今年の鬼ごっこは…
文化祭2日目、今日も大勢の人がやって来ました。
「斗和じゃん、いらっしゃい」
「よっす」
斗和が来たようです、お隣にいるのはクラスのお友達ですかね。
「いらっしゃい斗和」
「浴衣似合ってるな」
「ありがとう…クラスのお友達?」
「あぁ、男のほうが多田勇太で女子が中川友美」
「どもっ!」
「こんにちわ!」
二人とも元気な方ですね。
「初めまして、有村茉里奈です」
「斗和君から聞いてるよ~!近くで見ると本当に可愛いね!」
そ、それはありがとうです…。
「2人はどっちのコースにします?」
「何故俺には聞かない」
「貴方は必然的にチャレンジコースよ」
中川さんは普通、多田君はチャレンジコースに行きました。そして現在、斗和が撃っています…さすがですね、全部の的を撃ちました。
「すげぇ、さすが斗和だな。試作の時からやってる俺すら無理だった」
「悟の場合は脳筋プレーしそうだもんな」
「斗和君正解だよ、悟は全てのゲームで脳筋だから」
武文さんも脳筋な気がしますからね。
「いらっしゃいませ!梓さんに裕也さん、今年も来てくれたんですか!」
雪音の声に入り口を見ると梓さんと裕也さんが…今年も来たのですか。
「雪音ちゃん浴衣似合ってる!可愛い!」
「お祭りだねぇ」
あの2人、去年も来ていましたが次の日仕事に追われていましたよね…大丈夫でしょうか。
「茉里奈と斗和だ、やっほー」
「茉里奈も似合ってるね」
「こんにちは」
「よっす」
まぁ、2人は雪音に任せて仕事をしなければ。
「いらっしゃいませ…ノーマルコースですね?どうぞこちらへ」
こうして2日目も無事に終わり、3日目になりました。
「いらっしゃいませ~!あ、満!」
「姉さん浴衣似合ってるね!」
満君が来ましたね、そしてその後ろには…咲ちゃんと渉君ではないですか。
「こんにちわ満君、咲ちゃんと渉君も…3人で来たの?」
「こんにちわ茉里奈さん、実はこの前姉さんのバイト先で会ったんです。同じ中学の先輩だったし2人とも今日行くというので一緒に来ました」
「まさか、満君が雪音先輩の弟さんだとは思いませんでしたよ!」
「最近ではよく一緒に出かけたりしてるんです」
なるほど、そういう訳ですか…ふふ。
「この後の鬼ごっこ、楽しみにしてますね!」
あはは…期待しないでくださいね、今年はあの斗和がいるので正直勝てるか分からないのが現状なのです。
「茉里奈、そろそろ時間」
「本当、行かないとね」
「頑張ってね2人とも!」
雪音達に見送られ、私と蓮君は生徒会室に向かいました。扉を開けると…全員黒のスーツを身につけていました、これは…何。
「お、来たな」
「斗和…その姿は何なの」
「今年は警察官と悪の組織のようだぞ」
須坂先輩の声が後ろから聞こえたので振り向いたらそこには警察官が…似合ってますね須坂先輩。インドネシアの警察服ですね、写真で見たことあります。
「確かに悪の組織だね」
「お兄ちゃん…黒のスーツ似合ってるね」
「そう?はい、茉里奈の服ね」
早速着替えてきましょう。そういえば鈴香先輩や希ちゃんはどんな服なのだろう、そう思いながら更衣室に入ると鈴香先輩と希ちゃん、佳奈ちゃんがいました。鈴香先輩と希ちゃんは黒のスーツに黒いネクタイ、黒のスカートです…佳奈ちゃんは須坂先輩と同じ警察服ですがキュロットスカートです。私も同じようなので着替えましょうか。
「わぁ…茉里奈先輩似合ってる」
「茉里奈ちゃん、とっても素敵!」
「腰にある銃が恐ろしい…」
今年はこの姿なので少しルールが変わりました。普通にタッチすればいいだけでなく全員が銃を持ち、銃弾が2発当たれば捕まえたことになります…必ず2発当たったら降参すること、鬼は2分その場から動けなくなります。
「恐ろしいって…これただのゴム弾銃だけど」
「茉里奈先輩が打つとゴムでも貫きそうですよ!」
えー…さすがに私でもそんなことは出来ませんよ。
「全員着替えたし、行きましょうか」
生徒会室に戻りもう一度ルールを確認しました。
「悪の組織らしく、ここはサングラスを掛けようかな?」
そう言って斗和がサングラスを掛ける…様になってますね。
「こんな悪そうな奴を追いかけるわけね」
「本来ならばお前もこっち側なのにな!」
「これってBB弾なのよね…サングラスを外して目に当てれば急所か」
「おーい、茉里奈さーん…聞こえてるぞー」
おっと、聞こえていましたか。
「時間だ、各自場所へ」
今年は1棟、1年生教室と図書室がある4階からスタートです。
『さぁさぁ皆さん!お待ちかねの鬼ごっこがやって来ました!!実況は私、放送委員長の影森愛です!ささ、各クラスの予想はこれだ!むむ、3年生は全クラス生徒会だが1年と2年が分かれている!昨年1位の2年A組は今年も風紀委員だ!』
