第35話「禁術」
国へ着くと、明らかに様子がおかしかった。
これまでは妖獣はほとんど姿を見せなかった国だったが、街を妖獣達が襲っていた。
「妖獣王の影響か?」
人々は家の中に逃げ込んだのか、姿が見えない。しかし、逃げ遅れた男の子が妖獣に囲まれていた。
「まずい!」
妖獣はにじり寄ると奇声を上げた。
「圧殺!」
スギヤマ達はその場にいた妖獣を蹴散らすと、男の子を保護した。
「家はどこ?」
「あっち、ありがとう」
家まで送り届けると、街の様子を確認する。
やがて空から次々と妖獣が飛来してくると、家の窓を割り始めた。
「くそっ!数が多すぎる」
家に侵入しようとする妖獣を一体ずつ倒していると、どこからともなく家より巨大な鬼のような生き物が現れた。
鬼は妖獣に張り手を喰らわせ地面に叩きつけていく。
「何だ?」
「おお、お前ら久しぶりだな」
鬼が大きな声で話しかけてくる。
別の妖獣の体に次々に植物が絡みつき、倒れていく。
いつか会ったレアラが手を前に掲げ念じていた。
「レアラさん!じゃああの鬼はまさか?」
「ゼリトよ、それにしても厄介な事になったわね」
「妖獣王が現れて……」
「感じたわよ、あの禍々しい力」
「何か倒すいい策はありませんか?」
「獣闘場の地下深くに祭壇があって、そこにかつての大魔導士が隠した禁術が封印されているというの。異次元の力に対抗するためだと言い伝えられているわ。」
「本当ですか、行かせてください」
「禁術を読み解くために私も行くわ」
「一大事だしな、力を貸すぜ」
人の姿に戻ったゼリトも言う。
「ありがとうございます」
程なくしてスギヤマ達は獣闘場に向かった。
かつて戦った広間に辿り着くとそこは静まり返っていた。
奥の床に不思議な魔方陣が描かれた場所があった。
レアラが念じ、腕を振るい始める。
魔法陣が青白く光ったかと思うと、扉となって開き、地下への階段が現れた。
降りていくと、一層肌寒くなってくる。
発光する植物が階段を照らしており、慎重に進む。
やがて大きな部屋に辿り着いた。
中には人骨が腰かけた椅子と机があり、壁一面にたくさんの書物が並べられていた。
「ここですか?」
「いや、言い伝えでは祭壇、この部屋は通過点ね。先に進む道を見つけましょう」
辺りを探っていると、白骨遺体がガタガタと揺れ出した。
「遠い……異界……巡る……」
どこからともなく声が聞こえ、本棚の一つが移動して道を作り出した。
スギヤマ達は先へ進んだ。
奥には螺旋階段が続いており、手すりもなく危険な状態だった。
落ち着いて進むと、再び部屋が現れた。
棺桶が並んでいて、それぞれに古びた文字が刻まれていた。
奥に扉があり、燭台が二つ立っていた。
先に進むと、厳かな雰囲気の空間が広がっており、中央にはバスケットボ―ル大の水晶が設置されていた。
全員が部屋に入り水晶に近づくと水晶が発光し始め、視界が乱れる。
壁が緑色、赤、様々な色に変わり、空気が震え出した。




