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45.ビー視点

 



 ヘンドルスト国の革命は、あっという間に革命派達の勝利で終わった。



 何せ、相手は反乱の可能性など微塵も考えていない連中ばかりだ。仮令強力な魔法が使えたとしても、不意をつけば問題ない。

 対抗されても、ビーが援護する予定だった。あまり珍しいスキルは使いたくないが、再収集できるなら使ってなんぼである。


 結局、四大家は水魔法一回で無力化できた。切り札である雷魔法に対して、塩水による感電という低コストな倒し方だ。

 この策略にはザックスも賞賛である。そう伝えると、レナータは淑女の仮面をかなぐり捨てて喜んでいた。恋とは人を変えるものだ。


 逃亡していた聖女と宰相子息も捕まえ、一人残らず地下牢へ送る。魔法が使えないよう、持っていたスキルから『封印』を使っておいた。



 そこでようやく、革命派全員が歓喜の雄叫びを上げた。



 王城の使用人全てが、主人と同じ思考という選別は難しい。その為、内心を隠しつつ嫌がらせされながら働いている使用人は半数はいる。

 その人達が城の食料庫を開け、大盤振る舞いの宴会が始まった。新品のギロチンは壊され、金属だけが転がっている。

 木は薪になり、火となって燃え盛る。その周りを囲んで飯や酒を食らう。

 今だけは、無礼講。身分問わず会話をし、楽しげな笑い声が絶えない。




 ビーはつまみを貰った後、城の中で調べ物をしていた。ある程度の推測を立てているが、正しいかどうかを判別する為だ。

 人々の笑い声が活力となって、作業速度が上がる。


 立役者であるモンチェ辺境伯、アズレイア侯爵であるベアトリスは人に囲まれているだろう。ビーがいなくても、後は話は進む。

 明日になれば、この国に隣接する二国の代表が来て、こちらの代表数名と話し合う予定だ。そこから国名を変えるなり、他国に讓渡するなり、いい着地点を目指してほしい。


 この国におけるビーの目的はフィアンナを取り戻す事と、スキルの存在を広めて珍しいスキルをお目にする事。


 隣国との話し合いで、ビーが自由に滞在できる許可をもぎ取るようアダムにお願いしてある。

 命の恩人だと懐いてくれていて、自分の様に苦しむ人を救いたいとスキル学びに積極的だった。今では可愛らしい弟子に近い。この国の人にスキルの認知と自由発動をさせてみせると、やる気に満ちていた。




 革命の中核を担っていたフィアンナだが、宴会の場にはいない。投獄が済んだ頃には、ディルムと共に消えていた。

 今頃、二人の世界に浸っているだろう。流石に、身体を重ねるまではいっていないと思いたい。

 あれだけ愛を見せつけておきながら、初夜まではお預けと二人して我慢していた。だが、やっと出逢えて触れ合う熱に、理性が切れていないかはビーが知る由もない。


「しかし、ザックスとクリスのお相手も見つかるとはネ。驚きヨ」


 運命のお二人から、新たに恋が始まった二人を思い出して感心する。特にクリストフ。()()()()が他人事でないと、酷く恐れていた。

 傍に残ったメンバーが粒揃いである事はたまたまである。

 クリスは知らないが、王太子側から引き抜きを受けたことが数回ある。もちろん速攻で断った。ザックスやディルムも同じだろう。

 そのクリストフが、絵姿で一目惚れ。恋は嵐のように突然だ。

 この時点で、クリストフは何をしてでもベアトリスを手に入れるだろう。後は精々、ベアトリスに怖がられないように頑張ってほしい。


 逆に、ザックスはさっさと覚悟を決めるべきだ。今までの女運のなさを取り返す程、レナータといういい女に惚れられているのだ。

 美貌、スタイル、マナー、頭脳、おまけに剣術も一級品。普通の男なら、迫られて狂喜乱舞するレベルだ。最も、レナータ本人が初心な所も含めて惚れているから、問題ないかもしれない。

 まともな女っ気のなかった仲間達に、相手が見つかった事実は喜ばしい所だ。あとで盛大に祝ってやろうと、ビーは頭の片隅にその案を残した。

 そろそろ、調査の最終段階。雑念を払い、作業に集中する。やがて、思っていた通りの結果が表示された。


「やっぱりネ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 そう言い、調査していた物体を掲げる。国王が後生大事に持っていた、秘宝の杖だ。これは珍しい。調べてはっきりとわかった。

 ()()()()()()()()()()()()()()だ。

 クルクルと手の中で回し、この事実をどうするかを考える。音を鳴らして止め、伝える事に決めた。その方が、より絶望するだろう。

 早速、杖を持ったまま部屋を出る。そのまま地下へと足を向ければ、言い争う声が聞こえてきた。元気な罪人達だ。




「ハオー! 馬鹿共、元気でいるネ!」




 怒声に負けない声量で、明るく挨拶をしながら地下に降りきった。薄い壁で隣り合った牢獄は、さぞかし罵り合いがしやすいだろう。

 一人一部屋なんて贅沢はさせられない。牢の数が足りないからだ。一つの牢の前を通る度に、複数の罵声が飛んでくる。

 ここで懇願がない辺り、何も反省していないようだ。だからといって正しい常識を教えても、どうせ聞き入れないから無駄である。

 途中、フィアンナの両親とその使用人達を横目で見た。使用人達は他と同じく罵声。

 ワーキン侯爵夫婦はフィアンナへの憎悪を撒き散らしていた。流石、十年近く娘を放置していた親である。反吐が出そうだ。


歪な箱庭の真実を

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