やはりですか。
『さて、今年も登場グラウンドにあるビッグスクリーン!総勢11人の姿がこちら!』
今年も大きな歓声が聞こえます。
『なな、なんと!今年のテーマは悪の組織とそれを追う警察官!…時間になりましたね、今年は人数が増え一時間30分に!…勝つのはまたしても風紀委員か、それとも生徒会か!それでは鬼ごっこ、スタァァァァァァト!!!!!!!』
始まりましたね、この下に誰か居るようなので行きましょう。
『須坂君と真田君が銃撃戦を繰り広げている!しかし真田君が捕まってしまった!』
須坂先輩相変わらず早いですね…ん?あれは谷坂先輩ですね、行きましょう…音を全て消して近づき、捕まえました。
「え?」
『なんと今年も音なく茉里奈ちゃんが捕まえた!開始10分で2名が捕まった!』
「守から聞いていたけど、本当に気配を感じないんだね」
「ふふ」
さて、次行きましょう…先程もう一人いたのですが他の棟へ行ったようですね。
『須坂君が片山君を捕まえた!おっと!?今度は1年生の斉藤ちゃんが森原ちゃんを追いかけている!!』
今年も4階へ行って他の人を探しましょう…あ、佳奈ちゃんが希ちゃんを追いかけていますね。お、あそこに鈴香先輩を発見、ちょうどその階には窓が開いていますし渡り廊下の屋根で行ける高さですね…よいしょっと、無事に屋根まで飛んで…廊下に行きました、さて。
『今年も茉里奈ちゃんが4階から飛んだ!』
鈴香先輩捕まえました。
「茉里奈ちゃん…本当に相変わらずね」
「ありがとうございます」
『安原妹と森原ちゃんが捕まった!!先程逃げ切った片山君も捕まってしまったぞ!残るは3人、時間は1時間をきった!』
会長とお兄ちゃんと斗和か…やはりこの3人が残りましたね。
『安浦君と須坂君が銃撃戦を始めた!だが斉藤ちゃんの弾が2発当たってしまった!協力プレーだ!!』
佳奈ちゃん、やるじゃないですか!ふふ…さすがこの日のために練習をさせた甲斐がありました。
『残るは後2人!須坂君と斉藤ちゃんが有村くんを追いかけている!!』
ちょうどこちらも斗和を見つけたので追いかけます。
『時間は残り15分!!』
時間があまり無いですね…。
『なんと!?有村君が銃で2人を止めた!』
あの須坂先輩を止めた!?お兄ちゃん…最後の文化祭、本気ですね…勝つのは生徒会かな。斗和が銃を持ち撃ってくる…全部避けましたけど、捕まえることは難しいでしょうね。あ、窓から飛び降りやがった…。
『南崎君が窓から飛び降りた!後ろから茉里奈ちゃんも!…そこ3階だよね?…』
お互い体力も限界です。斗和が少しよろけた!今ですッ!そう思って手を伸ばした瞬間後ろから銃を突きつけられました…お兄ちゃんですね。
『終了!!!!!勝ったのは生徒会!』
グランドの方からの歓声を聞きこえてきました。
「はぁ、はぁ…危なかったぁ!」
「…捕まえられたのに」
「お疲れ様、2人とも」
ちょうど芝生だったので斗和わ寝転びました、私も座ります。
「2人とも、グラウンドに行かないと」
「待ってお兄ちゃん…」
「そーそー、疲れたぜ」
そしてようやくグラウンドへ行きました。
「まーりーなー!お疲れ様~!斗和君と和葉さんも!」
「お疲れさん」
「お疲れ様、蓮もお疲れ様」
「お疲れ様です」
もうヘトヘトですよ。
「そういえば茉里奈、理事長が来てたよ?」
「「「え?」」」
は?理事長?なぜお父さんが…あ、式が始まりましたね。
「皆さん、文化祭お疲れ様でした…実は今日、理事長がいらっしゃっています。理事長から一言お願いします」
え。
「皆さんこんにちは、この学校に理事長がいたなんて知らなかったでしょう。実は今日、一人の保護者として来たのですが校長に捕まってしまいまして…」
そうだったのですか…それはお疲れ様です。
「結果発表は私が行います」
ついに結果発表です。
「結果を発表します、まず1ポイントから…おもしろ賞3年D組、2年B組、1年A組。ハプニング賞3年A組、2年C組、1年D組。すてき賞3年B組、2年A組、1年C組。感動賞3年C組、2年D組、1年B組」
お兄ちゃんのクラスがハプニング賞…あんなことがありましたもんね。
「デザイン賞3年C組、1年A組。アイディア賞2年A組、2年C組」
アイディア賞ですか。
「お客様賞3年A組。ポスター賞1年D組」
今年は全然ポイントが無いですね。
「鬼ごっこの予想が当たったクラス…3年全クラス、2年B組、2年C組、1年A組、1年C組に3ポイント。よって1位は7ポイント獲得3年A組!」
2年連続1位はなりませんでしたね…3年A組の先輩方は喜んでいます。
「MVPは最後まで熱い戦いを見せてくれた有村和葉、有村茉里奈、南崎斗和の3人だ!」
えっ!3人!?
