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Humanity Magi  作者: やばくない奴
全ての元凶
60/71

覚悟

 数日後、御鷹(みたか)たちはとある山奥にて、再び玲作(れいさく)と対峙した。勝利を確信している玲作は、三人の諦めの悪さに呆れるばかりだ。

「ほう……まだ力の差を理解できていないようだな。今のお前たちを生かしておいても、どのみちマグスを狩り続けてはくれまい」

 とどのつまり、今の彼にはマグスバスターたちを生かしておく理由がない。

「ああ、俺たちの敵はアンタだよ! ドクター・マガミ!」

 御鷹はそう宣言し、奏美(かなみ)たちと共にオートミストを起動する。無数の武器が意思を持ったような挙動で飛びまわり、標的への攻撃に集中していく。その様を前にして、奏美は笑う。

「よし……オートミストは正常に機能しているね。ねえ御鷹! 竜也! 褒めて褒めて!」

 相変わらずマイペースな女である。御鷹は苦笑いを浮かべ、彼女を褒める。

「ああ、凄いよ……奏美。アンタのおかげで、今度こそアイツを倒せそうだ」

 この場面で称賛を要求すること自体には問題があるものの、彼女の発明品が優れていることは暦然とした事実だ。竜也(りゅうや)は呆れたようなため息をつき、メタルミストを銃に変形させる。御鷹は不定形の鉄の塊を操り、奏美は剣を作り出す。


 いよいよ最終決戦の幕開けだ。


 玲作は強気な宣言をする。

「……魔法兵器が完成している以上、もうメタルミストもお前たちも用済みだ。これより、オペを開始する」

 彼は己の体をドローンに変形させ、宙を舞う。ドローンからは何発ものエネルギー弾が投下され、彼らのいる山は爆撃を受けていく。三人の持つオートミストは即座に天井となり、彼らを守っていく。そこで玲作は元の姿に戻り、今度は右手をシャワーヘッドのような装置に変形させる。

「まずい……!」

 御鷹がそう叫ぶや否や、各々の持つオートミストはガスマスクと防護服に変化した。辺り一帯は、マグスウィルスによる霧に包まれていく。ここでオートミストを別のものに変形させようものなら、彼らはマグスウィルス感染症を患うことになるだろう。形勢は一気に、玲作にとって有利なものとなった。


 御鷹はガスマスクと防護服を武器に変形させ、玲作への攻撃を続けた。この光景を前に、奏美と竜也は目を疑うばかりだ。

「何をしているんだ⁉ 御鷹!」

「……気でもおかしくなったのか?」

 無論、御鷹は正気だ。彼は不敵な笑みを浮かべ、大声を張り上げる。

「アンタのことだ。マグスウィルスの感染を拡大するために、あえてその症状の発生を遅らせているんだろう? だったら、この体が死んじまう前にアンタを倒せば良いだけだ!」

 そう――――彼は命を張る覚悟を決めたのだ。しかし、彼自身がその覚悟を決めていようと、当人と親しい者にとってはそうではない。

「この馬鹿! ワタシはまだ、アナタへの償いができていないというのに!」

 奏美は怒号を上げた。彼女は御鷹の自己犠牲を吉としていない。それでも、一度起こしてしまった行動を取り消すことは出来ない。


 しかし御鷹には考えがある。

「これで良いんだ……奏美。どのみち、この戦いに勝たなければ俺は死ぬ。もちろん、アンタが生き残らなければの話だけどな」

「ワタシが生き残ればの……話……?」

「ドクター・マガミの脳は、メタルミストで出来ているはずだ。科学を極めたアンタなら、それを解析することで医学の知識を得ることができるだろう。そしたら後は、俺の体をメタルミストに変えちまうだけだ!」

 機械の体であれば、ウィルスに感染する心配はない。彼の所業は、奏美の技術力への圧倒的な信頼から生じたものである。

「そーゆーことね。アフターフォローは任せてね、御鷹」

 彼女の表情が和らいだ。その顔つきからは、彼女の持つ自信が感じ取れる。


 一方で、玲作もまた己の力を誇っている。

「ククク……あまり私を侮らない方が良い」

 彼はそう言い放ち、全身に禍々しい色をしたエネルギーをまとった。

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