた
「エンジェルさん。またの機会に」
暗いのに温かく感じる笑顔・・
「は、はい!」
思わず声を大にして返事してしまった・・
嬉しいのに悲しく、
温かいのに冷たい、
この気持ちを知りたいのに、
今は知るべきでは無いと思ってしまう。
(いつか聞かなきゃ・・・)
そんなことを心に留め、オーナーの声に耳を傾ける
「先ほど華さんが言った通り、今日はエンジェルさんの歓迎パーティーを行います・・・と、その前に準備をしなければなりませんね」
「確かに、パーティーするには食材も少ないよね~・・」
「オーナー、買い出しでしたら私にお任せください。」
進んでいる話に入れず、話し合いを見守る私。
その時
「わかりました。では買い出しをアラナさんとエンジェルさんに行って頂きましょう。」
「私・・・ですか?」
私は動揺していた。
なぜなら、買い出しというものに行った事が無いからだ。
毎日、遅く帰って来る母親に何度も
「私が行くよ。お買い物」
と、声を掛けていたけど、
「大丈夫。エンジェルは、待ってて」
と、幾たびも返された。
私に買い出しなんかできるのだろか・・・
という、悲観的な感情と
裏腹に
初めて“この目”で見れる
外の景色に
少しの高揚感が入り乱れている。
だが、周りを少し見てみると
あまり良い反応ではない人が1人居た。
その人、もとい、アラナさんは、オーナーにこんな質問をしている。
「何故、パーティーの主役のエンジェルさんに仕事をさせているのですか?」
私は、別に良いですよ・・・と声に出せない言葉を思う。
オーナーは、その問いに回答をした。
「エンジェルさんは、このカフェの店員になってこれから仕事を、覚えていかなければなりません。一番早く仕事に慣れる為には、実践経験が一番だと思います。なので、この買い出しがエンジェルさんの、初めての仕事。という事ですね。」
この説明にアラナさんも納得した様子で、
「なるほど、流石オーナーですね。」
と、頷き答える。
「それに、」
「・・・オーナー?」
オーナーは、アラナさんを見つめている
オーナーは一言、
「アラナさんが着いているのですから、うまくいきますよ。エンジェルさんが困っていたら、サポートしてあげてくださいね。」
「もちろん、そのつもりですよ。オーナー。」
見つめ合う2人。
アラナさんは、少し照れながら見つめている、、、
「はーい、イチャイチャは、よそでしてくださーい」
華さんが、2人の間に割って入った
「べ、別にイチャイチャなんて断じてしてにゃい!」
「ほら~、噛んでる~。自覚あったんじゃん!」
「ないもん~!」
案の上、2人の喧嘩(?)が始まった
賑やかだな・・と少し笑みを零す・・・
ーーー数分後・・・
「それでは、続けますね。」
「「はい・・」」
喧嘩(?)が落ち着いて、話し合いが再開した。
オーナー、大人しかったなぁ・・やっぱり慣れてるんだなぁ。
と、オーナーの凄さを再確認する。
「それでは、エンジェルさんとアラナさんは、買い出しの仕事をお願いします」
「はい。」
「はい・・」
「華さんは、私とカフェに残ってください。別の作業に取り掛かります」
「はーい!」
「それでは、今日も一日頑張りましょう」
「おー。」
「おー!」
「お・・おー。」
私たちは一度解散し、それぞれの自室に戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「準備はできましたか?」
急いで階段をかけ降りると、アラナさんが出入り口前に居た。
「はい・・できていると・・思います」
「わかりました。それでは行きましょう」
チリンチリン
扉が開かれると同時に、鐘の音色が響く。
それと同時に、光が私を照らす。
扉の先には、木造の街があった。
人間、獣人、巨人、その他様々な種族が行きかっている。
「行きましょう、エンジェルさん。」
「はい・・!」
私は一歩を踏み出した。
私は様々な“感情”で心が痛くとも、心地良かった・・・
最後エンジェルちゃんは、何を思い、どんな感情を持ったのか。
その答えは、あなた自身で見つけ出してください。
もちろん答えはございません。
次回3話4部




