第二十六話 こちら、月魄危険物取扱組
──気がつくとそこは、仮眠室のような場所だった。何か背中の心地がいい。後ろを見てみると、フカフカのベットだった。......おそらくあの光に飲まれた瞬間、俺は気絶していたのだろう。
「ようやく目覚めましたか咲斗くん。一番ビリですよ。それに、なんですか急に〔この悲惨な状況を守る為に、俺は終焉の地へ向かう!!〕...... なんて寝ぼけて...... なんで私がこんな恥ずかしいセリフ言わなくちゃ行けないんですか!!」
「いやいやいや、三月が勝手に言ったんだろ!? それになんで三月に終焉とか聞かれなきゃ行けないのさ!!」
「咲ちゃん、いつまでも終焉とかみたいな夢見るなよ。夢を見てる分現実が辛くなるぞ」
「花宮さんまで! てか終焉って言うな!!」
寝起きから急に罵倒ラッシュはキツイ。でもでも! 俺だってそうなるなんて思わなかったし!? なんで寝言を聞かれなきゃあかんのし!? ...... そう言えば、あの女の姿が見当たらない......。
「愛佳さんの事か? それがなぁ、私らが目覚めてからもいねぇんだ。にしても、なんか怪しいよな...... 」
花宮さんの言うとうりだ。せっかくあいつは扉を開ける鍵を見つけたのに、皆に内緒にする。 何故だ? 何故そんな真似をするんだ?
そんな疑問を考えていると、静かに扉が空いた。
「...... 起きた?」
扉を開けたのは、三月よりも歳が低そうで、ダボダボのTシャツを来た、灰色の髪色で、ゆるふわボブで、さくらんぼのピンを付けた、ほんわかとしている少女だった。
「君、ちょっとこっちおいで。怖がらなくていいよ」
花宮さんはいつもとは全く違う口調で、少女を呼びかけた。てか普通にこういう口調でも話せるのね......。
「私のに座って」
「...... はい」
「ここは、一体何処なんだ?」
「...... 言えない」
「どういう目的で私達をここに連れてきたの?」
「...... 分からない」
「...... 分からねぇんじゃ仕方ねぇな。 んじゃあ、ポニーテールのお姉ちゃんを見なかったか?」
「...... もしかして、サキアイお姉ちゃんのこと? 今は、本室にいるよ」
おっと? サキアイお姉ちゃんだって? やっぱりここは......。
「よかったら、連れて行ってくれないかな?」
「...... わかった」
意外と素直で優しい子だ。でも彼女はどうしてここにいるんだろう?
「...... それじゃあ案内するね。と言ってもすぐそこなんだけど......」
彼女は俺たちを通路に連れてきた。壁には銃やら刀やらのレプリカが飾ってあった。
「まあここだよ。中に入って......」
「わかった。お邪魔しま」
「サキアイ! 何故こういうことになったんだよ!」
「だあっでぇぇぇ! じょぉぉがないじゃああん!」
中にはダイイングテーブルに座って、説教している青年と説教されて泣き崩れてる愛佳の姿があった。なんか見ちゃいけないものを見た気がして、思わずドアを閉めてしまった。
「...... どういう状況なの?」
「…… 見ての通り。サキアイお姉ちゃんの不注意でこうなったから、説教されて当然」
見た目とは裏腹に、結構冷たい性格してるのねこの子。
「何もたもたしてるんだよ咲ちゃん。早く入って真相を聞くぞ」
「え、ちょっと!」
花宮さんは強引に俺をどかし、ドアを開けた。
「...... お取り込みの途中失礼します。私、花宮と言うものですが……」
花宮さんが無理矢理部屋に入ると、男性は驚いた顔をしてこちらを見てきた。
「おお、お目覚めしましたか。ご無事で何よりです。この度はサキアイの馬鹿がご迷惑をお掛けしました。申し訳ございません......」
「いえいえ! 私共も勝手に上がり込んでしまってすみません...... 勝手に上がり込んだのか私ら?」
「事故...... みたいな? 俺がパソコンで作業をしていたら、ゴトンと凄い音がしたもんで、見に行ったらサキアイと、あなたたち3人が倒れていたもので......」
ゴトンって。なんかもっと別の表現方法あったろ。
「さてと、愛佳さん。説明してもらおうか。ここまで来たら隠すものもないだろ?」
「うぅ...... 言っていいの、リーダー?」
「この状況からして誤魔化しようもないだろ。全部素直に言って構わん」
「...... 了解。じゃあ、まずはこの場所についてね。ここはとある異空間に出来たアジト。私達はここで会議を行っているんだ」
「ちょっと待ってくれ。何の会議だ? なんの為のアジトなんだよ? 遠回しに言わないで直接言えよ」
「...... わかった柳水くん。私達は、月魄っていう...... 盗賊なんだ」
「盗賊...... !?」
俺の体に衝撃が走った。同じクラスの女子が、まさか盗み事をしているなんて思いもしないだろう。それにこの時代に何故盗賊などが?