「無茶やるなぁ」
「茉里奈!またMVPだって!!」
「ごり押したんだろうね…」
「行って来い」
雪音達に見送られ前に出る。最初にA組も代表者に賞状を渡され、次は私達の番になりました。
「おめでとう」
賞状を受け取り表彰式が終わりました。そして片付けも終わり後夜祭…私は今年も次教室でグラウンドの様子を一人で見ています。明日は文化祭の代休、生徒会のお疲れ会は今年こそ安浦家で行うようで須坂先輩は当然、私や佳奈ちゃんも招待されています。それが終わった土曜日は誠司殿との会議…やることがたくさんあります。
「やっぱりここにいたか」
「斗和、カメラの片付けお疲れ様」
「…楽しかったか?」
「ええ…とっても楽しかった」
「それは良かった」
こうして無事文化祭が終わりました。
そして次の日、私達は安浦家に来ています。
「茉里奈ちゃんに和葉君じゃない!大きくなって~」
「むぎゅっ…おひさひぶりでふ、まはみひゃん」
「お久しぶりです」
く、苦しい…。
「お母様、茉里奈ちゃんが苦しがっていますよ」
「あら、ごめんなさい」
「ぷはっ!」
私を抱きしめたのは安浦愛美さん、鈴香先輩と会長のお母様でお母さんのご友人です。ちなみにご当主の重信さんは出張でいらっしゃらないとのこと…お忙しい方ですからね。
「では、文化祭の成功を祝って乾杯!」
『乾杯!!』
文化祭も終わり、次は生徒会選挙ですね。
「会長はどっちがやる?」
「俺は斗和でいいと思います」
「え、俺?うーん…」
「いいんじゃないかな」
「風紀委員長は茉里奈に任せる」
「えっ」
「顧問にも既に伝えている」
えー…。風紀委員と生徒会の顧問は英二、きっと即オッケーが出たのでしょうね。
「茉里奈先輩、私も来年風紀委員になりますね!」
「そう…じゃあ副委員長を佳奈ちゃんに任せようかな」
「お任せください!」
元気な返事です…。
「茉里奈が風紀委員長頑張るというのなら俺も会長頑張ろうかな」
「決まりだな」
会長だけ選挙が行われ、後の役員は新会長が決めるのでしたよね。
「蓮は副会長を頼むわ」
「分かった」
会長たちの卒業までもうすぐなんですね…文化祭が、会長たちにとって最後のお仕事だったわけです。
「森原も、来年よろしくな」
「はい!」
こうしてお疲れ会も終わり、土曜日がやって来ました。
『松下様がお見えです』
「こちらへお願い」
『はい』
誠司殿が来たようです。
「英二、例の物は」
「ここにある…これってあの文化祭の時の事件だろ?」
「ええ」
「面白いことがあるらしいぜ英二、俺達2人は黙って聞いとこうぜ」
「そうだな」
ちょうど来ましたね。
「松下様をお連れしました」
「ありがとう…わざわざ来ていただきありがとうございます、誠司さん」
「こちらこそ、娘が迷惑を掛けたよ…和葉君のクラスだったのだろう?その後迷惑にならなかったか?」
「ええ、むしろハプニング賞を受賞しましたよ」
「それは良かった…さて茉里奈くん、君は僕のやろうとしていることを知っているな?」
「はい」
妻である松下幸恵と娘の瑠美、そして妻の実家である若杉家を処分する…それが彼の目的。
「こちらの方で松下幸恵の不倫、若杉家が行なっている事を全て調べてあります。この紙の束がそうです」
「さすが、仕事が早いな」
「若杉家はこれで処分、存在ごと消すことが出来ます…奥方と娘はどうします?」
自らが望んだ結婚では無くても多少の情は…
「一緒に処分する」
…無い人でしたね、忘れていました。この人は優しい人ではありますが、ばっさりと切り捨てる人でしたね…だからこそ他の方々から信用されているのですけど。
「では5日後、奥方と娘が実家に戻ったところを…事故死ということでよろしいですか?」
「ああ、頼む」
「畏まりました」
「全てやらせてすまないな」
「仕事ですので…正直私も頭にきたので、これですっきりするならお互い様です」
「そうだな」
こうして5日後…松下幸恵と瑠美は事故死、若杉家の存在ごとこの世から消えました。
『そうか…ご苦労だったな』
「いえ、これからも頑張ってくださいね」
『ああ、これで真希とイチャラブできるよ』
…聞かなかったことにしましょう。
「…色々、応援しますね」
『そっちも頑張ってくれ、ではな』
「はい」
通話を切り空を見上げる…実は今昼休みでして、電話のために屋上に来ています。文化祭も終わったこの時期は寒くなってきました、もう冬ですかね。
さてと、そろそろ戻らなくては…。




