飼い主より
朝起きると足元に大きな猫が丸まって眠っていた。
猫の名前は琥珀。私の飼い猫だ。
黒いふさふさの毛並みに、前足の先だけ白い毛が混じっている。おそらく、長毛種が混じっているのだろう。琥珀色の瞳が特徴的。私は起き上がると、愛猫の頭を軽く撫で、ベットから台所へと向かった。
「琥珀。ご飯だよ。」
みゃあ
私が呼ぶと同時に、起き上がってきた。
「おはよ。琥珀、ご飯だよ。」
にゃん。
短く返事をする琥珀に、私は笑ってしまった。
とりあえず。今日は。
「お弁当はサンドイッチとスープにしますか」
パンは昨日の夜にセットして焼いてある。
問題は。いつもは一人は二人分だが、今日は三人分、作らないといけないということだ。
弁当で何故あそこまで、盛大に拗ねるのか。可愛い後輩の考えに私は首を傾げた。
目の前にいる琥珀に思わず聞いてしまう。
「そういえば、琥珀」
何?というように、琥珀の瞳が私を見上げた。
「男の人が、手作り弁当を欲しがるのは、何でだろうね。」
琥珀は「わかりません」というように、瞳を閉じた。
支度をして部屋を出ると、琥珀が後について歩いてきた。どうやら彼は私のボディガードをしてくれるらしい。
一応、彼に注意を与えた。
「学校内で入って良いのは、保健室の隣の物置部屋と・・・」
みゃあああああああう。
私の言葉を理解しているのだろう。おそらく。琥珀色の瞳が、じっと見つめていた。
「ホント、君、頭が良いねえ。私の言葉理解しているでしょう。」
にゃあお。
短く返事をする琥珀に、私は笑ってしまった。
職員室に行くと、目的の人物はいなかった。片手には弁当包がある。
あの目立つ頭は、探索すれば、すぐに見つかると思っていたが。困った。
「何処に行ったのかしらねえ。三沢先生。」
もしかしたらと思い、生徒が立入禁止な裏庭へと私は足を運んだ。
いた。
そこには大きな茶色の【猫】が小さな黒【猫】相手に愚痴をこぼしていた。
「京センセが・・・俺を年下の後輩としか見てくれない・・・琥珀・・・」
・・・年下の可愛い後輩【としか】見てなかったら、わざわざこんな作らないのですがねえ。片手の弁当づつみに笑う。
さて、どうすればいいのでしょうねえ。
私を見つけた琥珀が目を細めた。