「おいサキアイ、勘違いされるような風に言うんじゃない。正式名称は、月魄危険物取扱組って言って、盗賊とは言っても、俺らは危険物を回収しにいっているもんなんだ。金とか食料を盗むなんて事はしてねぇ。どちらかというと俺らは正義の味方さ」
ちょっと待って、話が追いつかない。愛佳はサキアイと呼ばれていて、この人達は盗賊をやってて...... また異常な人達に会っちゃったな。
「おっと、自己紹介が遅れたね。俺は白月涼太。大学生だ」
白月さん...... この人がパソコンのロックを解除した人なのか......。
「それで、君たちを案内した......」
「佐田 寝待。十四歳...... そして...... イマチ来て......」
「おっと? イマチの出番かな?」
声がする方を向くと、カップラーメンを運んで来た、ネマチにそっくりな少女がこちらへ来た。髪色は真紅色で、髪型はネマチと同じゆるふわボブ。リンゴ型ののピンを付けていて、何かのアニメキャラクターの服を着ている。
「うちは佐田 居待。同じく十四歳。ネマチの姉だよ。うちら双子なの。そういえばお昼食べた?」
「そう言えば、まだタピオカミルクティーしか飲んでなかったな......」
「みんなの分のカップラーメンもあるから、よかったらさ、食べる?」
「え、いいの? それじゃあ、いただきます......」
お言葉に甘えると、イマチはまた台所に向かって走っていった。
待って待って、ちょっと一旦整理するね。月魄という盗賊のリーダーが白月涼太さん。この部屋まで案内してくれたのが佐田寝待ちゃん。そしてその双子の姉の佐田居待ちゃん。そして愛佳。...... どういう組み合わせ? どういう集まり? 何なのこの人達?
「君たちはサキアイから聞いてるよ、この前高牧と戦ったんだって? 凄いね」
「いやいや! そんな事ないですよ!」
「そう? じゃあ後で、イマグロガンの腕前を見せてもらおうかな?」
「え、は、はい......」
...... 改めてイマグロガンと言う名前を付けた俺はなんてダサい人間なんだろう。思いつきにも程があるだろ......。
「それで、どうしてここに来れたんだ?」
「その理由がですね...... 愛佳、スマホ貸せ」
「...... はい」
俺は愛佳からスマホを受け取って、ここへ来た経緯を説明するために、アプリを起動した。
「俺たち、夏音市にとある捜し物をしに来たんです。そして、この地図アプリの言う通りに来たら、目の前は壁で...... それで愛佳がなんかコソコソしてたのでスマホをとったら、ここへ来るための合言葉みたいなのが書いてあったので、指示通りやったら、光が俺たちを包み込んできて、知らない間に意識がなくなって...... 気付いたらここへ」
「何だと!? ここへ来るゲートが夏音市にあっただと!? その合言葉と場所を知れるのは我々に関わりがある人だけだぞ? まさかサキアイ、誰かに教えたたんじゃ...... !」
「違うよぉ! 私だってここへ来させない為に必死に隠してたんだよ!? ていうか私だってまさか夏音市にゲートがあるなんて知らなかったもん! それなのにこの仕打ちは酷いよぉぉ! うわああん!!!」
愛佳はなかなか泣き止まない。いつまで泣いているんだよ、流石にちょっとうるさいぞ。
「...... どうやら、俺らの関係は無関係では無さそうだな。是非、一時的でいいから、我々と協力して頂けないだろうか?」
「僕はいいですけど、皆は?」
「私は賛成だよ。こんなの偶然じゃねぇよ。協力してやる」
「わ、私だって! 記憶が戻るかもしれないです!」
よかった。ここで嫌だとか言ったらどうしようかと思った...... ま、この人達だったら、そんな事はないか。
「よし決定だ! じゃあ、ちょっとスマホを出してくれないかな?」
「? いいですけど......」
俺は白月さんの言う通り、ポケットからスマホを出した。そして白月さんにわたした。
「サンキュ。じゃあパソコンに繋げるぜ。...... 何心配そうな顔してるんだよ、安心しろって! ウィルスとか入れないから!」
いやいやいや、急にパソコンに同期するとかちょっと怖いって! まだ会ってから十分くらいしか経ってないんだよ!? ちょっとの警戒心くらいは持たせてよ!
