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猫が書く徒然草  作者: 瀬古刀桜
同居にまつわるエトセトラ
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残念なイケメンさん

裏庭に向かうと、一人の兄ちゃんが凹んでいました。

茶色の髪の毛に鳶色の瞳。笑うと目元に笑い皺ができる人。三沢知之。年齢は30歳。国語教師(現代)。

近くにある女子高校ではファンクラブができるほどの素敵なイケメンさんらしいのですが・・・僕から見るとイケメンはイケメンでも【残念なイケメンさん】です。

理由は簡単。恋です。

この兄ちゃん、僕の飼い主である京ちゃんに片恋中。その思いをよりによって僕に詳しく語ってくれるのです。

三角座りで落ち込んでいます。

僕は知兄ちゃんの隣に座りました。


「京センセが・・・俺を年下の後輩としか見てくれない・・・琥珀・・・」

すいませんねぇ。京ちゃん、恋愛関係はかなり鈍いんです。

ぎゅうと抱きついてきたので。ぺろりと頬をなめてやる。

「あんな事したから、嫌われるのわかるけどさ…だけど風祭教頭には作ってきているのに、俺には作ってくれない・・・」

・・・えっと職場ですよね。此処。一体何があったんですか。

あ、そういえば。

 


それは一昨日のことです。

「美味しそうなもの食っているなあ。彼女の手作りか?風祭さん」

賢兄ちゃんが美味しそうなサンドイッチを食っているのを見た、知兄ちゃんは尋ねました。

彼女ねえ。

あれ、確か京ちゃんの家に賢兄ちゃんが焼酎片手に遊びに来て、宅飲みになってベロベロになって朝、出勤時刻ギリギリまで寝ちゃったんで、京ちゃんが簡単サンドイッチを作って持たせたやつだよね。

ちなみに。僕は職員室の光景が見える木に登って二人を見てました。

「ああ、お京の手作りだが・・・・おい、知よ。何怒っているんだ。オマエ。」

「いんや。怒ってなんかいないぜ。風祭さんが、京センセ狙いだとは思わなかったなあ。」

狙ってないと思うけどなあ。ちなみに【お京】とは賢兄ちゃんが京ちゃんをプライベートで呼ぶときの愛称。

賢兄ちゃんの好みって、ロリフェイスだもん。某アイドルグループのセンターの隠れファン。うん。以外。男子高校で良かった。

ちなみに京ちゃんは癒し系お姉様。まあ腹の中身は少々黒いけど。

「手、出していないだろうなあ。」

「知。お京は、出るとこ出て、引っ込んでいるとこは引っ込んでいるから、手出ししたくなるけどなあ。」

・・・絶対わざとだ。賢兄ちゃん。火の中に油投下して、ガンガン炎を上げている

「風祭先生。ちょっと良いですか?」

おっと。京ちゃん登場です。

「おう。」

「今期の予算の件ですが・・・」

二人して打ち合わせが始まりました。京ちゃんの質問に賢兄ちゃんが淡々と答えています。基本的にこの二人、チームワークは抜群で、学校運営についても、色々話し合ったりすることが多いんです。

何故なら島原高校自体、開校してまだ数年であり、校長の川澄先生と教頭の賢兄ちゃん、保健医の京ちゃんは学校開設の立ち上げメンバー。

ついでに、賢兄ちゃんと京ちゃん、高校と大学も同じ。古い親友です。

「で、仕事の話は此処までにして。風さん、今日家に来るかい?」

「・・・料理の中身は」

「ビーフシチュー。作りすぎた。」

「パンはお京の手作りか?」

「もちろん・・・。後コレ。」

京ちゃんがスープジャーの入った弁当包みを賢兄ちゃんに渡した。

「サンドイッチとビーフシチュー。」

「おう、サンキュ・・・・・・・知、地味に痛い」

がしり。ギリギリギリギリ。知兄ちゃんが賢兄ちゃんの肩を掴みました。

あれは、地味に痛そうです。

「京子先生。僕も風祭先生と一緒にご相伴してもいいですか?」

「・・・良いですよ。ですが、野菜苦手では?うちのビーフシチュー 、お野菜たっぷりよ。」

では。

そう言うと、京ちゃんは部屋を出ていった。

「知。」

「なんですか。風祭さん。」

「お前まさか、俺に嫉妬?」

ゆら〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜り。

知兄ちゃんの周りには見事なほどの怪気炎がぁ。

「手、出したら許しません。」



で、その日の夜。確か。

三人でコレまた宅飲みをして、男二人は酔っ払って、裸踊りしちゃったんだよなあ。で、京ちゃんにブチ切れられて「二度と来るな。」(意訳)と怒られたんだっけ。

それが、一昨日。

「琥珀。俺はどうしたら良いんだあ。」

・・・もう告白しちゃえば?


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