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猫が書く徒然草  作者: 瀬古刀桜
文化祭あれこれ
39/89

文化祭 昼の光景 キスする場所の意味

保健室に戻り、僕を抱いたまま、京ちゃんはサイフォンのスイッチを入れた。

「琥珀、隣の部屋で待っていて。一緒にコーヒー飲んで出番が来るのを待とう。」

僕を床に下ろすと、京ちゃんはマグカップを取り出した。

コーヒーの良い匂い。その時だった。

バタン、ダン、ガチャ。

乱暴な音が響いた。扉壊れちゃうよ。誰だろう。

知兄ちゃん!どしたの?

走ってきたのか、息が乱れ、髪の毛もぐちゃぐちゃ。

執事のコスプレもどこか乱れている。だけど、眼だけは爛々としていた。

あ、コレ、ヤバイ。

京ちゃんも驚いたように知兄ちゃんを見つめている。

「知センセ?どうしました・・・」

黒蜥蜴の衣装の上に白衣を羽織った京ちゃんが、知兄ちゃんに近づいた。

だけど知兄ちゃん、京ちゃんの問いかけに答えず、いきなり京ちゃんの手首を掴み、引き寄せた。いつもならスニーカーだから踏ん張ることが出来る京ちゃんだけど、今日に限っては、ハイヒール。

無理だよぉ。

「知・・・」

ぴちゃりぴちゃりと水の音がする。

知兄ちゃん、京ちゃんにかなり激しく口づけた。それもいきなり。

まあ、無理ないよねぇ。恋人(仮)がいきなり変身したんだから。

「ん・・・んん・・・」

息が苦しくなったのか、京ちゃんは知兄ちゃんの胸板を叩く。

唇が離れたと同時に、知兄ちゃんは京ちゃんを抱きしめた。

「いきなり、どうしたんですか・・・」

「そりゃ、俺のセリフですよ・・・こんな綺麗になって、あんな誘惑して・・・俺は私のものだなんて宣言してくれちゃって」

ボンという音がでるかのように、京ちゃんは真っ赤になった。

「いや、だって・・・ほら・・・貴方の親衛隊が・・・」

「京子さん」

知兄ちゃんは再び京ちゃんに口づける。やがて、一旦離れると、京ちゃんの耳元に何度も口づけながら囁いた。

「あんな宣言なんてしなくたって、俺はとっくに貴方のものだよ。貴方を愛している。だから、京子さん。だから貴方も、俺のものになって。俺を愛して。」

京ちゃんは首を横に振ろうとするが、それより先に知兄ちゃんは首筋に噛みつくように口づけた。

知兄ちゃんがキスした場所、興味深いねぇ。

唇=愛情。

耳=誘惑。

首=執着。

「知さん、ここ、学校」

「ああ、此処で抱かれること期待した?」

「期待なんてしてな・・・」

再び知兄ちゃん、京ちゃんの唇を自分の唇で塞いだ。

コサージュに隠された傷跡に気がついて、其処に口づけた。跡が残るほど激しく。

「此処が学校じゃなかったら、このまま押し倒していたんだけどなあ・・・」

くすくす笑う知兄ちゃんに、京ちゃんは笑った。

「正直だなぁ・・・私も三沢知之が好き。貴方になら抱かれてもいい。いや、抱いて欲しい。だけど、私初めてだから、リードしてくれないと困りますね。」

初めてという単語に、知兄ちゃんが驚いた表情を浮かべた。

「初めて?」

「不本意ながら。この年まで男性経験はありません。」

京ちゃん、笑いながら知兄ちゃんの背を撫でた。その様子に、今度は知兄ちゃんが真っ赤になる。

「・・・分かった。覚悟してくださいね。今日の夜、貴方を奪いにいく。」

知兄ちゃんはそう言うと、再び部屋をでた。

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