世界となでなで
3話2部
カフェの朝
私は弱かった
何一つ守れなかった
国も家族も自分も・・・
全てが壊されていく
名誉も、尊厳も、地位も、
私の前から
崩れていく
「強くなりなさい」
弟が現れた
私をかばって“戦死”した弟だ
正確に言えば、
“殺された”弟だ
「うっ・・・」
吐き気と共に目を覚ました
あの時の光景を見てしまったからだ
夢を見ていた
私の過去・・・
いつもの事だった
だから気にもしないし、したくない
窓から光が差し込む
吐き気を噛み殺して
身体を起こす
時刻は4時を指していた
私は身支度を済ませる。
そして剣を取る
木を加工しただけの木刀だ
そして朝日の差し込む外に歩を進める
「今日はエンジェルさんにメイド服を渡さなければ・・・」
考え事をしながら進む
すると
「アラナさん。」
後ろを振り返った
赤い瞳に執事のような容姿
オーナーの姿が目に映る。
「おはようございます。アラナさん」
「お、おはよう、ございます」
呂律が回らない
オーナーと居ると調子が狂う
何か私じゃない私が現れるような・・・
そんな気持ちを首を振って否定した
私は剣を構える
「オーナー」
「もちろん。準備はできてます」
オーナーも鞘から剣を引き抜く
「今日も太刀打ちお願いします」
「お願いします」
私は、ハリス・アラナ。
元騎士団団長
全てに憎まれた
王国“に”裏切られた女
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時は戻る
ーオーナー室にてー
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4人全員の自己紹介が終わった
だけど疑問が残っている
王国やら騎士やらがわからなかった
「オーナー、質問しても良いですか?」
「はい、王国の事ですよね?」
(コクッ)
私は頷く
オーナーの説明が始まった
「この世界はいくつもの世界に繋がっています。人間界・エルフの世界・オークの世界・ドラゴンの世界など、数多くの世界と繋がっています。人間界の中でも、勇者が居る世界・騎士団がある世界・そして、エンジェルさんが来た日本など、様々な世界と繋がっています。少し窓の外を見てみて下さい。」
言われるがまま窓の外を見てみた。すると・・・
豚みたいな顔の巨人が木材を運んでいた。
「あの種族がオークです。今は建設作業をしているのでしょう」
その光景は平和そのものだった。
だけど・・・
言葉が出なかった
外に居る誰もが良い顔をしているのに、
(この世界にはあなたのように辛い過去を背負って自殺した人が集う世界です。)
この言葉を思い出す
つまり、
みんな自殺をしてこの世界に居るのだと
全員、過去に重い物をかかえて
自ら世を去った人たちなんだと・・・
「エンジェルさん」
「ひゃい!?」
耳元で話しかけられた
「大丈夫ですか?ぼーっとされていたので」
「いえ、考え事をしていただけです・・・」
また、鼓動が早くなる
その時後ろの方から咳込みが聞こえる
「オーナー、そろそろ業務の時間では?」
アラナさんの声が聞こえる
「そうですね、、、今日はお休みを取りませんか?」
突然の提案だった
お休みの理由は、華さんによってすぐに解説された。
「エンジェルちゃんの歓迎パーティーでしょ!?」
「その通りです。華さんお見事です。」
その時アラナさんも納得の表情をしていた。
「正解したから、頭撫でて!オーナー!」
「ちょ!?華!?」
その時アラナさんは困惑の表情をしていた。
「わかりましたよ。華さん」
「オーナーまで!?」
冷静なアラナさんが取り乱しているのを見て、少し笑みが零れる。
「ありがと!オーナー!」
どうやら終わったようだ
その瞬間
「じゃ、アラナにもしてあげて!」
「え!?私!?」
その時アラナさんは焦りの表情をしていた。
「え、えと、、オーナー、、、」
「はい、どうしましたか?」
「そ、その、、優しくお願いしましゅ、、、」
「はい、大丈夫ですよ」
アラナさんは目を瞑っている
顔も真っ赤になっている
可愛い・・・
ふと、そう思ってしまった
私もしてほしい・・・なんてダメですよね・・・
「ありがとう・・ございましゅ・・・」
「いえいえ」
どうやら終わったようだ
次の瞬間
「オーナー!エンジェルちゃんにもしてあげて!」
華さんの声が聞こえた
「え!?私・・・ですか?」
「もちろん!これからエンジェルちゃんもカフェの一員なんだから、頭を撫ででもらわなくちゃね!」
説明になってないです・・華さん・・・
いつの間にかオーナーが目の前に立っていた
「これからよろしくお願いしますね。エンジェルさん。」
「は、はい!お願いします。」
オーナーの手から温かさを感じる。
気持ちいい
ずっとこうされたい
そんな感情が湧き出る
その時のオーナーの表情は、
作られた笑みに見えた。
次回3話3部
仕事編




