表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/100

第32章 そして誰もいなくならない Day1(2)

~~~~~~電車内~~~~~~~


RR探偵事務所の3人を乗せた電車は駅を出発します。

目的地である淵戸内海沿岸の駅までは約3時間の電車旅です。

電車は駅周辺の街を抜け、のんびりとした田舎の風景へと入っていきます。

かわいい田んぼアートが見えます。何の絵でしょうか。

どうやら地球という星でもっとも有名なキャラクターのようです。

大きな耳の付いた・・・ネズミっぽい何かですね。

私は地球の事はよく知らないのですが、皆様はご存じでしょうか。

え?何ですって?ミッ・・・・

ええっ?名前を言ってはいけないんですか?

『ヴォルデモート』でしょうか。


「そっちは言っていいんかい」


さて、電車・・・・列車と言った方が旅の雰囲気が出ますでしょうか。

電車と列車の違いはと言いますと、わたくしの調べたところによりますと、

列車とは全ての『人や物を輸送するための線路を走る車両及びその車両の連なり』を意味し、電車とは、列車の中で『電気で自走する車両』を意味しているそうです。

つまり、線路を走っている車両は全て列車で、その中の分類で、電気で走るものが電車であるということですね。

日本の鉄道会社では他の分類の仕方もあるようですが、ここはジャペン国なので割愛します。

いえいえ。調べるのが面倒なわけでも、説明するのが面倒なわけでもありません。ええ、ありませんとも。

ちなみに、この列車は『特急えんとうち3号』です。電気で動いてはいますが、特急ですし、車両も15両編成なので、なんとなく”列車”の方がしっくりくるような気がします。


さて、電車・列車談義はこれくらいにいたしまして、列車は田園地帯を抜け、山道に入ります。

眼下には清らかな川が流れる渓谷が。まさに絶景です。


「スフレ君、エ・クレア君。すばらしい景色だね・・・・って君たち、せっかくの旅行なのに何やってんの?!」


スフレさんはお弁当に偽装したおやつを、エ・クレア助手はリュウグウノツカイ駅弁を一心不乱にかきこんでいます。


「車窓からの景色を楽しみなさいよ!」

「もぐもぐ・・・いやあ、外で食べるおやつって何でこんなにおいしいんですかねー所長!」

「もぐもぐ・・・いニャあ、列車で食べる駅弁って何でこんニャにおいしいんですかニャータルト所長!」


3人が各々の方法で列車の旅を楽しんでいると、3人の座席に赤ちゃんを抱いた1人の若い女性が近づいてきました。


「あのぅ。すみません」

「はいー。なんでしょう。もぐもぐ」


スフレさんが応対します。


「ちょっとトイレに行きたいんですが、この電車のトイレ狭くて。少しの間、この子を見ていてもらえませんか?」


女性は少し恥ずかしそうに小声でそうスフレさんにたずねます。


「はいはい。いいですよー」


気のいいスフレさんは二つ返事で引き受けます。

女性は赤ちゃんをスフレさんに預けると、「すみません、よろしくお願いします」と言って車両を出ていきました。


「トイレごゆっくりどーぞーーー!!」


スフレさんは去っていく女性の背中に声を掛けます。

その時どこからか「コンプライアーーーーーーーンス!!!!!」の声が聞こえたような気がしましたが、きょろきょろと辺りを見回しても、清廉氏の姿はどこにもありません。

完全にスフレさんの幻聴です。かわいそうに。


さて、女性から預かった赤ちゃんは、暖かそうな毛布にくるまれてスヤスヤと眠っています。


「かわいいっすねー、赤ちゃん」

「スフレ君。起こさないよう、慎重にね」

「起きてもスフレのナチュラル変顔(標準仕様)であやせるから大丈夫ニャ」


この後すぐ、列車は途中の駅に停まりました。


「『BTB駅』ですニャ」

「あ、ここ、駅の近くに超有名な3つ星レストラン『リストランテ・リストラ』があるらしいっすよー。ネットで評判なんですよー」


「ほぅ」

「ジャペン版ミシュランは星10個が最高ランクだけどニャ」



