20/57
お兄ちゃん・慎くん
涼くんたちとわかれてからずっと黙ったままだったお兄ちゃんが
ぽつりと、聞いてきた
「・・・ひなは涼が好きか?」
「うん!好きだよ!」
「そうか」
まだ小さな私の手をつつむお兄ちゃんの手に力が入ったのがわかった
「・・・」
・・・最近のお兄ちゃんは忙しそうだった
ママやパパには部活や勉強で、と言っていたが本当はそうじゃない
誤魔化すので忙しかった、のだ
本当のママがたびたび連絡を寄越すから
その日はお兄ちゃんと2人でお留守番をしていた
ママは買い物
お兄ちゃんは私のおもちゃの電池を換えるためにドライバーを探しに行っていた
1人、リビングでお兄ちゃんを待っていたら、電話が鳴った
昼間は営業の電話が多そうだが、夕方だし、と受話器を手に取った
「もしもし、」
電話の相手は女性だった
「奥さん?あはっ、さすがに若すぎよねぇ。あの人に娘がいたなんてっ!・・・ママはいるかしら?前の奥さんが呼んでるって伝えてちょうだい?」
テンションの高い声が聞こえる
言葉からもわかる嫌味たっぷりな口調の彼女は面倒そうだ