「咲斗くん、ちょっと場所指定してくれるかな? ここへ簡単に来れるワープ地点を作りたいんだ。ちょっと来て?」
涼太さんが操作するパソコンを見ると、地図アプリが起動してた。
「えっとじゃあ...... ちょっと花宮さん、来てくれないですか?」
「え? なんだ?」
「えっと...... で...... だから...... なので...... いいですか?」
「...... 構わねぇよ」
「ありがとうございます! じゃあここで!」
「オッケー! じゃあ、設置開始!」
涼太さんの合図で、俺のスマホをパソコンがリンクして、とある作業が始まった。俺のスマホは、本来カラフルに光ったりする機種ではないのだが、なんかヤバそうな色に光り出している。...... 本当に壊れないよね?
「...... これ終わるの多分二時間はかかるな。それまでここに居れるかな? まだ聞き足りないことばかりだからね」
「どうする? 花宮さん?」
「...... こういう事をするために来たんだろ? ここで帰る訳がねぇじゃん?」
「ですよね...... 」
「はいはーい! カップラーメン出来上がりだよー! 」
どうやら、イマチが作ってたカップラーメンが出来たようだ。
「よし、じゃあお昼にするか。 みんな椅子に座れ!」
こうして、俺らはお昼を食べることになった。
「この味初めて食べました。トマト味なんて地元に売ってないですよ」
「そうなの? じゃあもっと色んな味食べさせてあげるね! 激辛とかワカメとか」
「は、はい...... 今は結構です......」
早速、三月とイマチは仲良くなったようだ。...... 仲良くなってるのかこれ?
「咲斗、君は普段どうしてるんだ?」
「え、ふ、普段ですか? 音ゲーとかやる普通の高校生やってます。恥ずかしながら......」
「ううん。恥ずかしくなんてないよ。俺だって咲斗くんとちょうど同じ位の歳だった頃、よく格ゲーにゲーセンへ言ったもんだよ。あまりにも極め過ぎて、テストは毎回赤点」
「へ、へぇ。よく卒業出来ましたね...... というか今は大学生になって何をしてるんですか?」
「別に大した事はないさ。殆ど授業も行ってないし、こういう組に入ってちゃあ、そんなことしてる暇がないだろ?」
「...... ここって給料とか出ないんですか?」
「どこからお金が入ってくるんだい? 警察にも秘密にしている組織だから、収入源なんてないんだよ?」
「...... マジっすか」
なにここすっごいブラック企業じゃん。よく精神持つなぁ。それほど何かの原動力があるのかな。
「カップラーメン...... 美味しいね。咲斗お兄ちゃん」
「え!? あ! うん! そうだね! 美味しいね!」
おおおお兄ちゃん!? どうしたのネマチちゃん!? 初めてお兄ちゃんなんて言われたからびっくりしたわ!
「むむむ...... 私だって! 咲斗く...... お兄ちゃん......?」
「いや三月? 無駄に張り合わなくていいんだよ? くん呼びでいいから、ね?」
「...... 別にそんなつもりじゃないです」
また三月は顔を赤くした。学習能力ないのかこの子? まあ、そこが可愛いんだけどね。
「三月お姉ちゃん......後で一緒に遊ぼう?」
「え、いいですけど......」
「うちもうちも! 三月ちゃんと遊ぶー!」
なんだか佐田姉妹は楽しそうだ。咲斗お兄ちゃんは微笑ましいよ!
