ブラコンの卒業
次の日の夜
兄が家に来た
1人暮らしをするから保証人にサインをしてほしいと言ってきた
お父さんはあらかじめ兄が来ることを知っていたかのように驚くことなく了承した
お父さんに書類を渡すと兄は2階に上がり、荷物をまとめているようだった
リビングで書類にサインをするお父さんに近づき、聞いた
「私、謝るべき?」
「どれに対してだ?」
書類から顔を上げずにお父さんは言う
「んー、血の繋がりについて?」
「なら、言っておいで。でも、謝らなくてもいいかな?」
「悪いことだったんでしょ?」
「だね、でもいいよ。お互いさまになったからね。それに、ひなが謝るとママが怒るから」
ママは兄が来てからずっと黙ったまま
そっとママの隣を通り過ぎて階段に向かう
2階には上がらず、兄が下りてくるのを壁に寄りかかって、待つ
ほどなくして、兄が静かに下りてきた
長く伸びた髪に
よれたシャツ
大学からコンタクトにしていたのに眼鏡に戻っている
私に気付くと
兄は唇を噛み締めた
「涼くんの家にいるんだってね」
「・・・あぁ」
「子どもかわいい?」
「・・・あぁ」
「あの人に子ども産んでもらうの?」
「っ!いや、あいつは」
あせって反論して来た兄の言葉を遮る
「私ね、お兄ちゃんは私のものだと思ってた」
兄は驚いて、反論する言葉を失ったようだった
「勝手だよね、でもそれぐらい・・・お兄ちゃんは私の領域っていうか、んー、家族だから当たり前に領域内だったの、家族以上に大好きだったから、自分のもの扱いしてた」
私はこの人に愛されてる
恋人ができたって私より大切にしないでしょって
「でもね、お兄ちゃんは私のものじゃなくて、他人のものになるんだね」
他人という言葉に敏感に反応したのか
「ひな、」
と咎めるように名前を呼ばれた
けれど、やめない
「家庭って、家族って繋がりだよね、親がいて子どもが別の家庭作って新しい輪ができて、輪と輪の重なる部分が多くなる。完全には一致しないけど、輪が重なるよね、私、それ嫌なんだ。これからお兄ちゃんが結婚して、お嫁さんと子どもができたとしても、私の輪の中に入らないよ。でもね、お兄ちゃんは入ったままだから、唯一の例外にしてあげる」
わがままな妹らしく、ブラコンに
気付いて?
私が言いたいこと
「血が繋がってなくてもお兄ちゃんだよ。・・・この前のあれは無理だったけど」
これが一番、お兄ちゃんが私に言ってもらいたかったことだよね?
目を合わすことなく、言った私に
「・・・ありがとう」
返事をした兄の声が少し涙声だった気がするのは私の気のせいということにしておこう
・・・これでまたみきちゃんの言った通りになったな、と思ってしまった
お兄ちゃん視点も書かないと可哀想かな・・・




