お兄ちゃんの親友・涼くん4
何かひらめいた涼くんは意地悪な顔で言った
「はっはーん、お前、ひなを盗られて悔しいんだな」
「・・・お前と違ってひまじゃない。ひな、帰ろう」
お兄ちゃん、それ、図星ってばれるよ
しょうがない
妹を愛してくれるお兄ちゃんの願いを叶えよう
「涼くん、下ろして」
「えぇー、ひなはたまにしか会えない俺より毎日会える慎を選ぶのかよ」
「涼くんはでーとちゅうでしょ」
涼くんの腕から逃れ、お兄ちゃんと手をつなぐ
満足げに笑うお兄ちゃんと目を合わせ、笑う
「ち、違う!これは違うんだ!ひな!」
私たち3人がよくやる遊びだ
2人でもう1人のおやつを食べて
食べたのはもう1人自身だ、とからかったりして
ターゲットに弁解させる遊び
ほとんどのターゲットは涼くん
おままごとで私がドラマの不倫を真似てからかったのが始まりだ
事態がわかっていない松本さんが困っている
別にこの松本さんと涼くんが付き合っていても構わない
中学生の恋愛なんてほとんどが続かないし
ましてや学校も違う2人が長く続くとは思えない
「ほら、ひな、涼にバイバイして」
お兄ちゃんに促され、満面の笑みで言ってみた
「涼くん、ばいばぁーい」
「ひなー!」