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夜会1

読んでくださり、本当にありがとうございます!

 パーティ会場である王宮は、華やかなものだった。豪華なシャンデリアに照らされ、神秘的な空間を作り出されている中、人びとが優雅に話を弾ませる。時には、軽食を食べたり、ワインを飲んだり、色々と過ごしている人たちがいるようだ。


「ランジェール公爵閣下、及び、クラリス公爵令嬢のご入来です」


 王宮の使用人が恭しく会場に、告げる。わたしは、アルヴィンにエスコートしてもらいながら、入場した。


 一斉に、周りの貴族達がざっ、と礼をする。一応、アルヴィンはもう貴族籍にいるものの、王弟でもあるのだ。


 そして、公爵家の令嬢である、わたしは一応、上級貴族中の上級貴族であり、高位貴族であった。そのため、二人に向かって、貴族達が礼をしてくれたのだ。


 国王と王妃のような王族に向けて、臣下の礼をするのとはわけが違い、わたしたちに向けられたのは、単純に敬いの気持ちを表してくれたものだ。だから、さっ、と貴族達はすぐに元の姿勢に戻り、歓談を再開する。


「流石、王家のパーティはとても豪華で煌びやかなものですわね。人の数も、すごいですわ」


「まあ、そうでしょうね。王家への恭順を示すことができる場でもあるから。ここへは出向かないと、流石に家としても、まずいんでしょう」


 アルヴィンが冷静に批評を下す。わたしは、その冷静さに思わず苦笑してしまった。


 そうですね、と頷きながら、はたと気づく。


「あの・・・ランジェール公爵様」


 わたしがこそっと話しかけると、取り敢えず会場の隅に向かってエスコートしてくれていたアルヴィンは、はいとこちらを見る。綺麗な笑みは、端正な顔に載せられたままだ。


「いえ、やっぱりなんでもありません。ごめんなさい」


「何です?気になりますけど・・・。あ、じゃあ、私から一つ良いですか?」


「はい。何でしょう?」


 わたしが、社交界用の笑顔を崩さずに問うと、アルヴィンは笑顔で前を見つめたまま、爆弾をぶっ込んだ。


「いつまで、『ランジェール公爵様』と呼ぶんですか?」


「———ひゃっ!」


 思わず、細いヒールで転びそうになる。慌てて、彼が支えてくれたから、平気だったけれど。


 ————普段だったら、絶対にしないような、ミスだ。


「おっと。大丈夫ですか?」


「っ、すみません。少し、躓いてしまって」


「いえ、気になさらないでください。————笑顔が消えてますよ」


 指摘されて、慌てて笑顔をつくる。アルヴィンの方をちらっと見上げると、こちらを余裕の笑顔で見下ろしていた。


「!」


 不意打ちにどきっとして、ふぃっと目をそらす。きっと、頬は色づいてしまっているだろう。


「それで?返事が何時迄経っても、来ないんですが」


 その追い打ちに、わたしはまたもや視線をあげた。彼は、にっこりと笑っている。


 それで、ようやく思い出した。


 そうだ、彼は元々猫をかぶっていそうで、嘘っぽいって一番初めにそう思ったんじゃない!


「—————分かりました。では、なんてお呼びすれば良いんですの?」


 こうなれば、仕返しよ!できるだけ、彼をどきっとさせてやるわ!


「う〜ん、そうですねえ。アルヴィン、かアルヴィン様。あるいは、旦那様でも良いですよ」


 冗談っぽく最後に付け加えられた選択肢。すかさず、わたしは彼を上目遣いで見上げると、はにかんだ笑みを浮かべて見せた。


「————旦那様」


 たっぷり躊躇ってから、小さく呼ぶ。アルヴィンは笑みも忘れ、目をみはった。


「いっ、えっ、と。その、それは冗談っていうか、その—————!」


「って、お呼びすれば良いんですか?」


 わたしが、はにかんだ笑みを悪戯っぽい笑みに変えると、アルヴィンは一瞬ため息をついてから、元の貴公子の笑みを浮かべてみせた。


「そうですね。旦那様、と呼んでくださってかまいませんよ」


 これには、わたしが焦った。まさかの、わたしの方がはめられている。


「えっ!?い、いえ、あの!」


「何ですか?恥ずかしがっているんですか?」


「っ、そうです!恥ずかしいので、別のにしてください!」


「じゃあ、無難にアルヴィン様でどうですか?」


 本気で恥ずかしがっているわたしの姿を見て思うところがあったのか、アルヴィンは素直に提案してくれた。


「分かりました。じゃあ、アルヴィン様ってお呼びしますね」


 そう言うと、アルヴィンは笑顔で頷いた。


「アルヴィン様。わたくしも、言いたいことがあって・・・」


 アルヴィンの要望に、自分も先ほど気づいたことをいってみようと決心する。


「何ですか?」


「あの、何でまた敬語に戻っているか、きいても・・・?」


 彼を見上げると、給仕からもらったシャンパンを渡そうとしていたアルヴィンは、すっと固まった。


「えっ・・・と」


「待ち合わせたとき、褒めてくれましたよね?そのとき、敬語じゃなかったでしょう?」


 わたしが笑顔でさらりと問いつめると、アルヴィンはふぃっと目をそらした。


「気づかなかった・・・。じゃあ、これからは敬語をやめる」


「はい!わたくしのことも、マリアンナと呼んでくださいませ」


 わたしが笑顔で言うと、アルヴィンも、笑顔で頷いてくれた。

うぅぅ。わたし的に(またもや笑)、貴公子キャラがぶっきらぼうな口調なの、だいぶ萌える〜〜〜〜〜!

誰か、共感してくれませんか・・・?笑(あくまで個人の感想ですよ!!)

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