お兄ちゃん・慎くん4
みきちゃんの言ったことは本当になった
なら私は嫌われるの?
愛してもらえない?
冬休みになった
少なくない宿題をリビングに広げてみたものの
手をつけることなく、ぼんやりとしていると
「ひな」
「お兄ちゃん」
バイトから帰ってきたお兄ちゃんに呼ばれた
お兄ちゃんは大学4年生
無事に就職先も決まった
「わからないところでもあるのか?」
今世で塾に通ったことはない
前世の記憶があるからでもあるが
一番の理由はお兄ちゃんが勉強を教えてくれるからだ
「ううん、大丈夫だよ」
「高校が持ち上がりだからって勉強サボるなよ?」
「サボらないよ~」
みきちゃんが言っていたことは本当になった
じゃあ
アレは?
「ねぇ、お兄ちゃん、ひなのこと好き?」
「・・・どうした?」
「真面目に考えないでよ。普通に答えて、家族として、妹として、好き?」
「・・・あぁ」
「そっか」
大丈夫
嫌われてない
私は
嫌われ者じゃない
「誰かに何か言われたのか」
「べつにー、ただ聞いてみたかっただけだよー」
誤魔化すように、ふざけて答えた
お兄ちゃんは私の頭に手をおくと
「・・・大きくなったな」
なんてしみじみ呟いた
「お兄ちゃん、おじさんみたい」
「まだ20代だ」
「ひなは10代だもーん」
「ひなは大きくならないな」
「さっきと言ってること違うよー。身長のこと?」
「150あるのか?」
「ないけど、きっとひなが大きくならないのはお兄ちゃんに栄養とられちゃったからだよ」
「どんな理屈だ」
お兄ちゃんは中学のときよりさらに大きくなって180cm近くある
「お兄ちゃんは身長の高いパパに似たんだね。ひなはママに似たから小さいんだよー」
「・・・」
親に似てるとかそういう話題になるとお兄ちゃんは大抵、黙ってしまう
気にしなくていいのに
片方は血が繋がって・・・
ない?
・・・みきちゃんが言っていたことが本当なら
あれ?
「・・・お兄ちゃん、ひなと似てないね」
何気なく言ったつもりだった
ひなは知らないけど
本当に血が繋がっていても
別におかしな発言じゃないよね?
なのに
どうして
傷ついた顔をするの?
お兄ちゃん