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量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました  作者: 星野林


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伝説の武器探し 3

 〈お前さ、火山の毒ガス地帯にマーキングした石何個か落としておけよ。人間の兵士だったら勇者でも運よければ死ぬからな〉


 そりゃ状態異常対策をしている聖女が死んでいるんだから死ぬだろうけど……。


 というか聖女とその一行はなんであんな場所でゾンビになっていたんだろうか……普通危険地帯だから行かなくていい場所だろうに……。


《オレ》なにか知らないの? 


 〈いや、《オレ》もなんでもかんでも知ってるわけじゃないからな。あーでも飢饉の生贄の設定があったような〉


《オレ》でも詳しくは知らないらしい。


 ボクはマーキングした石を空から火山のガスが溜まっていそうな山中にばらまいておいて、火山のガス溜まりの外にもマーキングを付けて、直ぐに移動できるようにもしておく。


 とりあえずこれよし。


 〈あと……この近くにある伝説の武器は1箇所だな。さて回収しに行くぞー〉


(今度はどんな僻地に行くことになるんだろう……)


 最後にボクが向かったのは広い水辺のある場所の上空を飛ぶ。


(広いねー……これが海ってやつ?)


 〈そうだな、これが海だ。今回行く場所は離島だな〉


(島ってこと?)


 〈そうだ〉


 飛行すること1時間ちょっと離島……離島? 


(え? 島って言うにはだいぶ大きくない?)


 〈あー、ゲームだとただの島って表示されていたけど、そっか、ダンジョンがあるくらい大きい島だったな〉


(え? ダンジョンってなに?)


 ボクはダンジョンという言葉を知らなかったけど、《オレ》によると魔物が大量に住み着いている迷宮なのだとか。


 〈お前にはおなじみのミートスライムとかライススライムとか……そういう魔王軍だと食用にしている魔物が結構住み着いていたり、農地ができるだけね広さもあるし……この島は第三次魔王軍の敗残兵が集まって暮らす魔王軍最後の拠点になる場所だ〉


《オレ》の知る知識だと第一次、第二次、第三次と敗れた魔王軍の生き残りはこの島で復活の為に力を蓄えることになるのだとか。


 魔王軍の地図にもこんな島があるなんて描かれてない。


 島に降り立つと、崩れた砦の様な建物と、幾つかの集落跡地が広がっていた。


 所々に過去人間が生活していた痕跡が残されており、跡地を漁っていると、祠みたいな建物の中に2本の棒が突き刺さっていた。


(魔法の杖?)


 〈この島は元々人間の魔法使いの研究所があった場所だ。魔王軍の侵攻が始まる前に撤退して無人島になったが、研究していた生物とかが野生化して島中に散らばっている〉


(広い島……だと思うけど、畑を広げたとしても500人くらいくらいしか生活できなさそうだけど……)


 〈地下に伸びている迷宮が階層になっていて、実質この島の地表の3倍くらいの広さがダンジョンになっているぞ〉


 そして杖を引っこ抜くと、青色の玉と赤色の玉杖の先端で光っている。


 青色の玉は海水を飲水に変えたり、海水から鉱物を採取するのに使う採取の玉だ。


 ボクの腕くらい長い杖を海に向かって振るってみると、海水が渦を撒いて、次に水の玉が空中に浮かび上がり、その横に2回りくらい小さい白い塊、その更に横に小さなインゴットとか塊とかが空中に並んでいた。


 〈水の塊、塩の塊、海水に溶け出していた金属とか物質の塊だね。海がある限り物質調達にこの採取の杖があれば不足は無くなるだろうね〉


(じゃぁこっちの赤色の玉が付いた杖は?)


