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お兄ちゃんの親友・涼くん5


2月14日、バレンタインの日


いつもは兄にあげるけど

あげない



あの人からもらうだろうし





その日は平日で学校があった

当然、チョコも持ち込みは禁止のため

学校から帰ったら友達の家に集まって友チョコ交換をする


そんな友達の家からの帰り道


あの角を曲がればすぐに家に着くというタイミングで声をかけられた


「ひな」


振り返ると



涼くんがいた





「それ今から配るのか?」

私の持つ紙袋を指差し、涼くんが言った


「・・・友チョコ貰ったの」

「今、あるよな、そーゆうの。男にはあげたのか?」

「あげたよ」

「へぇー、慎が嫉妬しそうな話だ」

いつものように兄の話題を出してきたが、これはきっと誘導だ


「・・・」

私が素直に黙ると、涼くんは

「ちょっといいか」

と言って近くの公園を指差した




「おっ、ブランコなんて久しぶりだなぁー」

なんて言ってブランコに座った涼くんの隣のブランコに座った


「慎な、今、俺の家にいる」

「奥さんいるのにいいの?」

涼くんは大学1年のとき、当時付き合っていた彼女が妊娠して大学を辞めた

将来はオリンピック選手かと注目を集めていた涼くんだが、今は消防士として活躍している

子どもも無事に生まれ、良い家庭を築いているらしい


「あぁ、うちは親父たちと一緒に住んでるし、問題ないよ。・・・なぁ、慎のこと嫌いか?」


「何を言わせたいのか、よくわからないけど、血が繋がってなくても気にしないよ。ただあれはないでしょ」


「おぉー、あれはないな」

涼くんは困ったように笑うと、ブランコを力強くこぎ出した


「俺、ガキの頃はひなと結婚するんだと思ってた。慎がさ、なんだかんだ言って俺たちの結婚認めて、義兄として見守ってくれるとか勝手な想像してたよ」

「・・・」

「ひなと慎が血繋がってないこと知ったのは中学のときでさ、あいつが俺とひなをくっつけようとしだしたんだよ。それに疑問もって聞いたら教えてくれた」

「どうして涼くんとくっつけようとしたのかな?」

「んー、寂しかったからじゃね?」

「血が繋がっていないことが?」

「そうそう。ひながさ、大人になって新しい家庭を作ると慎はもう他人になると思ったんだよ。でも、俺なら、親友としてその家庭に入っていけるとか考えたわけ」

「・・・」

「それ聞いて、それは違うだろ、って喧嘩して、まぁ、ひなをそういう風に見れなくなったんだけど」


今世の初恋は

こうして実らなかったのか


「ひなはさ、潔癖なとこあるから、デート見られたときもう無理だろうなって思ってはいたんだけどさ」

「あれ、本当にデートだったんだ」


スイミングスクールからの帰り道に涼くんと偶然会ったことがある

お兄ちゃんと一緒になって涼くんをからかった


「まぁな」

「私って潔癖かな?」

「んー?まぁ、今回の慎のあれは誰でも思うだろうけど、昔からひなは俺や慎の飲みかけのジュースとか飲まないくせに、ママさんや俺のお袋の飲みかけは平気だったろ?だから、男が苦手なんだと思ってた」


・・・気付かなかった

子どもの頃は常に演技をしなければと気を張っていた

どうして飲みたくないと断るのか理由なんて考えずに

どうやって子どもらしく断るのかばかり気にしていた


「私って、男の子苦手なんだ」


「・・・だから、もうひなは慎を許さないんだろうなって思ったよ」

「うん、多分、無理」

「でも、それってひなが慎の男の部分を見ちゃったからだと思うんだ。・・・慎のこと許さなくてもいい。前みたいな仲の良すぎる兄妹に戻らなくてもいい。ただ、あいつをさ、家族として認めてやってくれ」


いつの間にか、こぐことをやめていた涼くんが視線を合わさずにそう言った

「・・・うん」

そう答えた私に

「帰るか、」

と言って涼くんは家まで送ってくれた


ブランコを下りた後も並び合う私たちの視線は最後まで合うことなく、別れた






涼くんを初恋に決めたのは

兄の親友で会うことが難しくなかったから、だ


でも、


今、こんなにも悲しい




失恋なのか、


友人を失ったことへの喪失感なのか



わからないけれど



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