「遊ぶと言っても一時間だけだぞー...... ハハ、あの二人、歳の近い子が来たから相当喜んでるな」
「いつも何して遊んでるんですか?」
「ゲーム。二人はここに来た時からゲームが好きでね、毎日やってたよ。でも、ちゃんと仕事を果たしてはいるから、文句言えないんだけどね......」
仕事、かぁ。こんな小さい子でもそういう事やってるんだなぁ。俺が中二の頃は...... あれ、何してたんだろう? 嫌な事があった......と思う。なんでだろう。記憶が曖昧だ。
食事を終えた俺は、ソファに座って、少し休憩することにした。三月達はテレビゲームで遊んでいる。
「ごちそうさまでした。...... てか愛佳。お前一言も話してないな......」
愛佳はまだ椅子に座りながら、うずくまっている。
「...... 反省してるんだよ。約束事も守れないなんて、私、この組にいていいのかな......」
「何馬鹿な事を言ってんだ、唯一レイレンに接触出来んのはお前だけだろ? お前がいなきゃこの組はおしまいだ。簡単にそういう事言うなよ」
「はい...... 」
褒めてるのか、叱っているのかわからない、そんな言葉を愛佳に投げた。どうやらレイレンという人がこの月魄達が追っている人なんだろう。
「イマチさん、そこ右です!」
「ネマチ...... 止まって!」
「三月ねーちゃん危ない!」
あの三人はもうすっかり仲良しだ。ゲームってものは友達の輪を広げることが出来る素晴らしいツールだ。さっきまでぎこちない話し方をしてた三月も、俺らと話すような口調で接している。また仲間が増えて嬉しいだろうな。
「...... 咲ちゃん、ニヤついてる所すまねぇが、なんかおかしいと思わないか?」
「え!? 俺の顔かおかしいとかですか?」
「ちげーよ。あのQRコードのことについてだ。前のQRコードは小屋だったが、今回はわけも分からないアジトだ。身元を晒されたくないからあんなQRコードを作るんだろ? それって本当にさ、三月の記憶を戻す為のヒントなのか?」
「絶対ヒントですよ! 少なくとも三月はこの組と関わっていた事は間違いないです!」
「根拠はあるのか?」
「...... 少し思い当たりる物があるんです。涼太さん、ちょっと通路にあった銃とかのレプリカ見てきていいですか?」
「? 構わないけど......」
「ありがとうございます。ほら花宮さん着いてきて」
「え、おいちょっと!」
俺は花宮さんの手を強引に掴んで、通路に連れていった。
「...... ったく、このレプリカと三月がどう関係があるって言うんだよ?」
「ちょっと、俺のスマホを見ていてください」
俺は写真フォルダから、春平町へ言った時に撮った写真を探した。そして、飾ってあるレプリカに似た武器を見せた。
「この銃は、小屋にあったもので、戦いの後一応撮っておいたんです」
「...... 確かに、小屋にあったものがこのアジトにあるなんておかしいよな...... 少なくとも、三月はここと関係があったのかもしれないな」
完全なる憶測だが、可能性がある話ではある。
「...... まあ今は置いといて、色々と整理してからまたこの事は話そうぜ...... 咲ちゃん?」
俺の目の前にあったドアに、凄い違和感を感じた。
「──この部屋、何か凄い違和感を感じます。開けてもいいですかね?」
「...... 私は責任取らないぞ」
花宮さんは責任を取ってくれないようだが、俺はドアのレバーを引いた。しかし、鍵が掛かっているのか、ドアが開くことはなかった。
「なーにしてるんだ?」
「うわあ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!! ...... って、亮太さん?」
「ガチャガチャレバーを下げる音が聞こえると思ったら...... このドアは今は開けられない。ていうか、俺もこのドアの向こうを知らないんだ」
「それは...... 一体どういう事なんですか?」
