1/2
カメラⅠ
あまり深いことをせずに
純粋なまでにきみがほしいと思って
カメラを構えている
広島の梅雨が
すこし長引く年に
きみは寂しそうにわらうので
わたしはカメラを構え
その振り向くさまを
とらえようとして
写真に残す
それは氷づけにすること
わたしの思いも
きみの願いも
すべて世界のうちに封じて
何度だって溶けだす
季節はやがてめぐり
きっと別れる日が来ても
きみをすきでいられますように
そう念じて
シャッターを切った
なにか期待しながら
ひとつ嘘になることを
純に求めながら
やはりわたしはきみの抱擁を待っている