~~~~~~20minutes later~~~~~~~



「・・・・あの。やけに戻ってくるの遅くないっすか?あの女性」

「そうだね。トイレの中で具合でも悪くなってないといいが・・・」

「スフレ、様子を見てくるのニャ!」


スフレさんは立ち上がり、抱いていた赤ちゃんをそっと自分の席に寝かせて、2両先のトイレに向かいました。


トイレにはカギが掛かっていないようです。


コンコン


ノックをしてみますが、中から応答はありません。


「あのー。開けますよー」


スフレさんはドアを開けます。


「哀愁漂う美人探偵助手が白魚のような指をのばし、そっとドアを開けると、そこには・・・・・きゃーーーー!!!」


ど、どうしましたっ?!


「なんと!浄化排水方式の真っ白い洋式便座が!!」


そりゃそうだろ


~~~~~~~~~~~~~


スフレさんは自分の座席に帰ってきました。


「あの女性、トイレにいなかったんですけど」

「え?本当?でもトイレ、1つじゃないだろ?」


「全トイレ回りましたよ。周りの乗客に”トイレ切羽詰まってる女子”だと勘違いされてたっぽいですけど」

「全部のトイレにいニャかったのかニャ?」


「うん。使用中のトイレも、中から男の人の声で返事があったから。あの女の人はどこにもいないよ」

「いったいどうしたんだろうか・・・」


むにゃむにゃむにゃ・・・・・むにゃ?・・パチッ


あ。みなさん!赤ちゃんの目が覚めてしまったみたいですよ!


「わ、わ。泣かないでくれよ」


びえーーーん びえーーん


「ああああああ」

「ウニャニャウニャニャ」


「んーー。べろべろばー」


スフレさんが変顔(標準仕様)で赤ちゃんをあやします。


びえーーーん びえーーん びえ・・・? 


「お?泣き止んd・・」


ぎゃあああああああーん 


ギャン泣きさせてしまいました。

まるでこの世のものではない物を見たかのようです。


「な、なんだ?オムツだろうか?それともミルクか?」

「所長!ミルクならあります!」


スフレさんはリュックから水筒を取り出します。


「ミルクってまさか牛乳じゃないよね?」

「厚生労働省では牛乳を飲み物として与えるのは離乳が完了した1歳以降が望ましいとされてるニャ!」

「牛乳じゃないですよー」


スフレさんはリュックから哺乳瓶も取り出します。


「スフレ君、何故そんなものを持っている?!」

「”備えあればうれしいな”っていうじゃないですか」

「確かにうれしいニャ」


水筒の液体を哺乳瓶に移し替えるスフレさん。

白く濁った液体がトクトクと哺乳瓶に注がれていきます。


はい。察しの良い読者の皆様ならきっとお気付きの事でしょう。

この液体が何たるものであるかを。


「もちろん、(小)m・・・」


タルト所長に哺乳瓶を取り上げられました。


「あのー。赤ちゃん用ミルクならありますよ」


そう声をかけてくれたのは、斜め後ろの座席の赤ちゃん連れの夫婦です。

スフレさんは赤ちゃんを抱いて、その夫婦の席の方へ「すみませーーん。ありがとうございまーす」と言いながら移動します。

ちょうどその直後、座席横の通路をサラリーマン風の男性と熟年夫婦らしき男女が通っていきましたが、赤ちゃんのいなくなった座席に哺乳瓶を持って座るタルト所長に、全員目を背け足早に通り過ぎていきます。


「ネ、猫ちゃーん。ミルク飲みまちょーねー」

「やめろニャッッ!!」


「ちょ、ちょっと、エ・クレア君、話合わせてくれよ。僕、変質者みたいに見られてるから」

「赤ちゃん言葉で猫に哺乳瓶で(小)麦(粉)茶与えてる成人男性もそこそこ変質者だニャ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