「── 一応、俺は月魄のリーダーだ。だが、リーダーだからだと言って創始者という訳では無い。月魄は今から14年前に作られた組織でね、昔はゲーム好きの集まりだったらしい。しかし、二年前に、メカニズミカルという組織が生まれてから、月魄は活動の趣旨を変えて、危険物を取り扱うという組織へと変わって行ったんだ。ちなみに俺は、そのちょうどニ年前に月魄へ加入したんだが、先輩はみんな一気に辞めちゃってな......」
亮太さんは悲しい表情を浮かべた。歴代の人達は一体どんな人だったんだろう......。
「だから、このドアを開けられるのは、初代メンバーだけなんだよ。俺の夢は、いつかこのドアを開けて、当時どんな風だったのかも知ってみたいんだ」
「でも、どうやって初代メンバーを集めるんだ?」
「方法が今は無いから、夢なんだよ」
方法が無いから、かぁ。確かに、実現するかどうか分からない物は夢でしかないよね。でも、もしかしたら夢が叶う日が来るかもしれないね。
「さてと、咲斗。スマホの準備が整ったぞ。早くパソコンの前に行こう」
「あっそうだった! どんな風になっているかな...... 色々な意味で」
俺らは本室へと戻って行った。
本室に戻り、高ぶる気持ちで白月さんのパソコンの前に集まると、俺のスマホにとあるアプリが追加されていた。
「ほら、アプリを起動してみな」
「は、はい! えっと、あ! フラワーパレスの105号室がワープ地点になってる!」
そう。さっき花宮さんと相談してたのは、フラワーパレスにワープ地点を設置していいかという事だ。ここに設置すれば、緊急時でも三月と一緒にここに来れる事が可能になる。
「...... 咲斗らがここに来れたって事は、夏音市には先輩達が残したワープ地点があったからなんだよな。...... よかったら、俺も同行してもいいか?」
「勿論ですよ! 三月もいいでしょ?」
「私も賛成です。咲斗くんも男1人で気まずいでしょうし」
......うん。薄々自分でも気づいてたけど、結構気まずかったです。
「ありがとう。そうだ咲斗。もう仲間なんだから敬語は辞めよう」
「いやいやいや! 年上の人に敬語使わないって失礼ですよ!」
「駄目だ。~ですって使ってくるのが2人もいたら、誰が誰だかわかんなくなるだろ? リーダー権限でさ、頼むよ?」
そ、そうか。三月とキャラが被るって言いたいんだね! 多分見てる人も困惑してたんじゃないかな?
「わ、わかりま...... わかった。じ、じゃあ亮太くんくらいは言わせて!」
「しょうがないなぁ。それは良しとするか。んじゃあそろそろ支度を。イマチ、ネマチ、留守番頼めるか?」
「えー!? イマチも夏音市に行きたいー!!」
「イマチ...... 亮太お兄ちゃん達が出かけたら...... ずっとゲーム出来る...... かも」
「あ、確かに! んじゃあ私ら留守番するよ!」
この姉妹はゲームに弱いんだね。まあ、確かに親が一日いない日=ゲームやり放題の日みたいなのあるからね。昔の俺もそうだった。
亮太くんの支度も終わり、とうとうこのアジトから一旦出る事になった。
「三月お姉ちゃんも...... 行っちゃうの?」
「はい。そもそも私の為にみんな来てくれたんです。私抜きで行くなんて以ての外ですよ」
そう、目的は三月の記憶探しだ。本人が居なきゃどうにもならない事だってあるだろうし。
「じゃあ留守番頼んだぞ。もしも何かあったらすぐに帰るからな。お土産買ってきてやるから楽しみにしてろ」
「わあい! イマチ、いい子にしてるよ!」
「行ってらっしゃい...... 気をつけてね......」
佐田姉妹は、目を輝かせながら、見送りの言葉を俺らに送った。
「...... とは言っても、どうやってここから出るの? 」
「咲斗、さっきのアプリを使うんだ」
そう言うと亮太くんはスマホを取り出し、天に向けた。
「行くぞ...... ワープ!!」
亮太くんが叫ぶと、スマホから光が降り注ぎ、俺らを包み込んだ。そして、また意識が朦朧としてきた......。