 〈こっちは魔石の杖……ちょっと尻尾を切ってみて〉


(えー、少し痛いんだよ……)


 ボクは《オレ》に言われて尻尾を切ると、赤色の玉が付いた杖を振るう。


 すると圧縮されて人差し指サイズの魔石が出来上がった。


(え? 魔石になった)


 〈魔石の杖……あらゆる有機物を魔石に変える杖だよ〉


 この2つの杖を使って過去の魔法使い達は生活をしていたし、第二次魔王軍敗北後はこの杖を使って物質を集めて、今までの技術で培った量産兵を作り出して、反転攻勢を仕掛けたと教えてくれた。


 なお第三次魔王軍は人間にこの杖を奪われてジリ貧に陥ってこの島で惨めな自給自足生活を送る羽目になるのだとか……。


 〈逆にこの2つの杖を手に入れた人間の国は圧倒的な国力を有することになり、人間同士の国々で内輪もめをすることになるんだがな〉


(なんというか……便利だけど呪いの杖に見える……)


 〈実際この杖と錬金術師フランのドッペルゲンガーが居なければ第三次魔王軍は結成できてないからな〉


 今までの《オレ》の話を時系列順にまとめると……。


 第一次魔王軍が魔王様に何かが起こって離散する。

 ↓

 エレンとミラの子供が青年になる頃に第二次魔王軍結成。

 ↓

 錬金術師フランの技術を両軍研究で、人間側が何かを作り出して、第二次魔王軍の中核が消滅。

 ↓

 今ボクがいる島を発見し、杖を使ってフランのドッペルゲンガーが参謀になって魔王軍の生き残りを集める。(スクエニーが幹部に)

 ↓

 魔王軍敗北からの敗残兵は島流し

 ↓

 人間の国で内輪もめ発生


 こんな感じだろうか。


 第一次魔王軍は魔王様に何かが起こるっていうのがわからないけど、《オレ》はこれを防ごうと動いてないから、防ぎようがない事象なんだろう。


《オレ》の動きを見るに第二次魔王軍の時に敵となる人材の親世代……エレンやミラといった人物を魔族に変えて、脅威を少しずつ排除しているような気がする。


(《オレ》は第二次魔王軍時代なら魔族側に勝機があると思っているの?)


 〈いやーどうだろう。歴史って修整力が働くから、負ける可能性も十分にあるし……《オレ》は魔王軍ではなくお前が勝てるというのが条件だから、魔王軍は別に負けても良いんだよな〉


(んん? どういうこと?)


 〈まぁ《オレ》の中では何種類かの勝ち筋があるけど、第一次魔王軍時代はお前がどれだけ強く成れるかが鍵だからな……というか、成り上がるとしてもサキー隊長を偉くさせたいって気持ちもあるだろ〉


(それは……まぁ)


 〈お人好しめ……《オレ》はお前に不利益になるようなアドバイスとかはしないから安心しろ。さてと、杖のある場所は確認できたから、両方の杖にマーキングを付けるのと、島の砦にもマーキングつけておけ〉


(じゃぁ隊長から言われていた避難場所はここにすると?)


 〈ああ、ここならば数十年単位の潜伏が可能だ〉


(ふむふむ……ちょっと待って……もしかして魔石を作る杖って上位者の肉体の一部さえあれば魔石にして体に飲み込むことで強くなり放題ってこと?)


 〈Exactly〉


(え、えぐ?)


 〈まぁその通りってことだ。杖はとりあえずここに置いて行こう。下手に持って行って無くしたら最悪だからな〉


(了解……でもマーキングしているから大丈夫じゃない?)


 〈一応な、この2つのアイテム失うと今後の活動の根底から考え直さないといけないから〉


 というわけで、ボクは地図に場所を記載して、マーキングを幾つか残し、瞬間移動の魔法でサードアイの集落に戻るのだった。






「うぉ、結構魔力消費した……」


 だいたい30分の1くらいだろうか。


 片道でこれだから、往復だと倍かかるし、人を連れて行くと、更に人数分の魔力を消費する。


「おや! ずいぶんと早かったね……どうだった? 避難場所になりそうな場所は見つかったかい?」


「はい、だいぶ遠方になるんですけど、入植して生活できそうな場所を見つけました」


「そうか……じゃぁ早速場所の詳細と特徴を教えてくれるかい?」


「はい!」


 集落に戻ったボクは隊長に島の情報、2本の杖のことを伝えるのだった。



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