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神父と白い野獣  作者: あともす


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10/11

14世紀イギリスが十倍楽しめる!アッシュワース村ガイド②

今回は少し長めです。

気が早いので、ついあれもこれもになってしまいます。

5.アッシュワース村代官:トーマス・バートン

挿絵(By みてみん)

ペンストレイト領ホークストン出身。自由都市ブリストルの税務事務所に勤めていた。

数字に強く、実務能力は高いが、人望には恵まれなかった。

栄転と左遷が入り混じった形でアッシュワースに赴任し、

赤字の内陸と複雑な飛び地を抱えるこの地の管理を任されている。

アーサーの教育係の一人でもある。


■グリーブ地:教会

代官邸から道なりに約2km。

形式上は教会領だが、15年前の交換条件により、クロムウェル家の実質的権利が及ぶ「飛び地」となっている。

アーサーの生活拠点でもあり、村の信仰と日常が静かに集まる場所だ。

教会の裏手から住宅地にかけては、村人たちが利用する管理可能な森が広がっている。

住宅地と管理可能な森

教会の周囲に住宅地が形成され、その背後から外縁部にかけて、手入れされた森が続いている。ここではハーブや木の実、薪が採れ、村の暮らしを支えている。

この森は換金のための土地ではなく、村が村として存続するための場所であり、同時に村の境界線としても機能している。

________________________________________

6. 生産エリアとマナーハウス

管理可能な森を抜けると、風景は大きく変わる。

そこから先は、村の「生活圏」ではなく、領の「生産圏」である。

•羊毛用の放牧地

•穀物地帯

これらの産物は、村とは切り離された場所で管理される。

マナーハウス

マナーハウスは、村の居住区から徒歩で約1時間離れた場所に建っている。

執事が常駐し、内陸農業・畜産を一手に管理する実務拠点である。

更に奥の内陸の村々から運ばれてくる産物も、村を通らず直接ここへ集められる。距離があるため、執事は通勤ではなく寝泊まりで管理にあたり、マナーハウスは純粋な物流・管理センターとして独立した性格を持っている。

________________________________________

6. 管理動線とインフラ

15年前の再編により、代官邸と教会を結ぶ約2kmの道は馬車が問題なく通れる水準まで整えられた。

この道は、代官の巡回、有事の際の移動、っそして村全体の統治を支えるための、一本の「管理の線」である。

村の中を歩けば、この道がアッシュワースの構造を静かに語っているのが分かる。

7. 経済構造

現在

ペンストレイト領の主な収入源は港町の海運とフェリー権であり、アッシュワース周辺の農業・畜産は単体では赤字である。

それでも領全体としては黒字を維持している。

海運権喪失期(過去)

かつて海運収益を失っていた時期、穀物と羊毛は領を支える最後の拠り所だった。

マナーハウスでの管理は極めて厳しく、一切の無駄が許されなかった。

この時期であっても、森の収穫物は換金されず、村の消費に留められていた。


■グリーブ地とは

「グリーブ地(Glebe land)」は、中世イングランドの教区制度において、司祭が自給自足し、生活を維持するために割り当てられた土地のことです。

アーサーが司祭として食べていくために欠かせない非常に現実的な基盤となります。

1. 司祭のための「給料」代わりの土地

当時の司祭は現金で給料をもらうわけではありませんでした。教区から提供されたグリーブ地を耕し、そこで収穫した農作物や家畜が、そのまま司祭(および使用人であるピーターやマーサ)の糧となりました。

2. 土地の構成

グリーブ地は一つの大きな畑であるとは限りません。

耕作地: 麦などの穀物を育てる。

牧草地: 牛や羊を放牧する。

司祭館の庭: 野菜や薬草、そしてアーサーが扱っているような養蜂場。


3. 誰が耕すのか?

司祭本人がクワを持って耕すこともありましたが、アーサーのように伯爵家との繋がりがある、あるいは多忙な司祭の場合は、小作人に貸し出して小作料をとったり、侍者に手伝わせたりするのが一般的でした。


◎グリーブ地と一般の村の違い

什一税との違い:

村人から収穫の10%を徴収するのが「什一税じゅういちぜい」ですが、グリーブ地は「教会の持ち物」なので、収穫はすべて司祭のものです。

◎村の共同体との関わり:

当時の農地は「開放耕地制オープン・フィールド」といって、村全体の巨大な畑の中に、司祭の区画、伯爵の区画、村人の区画がパッチワークのように混在していました。

アーサーが自分のグリーブ地を見回りに行けば、必然的に農作業中の村人たちと顔を合わせることになります。

■グリーブ地の広さ

14世紀イングランドの一般的な教区司祭が所有していたグリーブ地の広さは、その土地の豊かさや教区の規模にもよりますが、**概ね20エーカーから60エーカー(約8ヘクタール〜24ヘクタール)**程度が標準的でした。

読者がアーサーの生活感をイメージしやすいように、具体的な数字と感覚で解説します。



◎広さの目安と感覚

数字で言うと:

1エーカーは「牛2頭立ての Ploughすきで、1日に耕せる面積」を指します。

アーサーが40エーカー持っているとすれば、東京ドーム約3.5個分くらいの広さになります。

生活の感覚:15〜20エーカー: 司祭一人が(ピーターのような手伝いとともに)最低限食べていける、やや慎ましい広さ。

40〜60エーカー: 裕福な部類。余剰作物を売って現金収入を得たり、アーサーのように「養蜂」に広いスペースを割いたりする余裕があります。

◎ グリーブ地の構造(パッチワーク状の農地)

ここが非常に重要なのですが、この40エーカーは「一つのまとまった広大な敷地」ではありませんでした。

当時の**「開放耕地制オープン・フィールド」**という仕組みにより、土地はバラバラに分散していました。

・細長い地条ストリップ

村全体の巨大な3つの畑(三圃式農業)の中に、司祭の持ち分である「細長い区画」が、村人や男爵の区画と交互に混じって点在しています。

・司祭館(Rectory/Parsonage)の周辺:

ここだけは司祭の専用地(囲い込まれた庭)です。アーサーが蜜蜂の巣箱を置いているのは、この館に隣接した**「クロフト(小圃)」**と呼ばれる管理の行き届く場所でしょう。


共有地コモンでの権利:これとは別に、村の共有地で「羊を〇頭放牧していい」「薪を拾っていい」という権利もグリーブ地の広さに応じて割り当てられていました。

◎移動の苦労:土地が分散しているため、アーサーやピーターは農具を持って村中を歩き回る必要があります。この「移動中」に、トーマスの部下たちと鉢合わせたり、例の「男」とこっそり連絡を取ったりする隙が生まれます。

アーサーの教区は、**「司祭館の裏庭(養蜂場)」+「村のあちこちに散らばる数十本の細長い畑」**という構成になります。

アーサーは司祭としてこれら全てを把握し、管理しなければなりませんでした。


代官のふてぶてしいご尊顔のドアップ失礼しましたw

次回は可愛い女の子の紹介の予定です。

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