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第二十八話 密かな打ち上げ

敵をやっつけた後、俺らは今夜の宿泊先へ向かい、普通に食事をして、普通に浴場に入って、普通に楽しんだ。まあ普通を最高に置き換えたらめっちゃ変態っぽいから、普通って言うのが一番である。


「咲斗、飲み物とつまみ買ってきたぞ」

「あ、亮太くんありがとう。そして、後ろにいるのは……」

「じゃじゃーん! 私、愛佳でしたー!! あの二人、もう寝ちゃったから、ちょっと話し相手が欲しいなーって思って、ここに来ちゃいましたー! という訳で、よろしくっ!」


…… こいつは疲れることを知らないのか? なんであんなにはしゃいでいたのにこんな元気なんだ?


「さてと、腰を下ろして…… それでは、今日も一日お疲れ様の気持ちを込めまして、乾杯!」

「「乾杯!」」


部屋中に、グラスの音が混じり合う響きの良い音が鳴り響いた。そして、水の上を踊る炭酸の音を嗜みながら、一気に飲んだ。


「…… はぁ! この為に生きててよかった!!」

「…… 亮太くん、それサイダーだけど、お酒はいいの?」

「いやいや、俺は大学二年生だけど、歳はまだ十九歳だ。俺の誕生日は12月だから、それまでは飲めないんだ。別に遠慮してる訳じゃないさ」


意外にも、まだ二十歳超えてなかったのか。もうガツガツ飲んでるようなイメージあったけど。


「そうだ! まだ響也先輩にお礼言ってなかったんだ!」


愛佳はそう言うとスマホを取り出し、通話アプリで響也先輩とやらに電話をかけた。


「携帯取り出しポパピプペ…… あ、もしもし? 響也先輩、イマチとネマチの面倒見てくれてありがとうね!」

〔どういたしまして。あの二人はもうぐっすり寝ちゃったよ。それで、そこにいる子は? 〕

「あ、どうも初めまして。この度、月魄に加入した、柳水咲斗と申します」

〔ああ! 君が咲斗くんだね! 亮太から聞いてるよ。いやぁ、月魄も大分賑わってきたんじゃないの? 〕


画面に映っていたのは、爽やかで優しそうな顔をした男性だった。どうやらこの人が響也先輩らしい。


〔ん? 不思議そうな顔してるね? もしかして、なんでまだ僕が月魄にいるかって聞きたいのかい? 〕

「…… ! そ、その通りです!」

〔なるほど。まあ深い理由じゃないんだけどね、まだ関係は完全に途絶えた訳じゃないんだ。緊急時には駆けつける、って言う助っ人的な人かな?〕

「へ、へぇ…… そうなんですか……」


この人は一体何者だ? 俺が心の片隅で考えていた事を見破っただと? もしかしてこの人は、超能力者か?


〔ハハハ。 別に超能力者じゃないさ。咲斗くんの目、眉、口を見れば何となくこの人はどういう事を考えているか分かるんだ〕

「それを超能力って言うんですよ!!」


…… ってか本当に使える人いるんだ……。この世も捨てたもんじゃないな。


「やっぱり咲斗くんもそういう反応したかー。私も初めて会った時はとっても驚いたもん」

〔別に珍しくなんかないさ。この世にはまだまだ僕と同じ能力者がいるって聞いたからね…… ん? どうしたのネマチ? 〕

〔ゆ、夢の中で…… 宿題やってない事に気づいて…… それで起きちゃって…… 手伝ってくれない?〕

〔いいよ。…… という訳だから、今日はこの辺でね。じゃあみんな、楽しんでね!〕


超能力者・響也さんはそう言うと、電話を切った。…… にしても、ネマチは本当に十四歳なのか? もっと幼く見えるんだが。


「あれ? もしかしてイマチちゃんとネマチちゃんはここで生活しているのかって思ってない?」

「カシューナッツ食べたいなー、って思ってた。…… まあそれはそれで聞きたいが」

「ちぇー、違うのか…… まあね、あの姉妹は幼い頃に家族関係で色々とあって、最終的にウチらの所で住んでいるってわけなんだ」

「…… そうだったのか。でも、あの姉妹が生活するのに、結構な費用がかかるだろ? それはどうしているの?」

「それはあの姉妹が何とかして…… いや、私達も何とかさせてもらっているような物だな」

「ん? それってどういうこと?」

「それがな、アイツは動画投稿サイトでゲーム実況を投稿しててな、思いの外結構稼いでね、そのお金で色々とアジトの事をやりくりしてるんだ」


なるほど。最近よく見る、子供達が動画でおもちゃとかで遊んで、それで稼いだのが家族の収入源、みたいな感じになっているわけだね。


「もちろん、そんな俺も負けてられないから、まとめサイトを設営して、広告付けて何とか稼いでるよ」

「え!? 何のまとめサイトを運営してるんですか!?」

「…… 教える訳ねぇだろ」


あ。これは触れちゃいけないやつだ。そっとしておいた方がいいやつ。


「あ、月がよく見える。明るいね……」


愛佳は急に外を見始めて、大きなため息をついた。月を見て何か思い出すことでもあるのだろうか?


「愛佳どうしたの?」

「…… ううん、何でもないよ。さて、夜はまだまだこれからだよ!! もっと盛り上がってこー!!」

「お前は一旦落ち着け!!!」


そんな楽しい会話が、ホテルの部屋中に響き渡り、月光が輝く夜が溶けていった。


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